闇株新聞[2018年]

年末年始企画 闇株新聞が大予測!2018年に起こりそうで「起こらない」こと闇株新聞が予想する「警戒されすぎな悪材料」

2017年12月29日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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いよいよ2017年も残りわずか。マネー誌等では「2018年の大予想」が年末の定番企画ですが、刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では、最新号で「起こりそうで起こらないこと」を大特集しています。いま世界にはどんなリスクがあり、金融市場は何を警戒しているか。投資家にとって、それが「起こらないこと」を予想するのは「起こりそうなこと」を予想するのと同じくらい重要というわけです。本編はかなりボリュームのある記事ですので、本連載では一部を抜粋してお届けします。

年末年始企画 闇株新聞が大予測!2018年に起こりそうで「起こらない」こと

債務過剰の中国経済はついに
経済金融危機を引き起こすか!?

 2018年は「中国発の経済危機・金融危機が起こる」と心配している評論家が多いようです。

 中国経済の本当の成長率や規模は誰にもわかりませんが、2017年の経済成長率は「6.8%前後」だそうです。項目別では個人消費が10%、総資本形成(官民の投資)が7.3%、輸出が6.9%、工業生産は6.2%の伸びとなっています。

 つまり中国経済は旺盛な個人消費と、活発な総資本形成に支えられているわけです。問題は総資本形成の大半が外部負債(つまり借金)によって賄われていること。その総額は日本円にして3000兆円にも上ります。

 投資によって負債が増えても、見合った資産が健全なら問題はないのですが、中国にGDPの2.4倍もの「健全な貸出先」などあろうはずがありません。となれば、かなりの「不良資産予備軍」も積み上がっていると見るべきです。

 中国政府と中国人民銀行(中央銀行)は2015年8月と2016年1~2月に人民元を引き下げたため、外貨が大量に流出して(中国だけでなく)世界の金融市場を大混乱に陥れてしまいました。現在は1ドル=6.6元あたりで落ち着き、外貨準備も3兆1190億ドルまで回復しています。さすがにもう一度、人民元を引き下げることはないでしょう。

 ただ、FRBが来年も利上げを繰り返すなら、中国もある程度は国内金利を引き上げなければなりません(そうでなければ再び外貨が流出してしまう)。国内要因だけなら利上げは必要ないはずですが、外貨流出を止めるために利上げしていくと、いずれ経済が減速し不良債権が増加する恐れもあります。

 多くの人が不安視するように中国経済は確かに過剰負債ではありますが、個人消費が10%で成長していることと、負債が官民による投資を支えている限り、2018年中に中国発の経済危機・金融危機が発生する可能性は0~5%でほとんどないと考えてよさそうです。

核ミサイル開発を止めない北朝鮮
米国は軍事攻撃に踏み切るか!?

 結論から言うと、本紙は2018年前半にそれが起こる確率は10~15%と見ています(それ以降はわかりません)。あたり前の話ですが、軍事衝突となれば北朝鮮のミサイル射程圏内にあるわが国への被害は甚大となる可能性があります。

 金正恩は原爆(あるいは水爆)を搭載したミサイルが米国本土に到達する能力を持つまで核・ミサイル開発を止めません。現在、米国本土に到達するミサイルは完成したものの、弾頭に原爆を搭載するとどこまで飛ぶかがわからないといった状況のようです(大気圏に再突入させる技術はほとんどできていないと考えられえます)。

 おそらく金正恩は開発現場から正確な情報を得ておらず「もう少しで完成」と信じ、余計に開発や実験を繰り返すと見られます。

 それではトランプはどう考えているかというと、北朝鮮への軍事攻撃は軍部が強く反対しています。同盟国(日本と韓国)への被害が甚大となるからです。

 歴史的に米国大統領が戦争(軍事攻撃)を始めるときは、軍需産業を潤わせる必要があるときと、国内の支持率を急回復させる必要があるときです。トランプはここのところトップ外交で世界中で米国製兵器をセールスしており軍需産業は潤っています。国内の支持率は50%を超えられませんが、中間選挙まではまだ時間があります。ここで積極的に北朝鮮を攻撃する理由がありません。

 ここで重要となるのは政権の外交戦略を主導するキッシンジャーの存在です。トランプはロシアにスキャンダルの証拠を「山ほど」握られていますが、それを表に出さないためにはキッシンジャーを頼るしかありません。

 キッシンジャーはロシアに通じていますが、最大の顧客は中国です。北朝鮮が消滅していちばん困るのは中国であり、トランプが北朝鮮への軍事攻撃に踏み切れない最大の理由もここにあります。

 とはいえ、過去には「ちょっとした小競り合い」が全面戦争に発展した「盧溝橋事件」(1937年)の例もあります。「間違って攻撃してしまった」などから戦闘状態となる危険性も考えておく必要があるでしょう。

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