好スタートを切ったニューヨーク株式市場では
企業業績の見通しが上方修正された
ニューヨーク株式市場が年初から快調に飛ばしています。先週のS&P500指数は+1.6%でした。年初からでは既に+4.2%となっています。

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投資家は、去年の年末に成立した税制改革法案が米国経済にプラスの影響を及ぼすことを急いで織り込みに行っています。
そのことは、今年のS&P500指数採用銘柄の1株当たり利益(EPS)のコンセンサス予想にも反映されています。去年の年末に146.17だったのが、今は150.12となっています。つまり+2.7%の上方修正です。
年初来のS&P500指数上昇率+4.2%とEPS上方修正幅+2.7%の「差」は、株価収益率(PER)の倍率が拡大したことを意味します。
「マルチプル・エクスパンション」が
米国株だけではなく世界で起きていた
このように投資家が「払っても良い」と考える値段が吊り上ることを、投資の専門用語では「マルチプル・エクスパンション」と言います。ここでマルチプルとは「倍率」の意味で、エクスパンションは「拡大」の意味です。
実は、2012年から2016年にかけて、世界の株式市場をまるごと含めた株価指数であるMSCIワールド指数は+87%上昇しましたが、そのうちの実に74%は、上で説明したマルチプル・エクスパンションによるものです。
もう少し簡単な言い方に直せば、企業業績も伸びているけれど、世界株高の主な理由は、投資家が強気になり積極的に上値を買い上がっているからなのです。
このように投資家が株式全般に強気な背景には、リーマンショック以降、先進国の中央銀行は量的緩和政策を打ち出し、じゃぶじゃぶの流動性をマーケットに提供してきたことがあります。そのような過剰流動性は、株価下押し局面でクッションを提供します。
曲がり角に立つ過剰流動性相場
米国では年初から10年債利回りが上昇!
しかし、米国は一足先に量的緩和政策の手仕舞いを始めていますし、欧州中央銀行もそろそろ量的緩和政策の縮小に入ろうとしています。つまり、いつまでも中央銀行からの支援を期待することはできないのです。
実際、米国では年初から10年債利回りがスルスル上昇しています。
債券利回りと株式は、普通、競争関係にあります。その意味するところは、債券利回りが上昇しているとき(=今です!)は、株式は下がりやすいということです。
それでは「なぜ債券利回りが上昇しているか?」と言えば、それはインフレ懸念が台頭しているからです。実際、原油価格は、いまスルスル上昇しています。
去年、税制改革法案が成立して以来、臨時ボーナスを出す米国企業が続出しています。「社員全員に、ひとり1000ドル!」などの気前のいい話が後を絶ちません。
企業が競ってボーナスを弾む理由は、好景気で労働市場がひっ迫してきており、だんだん人材確保が難しくなっているからです。
それが何を意味するかといえば、今後賃金の上昇が予想されるということです。
もちろん賃金が上がることは労働者にとって大歓迎ですが、中央銀行の立場からすれば、賃金がスルスル上がりはじめる局面は注意を要します。なぜなら、賃金インフレは一度火が付くと、なかなか鎮静化しないことが知られているからです。
米国では今年中に2回以上の
利上げが行われる可能性も
去年の12月に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されたとき、それに参加したメンバーの今年のフェデラルファンズ・レート予想は2.1%でした。
現在のフェデラルファンズ・レートは1.5%ですから、今年中は0.6%の利上げがあると予想されているわけです。これまでのように、FRBは0.25%刻みで利上げすると仮定すれば、これは2回分の利上げを意味します。
しかし、ひょっとするとその程度では利上げが足らないかも知れないのです。
過去にアメリカで金利が下降局面から上昇に転じた場合、最初はたいへんゆっくりと金利上昇が起こることが通例でした。従って、今回も徐々に金利が上がってゆくと言う風に考えた方が良いと思います。
そうした状況を踏まえると、新年になって以降の10年債利回りや原油価格の上げは意外なほど急ピッチだったので、ある時点で投資家が怖気づく可能性も排除は出来ないと思います。
こういう場合、株式市場から足を洗うのは未だ早いと思います。ただ、ポートフォリオの中身をインフレ局面で株価が上がりやすい銘柄にシフトする必要を、私は強く感じます。
具体的にはエクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)、BP(ティカーシンボル:BP)、トランスオーシャン(ティッカーシンボル:RIG)などの石油関連株が良いと思います。
【今週のまとめ】
金利上昇による株式市場の原則に注意!
いまはインフレに強い石油株が狙い目
アメリカの株式市場は好スタートを切っています。株高は経済、企業業績の好調に裏打ちされています。しかしそれに加えて投資家が払っても良いと考えるバリュエーションはだんだんインフレを起こしており、やや慢心が見られます。
折からの原油高でインフレ懸念も出ており、債券利回りは上昇しています。これは株式には良くない兆候です。
ただ金利上昇はマイルドなものになる可能性が強いので、株から「全降り」するのは得策ではありません。ここは石油株などでお茶を濁すのがベストでしょう。
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