ネット・アンケート調査会社のサーベイモンキーが
近くナスダックに新規上場
ネット・アンケート調査のサーベイモンキーが、近くナスダックに新規株式公開(IPO)します。ティッカーシンボルはSVMKになります。
サーベイモンキーは、使いやすいオンライン・アンケート調査のサービスを提供しています。調査を申し込む人のニーズに応じて、どのようにでも質問をカスタマイズすることができます。また、調査結果の分析ツールが優れているため、調査を行った者が質の高いインサイト(洞察)を得ることが出来ます。
サーベイモンキーは、もともと1999年にオレゴン州でライアン・フィンレーによって創業されましたが、いまはシリコンバレーのサンマテオに本社を置いています。これまでの登録ユーザー数は6000万人です。
サーベイモンキーは、個人の他にも法人向けプランを持っており、課金顧客は60万口座あります。
法人向けプランでは、アンケートの回答者の個人情報の保護や、アンケートに際して企業のロゴなどブランドをカスタマイズすることが出来るようになっています。
企業の側で社員が思い思いにバラバラのアンケートをするのではなく、法人単位でサービスを購読するメリットとしては、社内のいろいろな部署で行った過去のアンケートのデータを統合、共有することで、より包括的な顧客ニーズの把握ができるという点が挙げられます。また、法人ユーザーは、アンケートで集めたデータをいろいろ加工できるようになっています。
サーベイモンキーは、まず個人ユーザーを無料プランで取り込み、その個人ユーザーが企業単位で法人ユーザーにアップグレードするという営業アプローチを心がけています。通常、そのように個人ユーザーが法人ユーザーへとアップグレードすると売上高は4倍に伸びると言われています。
今日、法人ユーザーとなっている企業には、セールスフォース、ハーバード大学、シトリックス、トウィリオ、ジョンソン&ジョンソン、ゴープロ、BMC、シスコ・システムズ、ボックス、ウエルズファーゴ、インテューイット、ビザなどがあります。実際、既にフォーチュン500企業の98%が、サーベイモンキーを利用しています。
米国には、6100万人のナレッジワーカーが居ます。いまユーザー単価を現在のサーベイモンキーの顧客単価410ドルとして計算すれば、市場規模(アドレサブル・マーケット)は250億ドルということになります。これは十分に大きな市場です。
サーベイモンキーはサブスクリプションモデルを採用し、
業績も順調に右肩上がり!
過去12ヵ月の間の売上高は2.34億ドル、第2四半期売上高成長率は前年同期比+21%でした。
サーベイモンキーは、いわゆるサブスクリプション(定期購読)モデルを採用している関係で、四半期ごとの売上高の見通しを立てやすいです。
また、サーベイモンキーは、コストが比較的固定的で販売促進にも大きな労力がかからないため、営業キャッシュフローを出しやすい構造となっています。サーベイモンキーのアンケートについては、SNSでシェアされることで拡散するため、顧客獲得コストが低いです。ちなみに、2017年度の営業キャッシュフローは4500万ドル、現在の修正EBITDAマージンは25%となっています。
無料ユーザーを課金ユーザーに、
そして法人ユーザーに誘導することでさらなる成長を目指す
今後の成長戦略としては、まず現在1600万人居るアクティブユーザーを課金ユーザーへコンバージョンすることを目指します。法人口座のリテンション(継続)率は95%と高いです。
次に、個人の課金ユーザーを法人口座へコンバージョンすることを試みます。さらに法人口座では、利用可能なアカウント数を増加させるなどいろいろな便利な機能を提案しながら、プランのランクを上げさせてサブスクリプション・フィーを値上げしてゆくことが考えられます。
現在、サーベイモンキーの売上高に占める海外比率は35%です。同社の長期経営目標としては売上高成長率年率17〜20%、グロスマージンは80%、R&D 比率は22%、営業マージンは18~22%、フリーキャッシュフロー・マージンは22〜25%に到達することを目指しています。
一方、バランスシートに目を転ずると、9900万ドルのディファード・レベニューが載っているほか、4300万ドルのキャッシュ、3.17億ドルの負債があります。
なお、サーベイモンキーの大株主には、フェイスブックのシェリル・サンバーグCOOが名前を連ねています。
【今週のまとめ】
サーベイモンキーは、爆発的な成長は難しいものの
安定的に成長していけるビジネスモデルで期待大!
サーベイモンキーは、ネットで簡単にアンケート調査を行うサービスを提供しています。既に6000万人の登録ユーザー、60万の課金口座を持っています。
サーベイモンキーの売上高は定期購読型なので読み易いです。また、べらぼうなR&D費用が継続的に必要となるわけではないので利益を出しやすい構造となっています。長期売上高成長率は+17~20%なので高度成長とは言えませんが、安定的に成長できるビジネス・モデルと言えそうです。
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