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崖っぷちに立つ米国市場は、10年間続いた長期上昇トレンドが終了する危機に! 主要3指数が直近安値を割り込んだときは、素直にポートフォリオを見直そう

2018年12月10日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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テクニカル的に見て
重要な局面にさしかかった米国株式市場

 米国株式市場は、テクニカル的に見て大変重要な局面にさしかかっています。

 ダウ工業株価平均指数は先週-4.5%の24,338.95で引けましたが、10月29日のザラバ安値24,100を切ると、落勢が強まることが懸念されます。

■ダウ工業株価平均指数(NYダウ)チャート
ダウ工業株価平均指数(NYダウ)チャートダウ工業株価平均指数(NYダウ)チャート/日足・6カ月
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 同様に、S&P500指数は先週-4.6%の2,633.08で引けましたが、10月29日のザラバ安値2,603.54を切ると、とても悪いカタチになります。

■S&P500指数チャート/日足・6カ月
S&P500指数チャート/日足・6カ月https://diamond.jp/zai/oo/cc/sbi_f_186S&P500指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 さらに、ナスダック総合指数は先週-4.9%の6,969.25で引けましたが、11月20日のザラバ安値6,830.76を下に切ると、チャートのカタチが絶望的に悪くなります。

■ナスダック総合指数チャート/日足・6カ月
ナスダック総合指数チャート/日足・6カ月ナスダック総合指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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投資家が今やるべきことは
先入観を捨てて相場を見守ること

 この状況において投資家が今やるべきことは、月曜日の立会で慌てて投げ売りすることではありません。まずは上に示した3つの重要なレベルを、それぞれの指数が死守出来るかどうかをしっかり見届けてください。

 確率としては、3指数がこれらの水準を死守出来る確率の方が高いと思います。もしそうなら、ここで慌てて売れば、相場の大底で持ち株を投げ出すヘタクソなトレードになってしまいます。

 逆に、未だこれらの水準を死守出来たことが確認されてもいないのに、安易な気持ちで買い出動すると、その後で株価が「ぷつん!」と下値支持線を割り込み急落した局面では、いきなり強烈なパンチを喰らってしまいます。

 ここは、自分の勝手な先入観から先回りしたトレードをするのではなく、心を「カラッポ」にして、相場があなたに語りかけてくるメッセージを必死に聞く努力をすべきです。

もし市場が反発したら買い出動、
直近最安値を割り込んだら現金比率を高めよう

 もし今週、市場が反発したら、クリスマス・ラリーに向けて買い出動して良いと思います。既に、米中貿易戦争の激化などの悪いニュースが相次いだ関係で、投資家の期待は低くなっています。それは、ここからフラフラとマーケットが上りやすい環境だと言えます。

 逆に、もし今週、市場が上に書いた重要レベルを割りこんだら、防御の姿勢を強めてください。具体的には、少し株式を削り現金比率を高めて下さい。「全売り」はお勧めしません。

 そして、ポートフォリオの中身をディフェンシブ株に入れ替えてください。

株価が「底抜け」をするシナリオは
リセッション(景気後退)のサイン!

 さて、指数が重要レベルを割り込み、いわゆる「底抜け」的な下落をした場合、それは何を意味するのでしょうか? 私の考えでは、それは株式市場が「リセッション(景気後退)が、すぐそこまで来てますよ!」ということを絶叫しているのだと思います。

 そう書くと、「経済指標は未だどれも良い数字ばかりなのに、なぜそう言い切れる?」と思う読者も居るかもしれません。

 その説明はこうです。

 株価には先見性があります。普通、株価は2年先の業績や景気を織り込むと言われています。だから、足下のデータが良好でも株価はずっと先を見ているのです。

 われわれ投資家は、単に経済指標や企業業績をチェックするにとどまらず、テクニカル・チャートで「上昇トレンドは崩れていないか?」ということを確認すべきです。もし長期トレンドが崩れ始めているのなら、なにか深刻な事が起き始めていると疑ってかかるべきなのです

リーマンショック直後から10年間続いた
長期上昇トレンドが終わるかどうかの瀬戸際に!

 S&P500指数を対数チャートで見ると、リーマンショック直後の2008年末を起点として、ちょうど10年に渡る長期上昇トレンドラインを堅持してきました。もしS&P500指数が上に書いた2603の水準を下に抜けるようなら、この10年続いた大きなトレンドが終わってしまうことを意味するのです

 その場合、投資家が疑うべき事は「さては好景気が終りに近づいたのかな?」ということです。

 すでにニューヨーク市場の騰落線(advance-decline line=「上昇銘柄数-下落銘柄数」をプロットした線)は、8月28日に天井を付けています。このように騰落線が一足先に暗転するのは、強気相場の終焉の際にかならず見られる現象です。

 現在の景気拡大局面は、2009年7月から始まっています。つまり、実に114カ月に及ぶ長大な好景気だったのです。これは、過去最長だった前回の景気拡大局面(120カ月)にあと少しで届く長さです。ちなみに、第二次大戦以降の景気拡大局面の平均月数は、僅か58.4か月です。

 その意味では「いつ景気が息切れしても、おかしくない」という危機感を我々は持つべきだと思います

【今週のまとめ】
米国株式市場は重要な局面にさしかかっている
株価から発信されるメッセージに粛々と耳を傾けよう

 米国株式市場は、とても重要な局面にさしかかっています。過去10年続いたトレンドが、崩れてしまうかどうかの瀬戸際に来ています。私は、トレンドが守られることを切望していますし、確率としてはそちらの方が高いでしょう。

 しかし、投資家の期待むなしく「ぷつん!」と下に切れてしまうリスクもあります。その場合、株式市場は我々に「リセッションが来るから、気をつけて!」と語りかけて来ているのだと思います。

 そのメッセージは厳粛に受け止め、着々と「冬籠り」型のポートフォリオを構築すべくディフェンシブ株へのシフトを進めましょう。

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