2020年の年始相場は、米国とイランとの対立激化を受け、波乱のスタートとなりました。
具体的には、1月6日の大発会は大納会比451.76円安、7日は前日比370.86円高、8日は同370.96円安、9日は同535.11円高と激しい値動きを続け、そして金曜日の10日は同110.70円高と、今年初めて続伸し、かつ、前日比での値幅も縮小し落ち着きを取り戻しました。
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週後半にかけて落ち着いたのは、米国とイランとの緊張が緩和したからです。ご存じの通り、米国防総省は1月2日、イラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のカセム・ソレイマニ司令官を空爆で殺害したと発表しました。その後、イランは、米国への報復として、イラクにある米軍の駐留基地に十数発の弾道ミサイルを撃ち込みました。これを受け、多くの投資家は、米国とイランとの大規模な軍事衝突の発生を危惧したため、リスクオフムードが強まったのです。
このような情勢が緊迫化する中で、1月8日、トランプ大統領はイラン情勢に関する演説を行いました。そして、「米軍は我が政権下で完全に再建された。だが、軍事力を使いたくはない。軍事、経済での米国の力は最善の抑止力だ」と述べたことで、米国とイランの衝突は回避されるとの見方が強まりました。これが9日の535.11円高の主因となったのです。
米国が中国の「為替操作国」指定を外したことで、
ナスダック指数とS&P500は市場最高値を更新!
また、米国株もあいかわらず絶好調です。1月13日の NYダウは反発し、前週末比83.28ドル高の2万8907.05ドルでした。さらに、ナスダック総合株価指数は同95.071ポイント高の9273.932ポイント、 S&P500種株価指数は同22.78ポイント高の3288.13ポイントと、両指数とも過去最高値を更新しました。
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米中貿易協議の「第1段階」合意の調印を1月15日に控えている状況下、米メディアが13日に、米国が中国に対する「為替操作国」指定を解除する方針と報じたことが買い材料になりました。そして、報道通り、米財務省は13日、半期為替報告書を公表し中国を為替操作国から外しました。
さらに、1月13日のNY円相場は下落し、前週末比45銭円安・ドル高の1ドル=109円90銭~110円00銭でした。この米国株高・円安という追い風のおかげで、14日の日経平均株価は続伸して始まり、ザラ場中としては昨年12月18日以来およそ1カ月ぶりに2万4000円大台を回復する場面がありました。
1月14日の9時過ぎには、1ドル=110円07銭近辺と昨年5月23日以来、約8カ月ぶりの円安値水準を付けました。これが、主力の輸出関連株の買いを誘い、日経平均株価の主たる押し上げ要因として機能しました。
3連休明けの1月14日以降、
海外投資家は買い戻しの動きを強めてくる見通し
需給面では、12月第4週(23~27日)、海外投資家は、日経平均先物とTOPIX先物を合算した売り越し額は217億円と、4週ぶりに売り越しました。一方、海外投資家は、現物を3週連続買い越しました。買い越し額は1553億円でした。日本株の現物と先物の合算については、1336億円買い越しました。
クリスマス休暇のため、第4週(23~27日)は、海外勢の買いの勢いが鈍ったのでしょう。実際、外国人の買いのみの金額は4兆4713億円と、2019年1月第1週の2兆554億円以来の少なさでした。
また、財務省が1月14日発表した対外および対内証券売買契約などの状況では、海外投資家は、昨年12月に日本株を3カ月ぶりに売り越しました。しかしながら、売り越し額はわずか227億円でした。この売り越しは年末接近で利益確定売りが買いに対して若干勝っただけと理解しています。
そして、クリスマス休暇後の海外勢の動きは活発化したはずです。まあ、年初は米国とイランの問題が発生したので、売り越したかもしれませんが、1月8日のトランプ演説を受けて買い戻しに動いたはずです。そして、米株の好調と円安を受け、3連休明けの14日以降はさらに買い戻しの動きを強めていくとみています。
■テクニカル的に、日経平均株価の上昇トレンドは継続!
「1月効果」のアノマリーからも上値余地が広がることに期待
ところで、有名なアノマリーに、「1月効果」があります。これは、1月の収益率が他の月よりも高くなりやすい現象のことです。特に、大型株に比べて小型株が上昇しやすいともいわれています。
1月の小型株が相対的に高パフォーマンスなのは、小型株は個人投資家の関与率が高いため、12月は税金対策で売られるものの、1月に入り買い戻される傾向が強いからでしょう。
一方、為替市場でも、1月と年間の値動きの方向感が合致する「1月効果」があるそうです。足元のドル/円相場は円安に振れています。アノマリー通りに、ドル/円相場が年間を通して「ドル高・円安」に振れるようなら、間違いなく日経平均株価の上値余地は広がるでしょう。
日経平均株価の昨年来高値は昨年12月17日の2万4091.12円で、これが未だに天井になっています。ですが、米国とイランとの対立激化を嫌気して急落した1月8日の安値は2万2951.18円と、75日移動平均線(8日現在22935.85円)が強力なサポートとして機能しました。このようにテクニカル的にも、日経平均株価の中期の上昇トレンドはまったく崩れていないとみてよいでしょう。
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昨年12月17日の2万4091.12円を上抜けたら、次のチャートの節目は2018年10月2日の2万4448.07円です。ちなみに、この高値示現後、2018年12月26日に1万8948.58円まで急落しました。下落幅は5499.49円でした。
つまり、今後、2万4448.07円を上抜けるようなら、この「下げ幅の倍返し」への期待が膨らみます。このケースでは、2万9947.56円がターゲットということになります。
もちろん、その実現はそう簡単なことではありません。ですが、世界の中央銀行が超絶金融緩和を行い、安倍政権が大型経済対策を打ち、米国と中国の緊張関係が緩和に向かい、さらに中東情勢が落ち着くようなら、日本企業の収益は拡大する可能性が高まります。その結果として、日本株の上値余地は広がるはずです。
とにかく、日米欧の中央銀行が引き締めに動く兆候が出るまでは、中長期の上昇トレンドに乗り続けることをお勧めします。
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