「親の老い」に対策する入門書『一番売れてる月刊マネー誌ZAiが作ったマンガ 親が老いる前に読みたい 家族のおかね15の話』では、「相続」や「介護」「認知症」などの問題に対する専門家の話を、わかりやすいマンガで解説!
誰もが悩む「親の老い」に伴う諸問題は、完璧に避けて通るのは難しいが、事前になるべく準備しておくと、いざというとき慌てずに済むはず。発売中の『一番売れてる月刊マネー誌ZAiが作ったマンガ 親が老いる前に読みたい 家族のおかね15の話』。ダイヤモンド・ザイで人気のノンフィクションマンガ連載「どこから来てどこへ行くのか日本国(作画:西アズナブル)」の中から、”家族のおかね”にまつわる15のエピソードを厳選した単行本で、「相続」や「介護」「認知症」「実家の片づけ」「免許返納」「葬儀」「お墓」などにスポットを当て、問題が生じる理由から解決策までを、専門家がしっかり紹介している。
今回は、単行本に掲載されている書き下ろしコラム「相続税を減らす3つの基本ワザ」を全文公開するので、相続税の負担の重さに気づいてから後悔しないよう、ぜひチェックしよう!
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節税に悩む前に、相続税の”2つの特例”について知っておこう
条件さえ満たせば、特別なことをしなくても相続税を節税できる!
相続税には2つの大きな特例がある。1つ目は、亡くなった人の配偶者が受けられる「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」。配偶者が相続する財産が「配偶者の法定相続分」または「1億6000万円」までなら、相続税がかからない。
ただし、相続税がかからないからといって、遺産の全額を配偶者が受け取るのは避けたほうがいい場合もある。なぜなら、下図のように「一次相続(片親が亡くなったときの相続)」だけでなく、「二次相続(遺ったもう片方の親も亡くなったときの相続)」も見据えて相続額を決めたほうが、トータルの負担が小さくなることが多いからだ。
相続税の特例の2つ目は「小規模宅地等の特例」だ。この特例は配偶者なら無条件で使えるもので、「自宅の居住用の土地」の相続であれば、330平米までは相続税評価額を8割減額できる。また、子どもの場合は、親と同居しているか、持ち家がなく、賃貸住宅に3年以上暮らしていれば使える(通称「家なき子の特例」)。
注意が必要なのは2世帯住宅の場合。区分登記をしている場合は適用できないのだ。その他、細かいルールがあるので、適用できるか不安なら、事前にしっかり確認しよう。
贈与によって相続財産を減らすことでも相続税対策が可能に
「暦年贈与」で不十分なら「一括贈与」を検討しよう!
相続税を減らすためには、上記の特例を活用するほか、あらかじめ相続財産を減らしておくという手もある。王道は、生前の「贈与」だ。贈与は、1人に対して年間110万円までなら税金がかからない(暦年贈与)。子や子の配偶者、孫など、贈与する人を増やせば効果はさらに大きくなる。
ただ、もらう側に受け取った自覚や、受け取ったという実態がなければ、贈与とは見なされない。贈与として認められるためには、必ず事実を伝え、子や孫が自由に使える形で贈るようにしよう。
また、生活費や教育費に関しては、親や祖父母、兄弟姉妹の間で負担しても、税金はかからない(都度贈与)。ただしこれは、その時々で必要な額に限られるため、不十分と感じるケースもあるだろう。そこで注目したいのが、特定の目的に沿った贈与の特例(一括贈与)だ。
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もっとも手軽で節税効果が高いのは「住宅資金贈与」。子や孫がマイホームを購入するなら、使いたい特例だ。一方「教育資金の一括贈与」は、将来必要になる教育資金をあらかじめ信託しておくもの。入学金や授業料のほか、習い事、留学費用などにも充てられる。ただし、信託銀行などを間に挟む必要があり、お金の受け取りは領収書などと引き換えだ。
子や孫の結婚が決まっているなら「結婚・子育て資金の一括贈与」も注目。これも教育資金の特例と同じく、金融機関を間に挟み、使途を伝えたうえでお金を受け取る。それぞれの特例は、目的や贈与される側の年齢、申し込みできる期間などが限られているということを覚えておこう。
贈与だけで節税しきれないなら「不動産」を活用する手もある!
買った物件を貸すことで、相続税評価額を8割減らせた実例を紹介
贈与のほかに、大きく節税できる可能性があるのが「不動産を購入する」という方法。下図は、都内でマンションを購入して、実際に節税に成功した例だ。
不動産の購入で節税できる理屈はこうだ。まず、マンションは土地の持ち分が小さいため、実勢価格はともあれ、相続税評価額を大きく圧縮できる。また、物件を貸し出すと、土地には貸家建付地の減額(借地権割合×借家権割合)が、建物には借家権の控除(30%)が適用される。さらに「小規模宅地等の特例(貸付事業用)」も利用。すると、評価額は当初の7000万円から、8割以上減った1274万円にまで圧縮できる。ただし、貸し出したくとも、借り手がつかなければ意味がない。立地などは精査する必要があるだろう。
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