授業にLINEを導入してみた
今年度から、私が担当している昭和女子大学の学部1年生向けの授業にLINEを導入した。授業用にLINEのグループを作成し、受講生全員にグループに入ってもらい、授業中に質問やコメントがあればLINEに書き込んでもらうのだ。
もちろん、手を挙げて質問をすることもできるし、それが本来のあるべき姿なのだが、手を挙げて質問をするという行為は多くの人にとって心理的抵抗が高い。一番重要なのは質問を出してもらうことなので、LINEだろうが何だろうが使えるものは使った方がよい。実際、これを始めてみると、質問すること自体のハードルも下がったようで、手を挙げての質問も出てくる。
教室にある二つのスクリーンのうち、一つには授業で使用しているパワーポイントのスライドを、もう一つはLINEのタイムラインを常時表示しておく。そうすれば、LINEで質問が上がると全員がすぐに分かる。ただし、教員はスクリーンを背にして説明することが多いので、見逃すこともあるのだが、そんな時は学生の誰かが、「センセー、LINE上がってるよ」と教えてくれる。
実は数年前からTwitterを用いて同様のことを行っていた。授業のハッシュタグを作成して、Twitterでハッシュタグをつけて質問やコメントをしてもらうのだ。
しかし、毎回ハッシュタグをつけるのは面倒だし、授業に全く関係のないフォロワーの人たちにも質問やコメントが流れて行くので、やや心理的抵抗もあったと思われる。受講生の一部は「これから90分間は授業関係の質問をつぶやく可能性があります」なんてわざわざ断っていたりした。それが、LINEでは心配する必要はない。単にTwitterをLINEに変えただけであるが、圧倒的にLINEの方が使い勝手はよい。
女子大の学部1年生、約半数はFacebookのアカウントを持っていない
実は、このLINEの導入は少し迷った。
理由は、それまでも、Twitterで同様のことができていたこと、そして、自分自身がLINEよりもFacebookの利用頻度の方が高かったので、LINEを使おうという発想があまりなかったのだ(Facebookは前から授業で活用しているが、これは後述する)。
しかし、ちょうど4月に発刊されていた週刊ダイヤモンドの「LINE特集」号で紹介されていた様々なLINE活用法に触発され、「これは導入しないとダメだな」と思うに至った。
そして、今回の顧客(受講生)は学部1年生である。これまでは、学部3年生以上の授業しか担当していなかったが、3年生になると就活が視野に入るので、行動様式が大人のそれに近くなる、あるいは、大人にあわせるようになる。
しかし、相手が1年生となると話は違う。こちらから彼女たち(うちは女子大なので「彼ら」は存在しない)の行動様式に合わせて歩み寄る必要がある。いくつかの調査では10代ではLINE、30代、40代あたりではFacebookの利用率が高いと報告されていたこともあり、学部1年生だとLINEへの親和性が最も高いだろうと予測した訳だ。
そこで、学部1年生向けの必須科目『ビジネスと会計』の最初の授業で受講生に聞いてみた。
「Facebookのアカウントを持っていないひと~?」
すると約半数が手を挙げた。約半数がFacebookを使っていないというのは、それまでに見聞きしていたいくつかの調査報告ともほぼ整合的である。しかし、本当に半分もの学生がアカウントを持っていない(使っていないのではなく、アカウントを持っていないのだ)状況を目の当たりにすると、「じぇじぇ!」である
次にTwitterのアカウントを持っていない人、およびLINEのアカウントを持っていない人を聞いてみたが、これらは皆無に近かった。ほぼ全員がこの二つのソーシャルメディアのアカウントは保有しているということになる。
この瞬間に、授業へのLINE導入は決定的となった。続けて、TwitterとLINEのどちらを使いたいかと聞いたところ、圧倒的多数によりLINEが採択された。LINEの場合だと、他の友達とどんなやりとりをしているかが見られないが、Twitterだと見られてしまう。やはり、Twitterで書いている内容を見られたくないという心理が働くのであろう。あとは、アカウントはTwitterとLINEの両方を持っているものの、LINEの方がより彼女たちの生活に浸透しているということもあると思われる。
最後に念のため、「でも、55人もの人数をLINEで一つのグループに登録するのは大変じゃない?」と聞いたところ、「全然」という答え。学生たちに任せたところ、本当にあっという間に55人全員がグループに登録した。
彼女たちがFacebookを使わない理由とは・・・?
少し話は変わるが、先月、学部1年生の3泊4日の研修合宿に同行した。中身は、アウトレットモールでの実地ビジネス調査、ネイティブの英語教員を動員しての英語漬け日の設定、プレゼン発表など、ビジネスを意識したてんこ盛りのもので、研修から戻ってくると教員もぐったりである。
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