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【信用取引入門:第4回】最終回は信用取引の実践編!信用取引のルールと注意点を知り利益につなげよう!

2014年6月13日公開(2022年3月29日更新)
久保田正伸
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今回はより実践的な信用取引の情報をお伝えする。信用取引の弁済方法、注意点、情報の見方・使い方などだ。ハイリスクな部分を知れば、ハイリターンを得る機会は巡ってくるのだ。

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空売りが利益になるしくみとは?~4つの弁済方法

 なぜ、空売りをすると、株価が下落した場合に利益につながるのか。信用取引の注文方法を知れば、信用取引のしくみ自体が見えてくる。信用取引の4つの弁済方法について理解しよう。

 最初の取引(新規建て)では、買い付け、または売り付け(空売り)を行う。それに対する弁済方法は、反対売買、または現物株を使う方法もある【図表1】。

【図表1】
新規
買い建て 売り建て
証券会社からお金を借りて株を買う 証券会社から株を借りて市場で売り付け、
約定金額を受け取る
弁済方法
反対売買
「転売」
現物株で引き取る
「現引き」
反対売買
「買い戻し」
現物株で返す
「現渡し」
株式を市場で売却。
売却代金を証券会社に
返済する
証券会社から借りた金額
(買付け約定金額)を
返済し、現物株を引き取る
信用売りで得た代金で
株を買い付け、買付株式を
証券会社に返済する
証券会社から借りた株と
同じ現物株を返済して、
当初の売り付け時の代金を
受け取る

 買い建ては、証券会社からお金を借りて株を買う(「買方金利」がかかる)。反対売買では、株を売って当初借りた金額の返済にあてる。弁済時に株価が上がった場合には、借りた金額との差額が利益になる。弁済時に株を売らずに、当初の約定金額を払って、現物株を引き取るのが「現引き」だ。

 一方、売り建ては、証券会社から株を借りて市場で売り付け、約定金額を受け取る(「貸株料」がかかる)。反対売買では、同じ株を同じ株数だけ買って、証券会社に返す。つまり、弁済時に株価が下落していれば、割引価格で買える=株価下落が利益につながるのだ。

 証券会社に弁済する現物株は、必ずしも弁済時に市場で買う必要はない。すでに持っている同種の現物株があれば、弁済に充てられる。そして、当初の約定金額を受け取る。これを「現渡し」という。この場合、現渡しする株の取得金額と、空売り時の約定金額の差が損益になる。

利益のヒントにもなる!? 信用取引の注意点

 信用取引は借金で、身の丈以上の金額の株取引が可能となるため、現物株にはないリスクや、取引の決めごと、規制などがある【図表2】。思わぬ損失を被らないために、取引を行う上で、ぜひ知っておきたい知識だ。ここでは、単なるルール説明だけでなく、実例や対処法、利益につながる情報なども紹介しよう。

【図表2】信用取引の注意点
項目 注意点
A ハイリスク・ハイリターン 最大レバレッジ3.3倍
B 追証(おいしょう) 追加保証金
C 弁済期限 金利、期限超え手数料
D 規制措置 委託保証金の引き上げ、空売り規制など
「空売り」時の注意点
E 踏み上げ 最大レバレッジ3.3倍
F 逆日歩 追加保証金
G 貸株申込み制限措置 貸株申込みの制限、または停止

【A】ハイリスク・ハイリターン~レバレッジをかけない手もある

 「現物株の取引で損失が出た。資金が不足しているが、損失を取り返すには、信用取引で今以上の株数で一気に儲ければいい」。

 こんなことを考えた方はいないだろうか。とても危険な信用取引の使い方と言える。相場で勝つ実力がないのに、大きな資金を投入すれば、取引の結果は想像にかたくない。

 信用取引では、最大3.3倍のレバレッジがかけられるが、「3.3倍のレバレッジをかけなければならない」という意味ではない。100万円の株を信用取引する場合に、100万円の保証金を預けて取引を行えば、レバレッジは1倍だ。

 レバレッジのリスクを取らなくても、空売りや低コストなど、信用取引のメリットをいかす使い方もあるのだ。高レバレッジ取引は、相場の経験豊富な実力者になってからでも遅くない。

【B】追証(おいしょう)~発生を防ぐサービスを活用しよう

 信用取引の保証金率は、証券会社ごとに決まっている。また、最低限必要な保証金は、30万円となっている。各社の保証金率は、「ネット証券を信用取引コストで比較!」に掲載してある。

 たとえば、GMOクリック証券の場合、委託保証金率は30%、最低保証金維持率25%だ。保証金が建玉総額の30%を下回ると、現物取引、信用新規建て、出金ができなくなる。

 さらに、保証金率が引値基準で25%を下回ると、追加保証金(追証)が発生する。追証が発生した例を【図表3】に示した。

追証の対応策は2つある

 追証を解消する方法は2種類ある。ひとつは、追証で発生した金額を現金で入金すること。もうひとつは建玉を決済することだ。

 損失拡大中の建玉に現金を投入して建玉の延命を図るか、いったんその取引を終了させるかの二択となる。えてして損失は膨らみはじめると拡大するもの。決済すれば、損失の拡大だけは防げる。レバレッジ取引の場合、リスクの芽を早めにつみ取り、大敗しないことが重要だ。

 できれば追証が発生する手前で早めに損切りし、かすり傷で食い止めたいもの。多くのネット証券では、「逆指値」という注文をセットできる。この注文により、損失が膨らんだ場合にあらかじめ決めた株価で損切りが自動発注される。普通は1週間、10日間など、注文を出しっぱなしにできるので、毎日設定する手間は不要。ザラ場が見られない人でも損失拡大のリスク対策が取れる。

 また、マネックス証券では、信用取引自動決済発注サービス「みまもるくん」を提供している(無料)。新規建てをする時点でこういったサービスを利用して、負けが膨らまないように対応策も講じておくとよい。

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注)この表は2024年11月4日時点の情報に自動更新されているため、記事執筆時の情報とは異なっている場合があります。

【C】弁済期限~期限がないのは便利だが金利はかかる

 信用取引には弁済期限がある。制度信用取引の場合は6カ月だ。一般信用取引の場合は、多くのネット証券で、3年、無期限といった弁済期限が長期のサービスを提供している。

 ただし、無期限の一般信用でも金利はかかる。ふつうは一般信用の方が、制度信用よりも金利が高い。たとえば、100万円の建玉、3%の金利で1年間たつと金利は約3万円となる。

 また、弁済期限の〆切にも注意。超えてしまうと手数料が割高になる場合がある。ネット手数料ではなく、コールセンター手数料や、対面取引手数料が適用される証券会社もある。

 弁済期限が短期のサービスなら特に期限に注意。松井証券デイトレード専用「一日信用取引」の場合、当日中に手じまえば手数料無料だが、持ち越してしまうと手数料0.3%(最低手数料20円*税抜)がかかる。

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注)この表は2024年11月4日時点の情報に自動更新されているため、記事執筆時の情報とは異なっている場合があります。
【D】規制措置~保証金率の引き上げや空売りの停止など

 信用取引の利用が過度になった銘柄に対して、委託保証金率の引上げなどの規制が行われる。規制の概要については【図表4】のとおりだ。

【図表4】信用取引の規制
規制 内容 公表・実施団体
日々公表銘柄の指定 信用取引の利用が多くなった銘柄の残高・信用取引利用率について公表 東京証券取引
規制措置 委託保証金率の引き上げ、代用の制限(現金の差入れ) 東京証券取引
貸株注意喚起 貸借取引の貸株(信用売り)利用が増加している銘柄を公表 日証金
貸株申込み制限措置 貸借取引の貸株(信用売り)利用が増加した場合、新規の貸株申込みの受付を制限・停止位 日証金
空売り規制 空売り時の注文指値の価格規制。ただし、個人投資家が行う1回あたり50売買単位以内の取引は規制の適用除外。 東京証券取引

 委託保証金率は通常、30%、33%としている証券会社が多いが、規制が行われると、50%、70%などに引き上げられる。

 規制内容は、東京証券取引所や日証金などで公表されるが、各証券会社でも確認できる【図表5】。規制の内容は証券会社によって若干異なる場合がある。

【図表5】規制措置が行われた銘柄(SBI証券の画面)。取引所では「保証金率を50%以上(うち現金20%以上)」と公表されたが、この時、SBI証券では「委託保証金率53%(うち現金20%)」と、保証金率が少し上乗せされた。

【E】踏み上げ~株価上昇に拍車がかかるしくみ

 信用残の情報を見ると、投資家の取引動向が見えてくる。東京エレクトロン(8035)の週足チャートを例に説明しよう【図表6】。下段には、信用残(信用取引の残高)の情報が折れ線グラフで表示されている。ここで買い建ての残高、売り建ての残高の増減推移がわかる。

【図表6】東京エレクトロン(8035)週足。下段は信用残。松井証券で表示。

 このチャートの傾向を読みとると、株価が下落局面では信用買残が増加し、上昇局面では信用売残が増加している。株価の動きに逆行する「逆張り」をしている人が多いようだ。最近では、売残が買残を逆転して多いが、株価は上昇の勢いを強めている。

 この時、空売りしている人の気持ちは、含み損が増えて「つらい」。理論上、株価の上昇は、下落と違って際限がない。放っておけば損失はどこまで拡大するかわからない。

 苦しくなった売り手は、損を覚悟で決済(買い戻し)。すると、株価上昇にさらに拍車がかかる。この状況を「踏み上げ」という。空売りをする場合には、こういった状況に陥らないように注意が必要だ。なお、信用取引の状況(取り組み)の見方、踏み上げ銘柄の探し方については後述する。

【F】逆日歩~金利は受渡日ベースで計算する
【G】貸株申込み制限措置

 「品貸料(逆日歩)」とは、制度信用取引の売り建てで、株不足になると発生する追加の銘柄レンタル料だ。日証金などの証券金融会社で貸株超過の場合に、不足する株式を調達するためのコストとなっている。

 厄介なのは、取引した翌日のお昼頃にならないと逆日歩がいくらかわからない点だ。人気銘柄の場合、高額な逆日歩がつくこともある。

 逆日歩や金利は、営業日ベースではなく、土日祝日も含めた建玉日数で料金が加算される。また、日数は、約定日ではなく、株券の受渡日で計算される。

 【図表7】は、1日に新規建てし2日に返済したケースと、2日に新規建てし、3日に返済したケースだ。ともに翌日返済だが、2日に新規建てしたケースでは、受渡日ベースでは土日を含めて3日後となるので、逆日歩は3日分、金利は建日当日を含め4日分がかかる。受渡日を想定しておかないと、予想外にコストがかさむケースがあるので要注意だ。

 逆日歩が発生する一例として、株主優待の人気銘柄がある。空売りを利用して株主優待をタダ取りする技や、逆日歩の注意点、対処法については、「実践!株主優待の基本からお得なトレード法まで教えます!」で紹介している。

 制度信用取引で売り建てが増加し、日証金など証券金融会社が株式の調達が困難になると、貸株申込み制限措置が行われ、新規の売り建ては停止される。

 なお、逆日歩や貸株申込み制限措置は、制度信用取引の話。一般信用取引に逆日歩はない。一般信用で空売りができるのは、カブドットコム証券松井証券など、一部の証券会社に限られている。ただし、一般信用でも人気銘柄の場合は、株不足になる場合があるので、必ずしも空売りできるとは限らない。

信用取引情報の読み方と活用のコツ

 信用取引の情報は、ふつうは各証券会社の情報画面で見られる。個別銘柄、ランキング情報、スクリーニング機能を提供している証券会社も多い。

 【図表8】は楽天証券で表示される信用情報だ。情報は2種類ある。ひとつは東京証券取引所が毎週第2営業日(通常火曜日)に公表している「二市場残」(東京・名古屋)。こちらは市場全体の状況がわかるが、更新は週1回。

 もうひとつは日証金が提供している「日証金残」のデータだ。こちらは日証金が取り扱う貸借取引のデータのみだが、毎日情報が更新される。

 【図表8】に掲載された日証金残の欄の見方だが、「貸株」は「信用売り」を示し、「融資」は「信用買い」を示している。そして、「信用倍率」(貸借倍率)は、「買残」÷「売残」で算出される。【図表8】の場合、この値が「1以下」、つまり売建の方が買建より多いことを示している。

【図表8】楽天証券で見られる大王製紙(3880)の信用情報。「逆日歩」のタブをクリックすると、逆日歩の履歴が見られる。

 この倍率は取引に色々応用ができる。ひとつは、前述した「踏み上げ」現象だ。売り建てしている人は、将来、必ず反対売買を行う(買う)。信用倍率の低い銘柄(「取り組みがいい」とも言う)が上昇すると、反対売買が促進されて、株価上昇に拍車がかかる。

 一方、倍率が高すぎる場合(「取り組みが悪い」と言う)、「今後上値が重いだろう」と予想がつく。信用買残は後々必ず反対売買で売ってくるからだ。

 また、多くのネット証券のスクリーニング機能には、信用残のデータを条件として組み込める。「踏み上げ銘柄」を見つけたい場合、信用倍率が低く、高値圏にあって、ある程度売買代金がある銘柄という条件で探す手が考えられる【図表9】。この条件で探せば、上昇トレンドにある好取組銘柄の発見が期待できる。

【図表9】楽天証券の「スーパースクリーナー」で「踏み上げ」が起きていそうな銘柄を検索。検索条件は画面左側に表示。

 信用取引の動向は、その銘柄の今後の値動きに大きな影響を与える。また、銘柄選びの基準にもなる。現物株を含め、株式取引をする前に、信用取引の情報をを必ずチェックしておこう。

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(CFD)
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1日100万円まで取引は売買手数料無料! 1約定ごとプランの売買手数料も最安レベルで、コストにうるさい株主優待名人・桐谷広人さんも利用しているとか。また、27歳以下なら現物株が売買手数料が無料で取引できるのもメリット。信用取引の売買手数料と買方金利・貸株料も最安値レベルで、一般信用売りも可能だ! 近年は、各種ツールや投資情報の充実度もアップしており、売買代金では5大ネット証券に食い込むほど急成長している。商品の品揃えは、株式、FXのほか、外国債券やCFDまである充実ぶり。CFDでは、各国の株価指数のほか、原油や金などの商品、外国株など多彩な取引が可能。この1社でほぼすべての投資対象をカバーできると言っても過言ではないだろう。なお、国内店頭CFDについては、2023年末まで10年連続で取引高シェア1位を継続。頻繁に売買しない初心者やサラリーマン投資家はもちろん、信用取引やCFDなどのレバレッジ取引も活用する専業デイトレーダーまで、幅広い投資家におすすめ!
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1約定ごと(税込) 1日定額(税込) 投資信託
※1
外国株
10万円 20万円 50万円 50万円
◆SBIネオトレード証券(旧:ライブスター証券)⇒詳細情報ページへ
0円
(1日定額)
0円
(1日定額)
0円
(1日定額)
0円/ 36本
(米国株CFD)
【SBIネオトレード証券のおすすめポイント】
以前はライブスター証券だったが、2021年1月から現在の名称に。売買手数料を見ると、1日定額プランなら1日100万円まで無料。1日100万円超の価格帯でも大手ネット証券より割安だ。そのうえ信用取引の売買手数料が完全無料と、すべての手数料プランにおいてトップレベルの安さを誇る。そのお得さは株主優待名人・桐谷さんのお墨付き。2023年10月に新取引ツール「NEOTRADER」が登場。PC版は板情報を利用した高速発注や特殊注文、多彩な気配情報、チャート表示などオールインワンの高機能ツールに仕上がっている。また「NEOTRADER」のスマホアプリ版もリリースされた。低コストで日本株(現物・信用)やCFDをアクティブにトレードしたい人におすすめ。また、売買頻度の少ない初心者や中長期の投資家にとっても、新NISA対応や低コストな個性派投資信託の取り扱いがあり、おすすめの証券会社と言える。
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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。

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