【今回のまとめ】
1.先週の米国株式市場は高かった
2.ジャクソンホールでは何も新しい事は出なかった
3.イエレン議長は、かく乱するようなメッセージを乱発した
4.その陰で、長期に渡り、何が何でもゼロ金利を維持する方針は、引込められた
5.データ次第という言い方は、明日にも豹変する可能性があることを示唆
米国株式市場は堅調
先週の米国株式市場はダウ工業株価平均指数が+2%、S&P500指数が+1.7%、ナスダック総合指数が+1.6%と堅調でした。
ジャクソンホールのイエレン議長のスピーチ
注目されたジャクソンホール・シンポジウムにおけるイエレン議長のスピーチは、結論から言えば何も新しい事は出ませんでした。
イエレン議長は、普段にも増して、利上げを考慮する際の注目点を、あれこれ片っ端から列挙し、せっせと「煙幕」を張りました。
具体的には失業率にはもちろん注目するけれど、最近、連邦準備制度理事会のスタッフが考案した19のデータポイントから構成される労働市場コンディション指数(LMCI)も参考にするということがシグナルされました。
労働市場は改善しているようでもある、そうでない面もある……
そういう、どっちつかずの、市場参加者をかく乱させるメッセージがスピーチ全体に散りばめられていました。そして「でも結局、データ次第なのよねぇ」という一言を添え、FRBの意図を読みことを不可能にしたわけです。
このスピーチの後のフェデラルファンズ・フューチャーズの動きを見ると、投資家は金縛りにあったようにほとんど動いていません。そこではこれまで通り、来年の6月頃に最初の0.25%の利上げがあり、9月までにはさらに0.25%利上げされるようなシナリオを織り込んでいます。
鳴り物入りで囃された割には、ジャクソンホール・シンポジウムは「肩すかし」に終わったのです。
しかし……
それではジャクソンホール・シンポジウムでイエレン議長は何も達成しなかったのか? といえば、それはそうではありません。
これまで鎖につながれていた投資家は、気がつかないうちに足かせを外されていたのです。
つまり投資家はFRBから「当分の間、ずっと遠い将来まで、未来永劫に政策金利はゼロに据え置く」という誘導をこれまで受けてきました。しかしデータ次第(data-dependent)という言い方は「あ、そりゃそのときのデータ一発よ」という感じで、豹変しなければいけないデータが出れば、あっという間に景色が変わるのだというニュアンスに、こっそり置き換えられているのです。
でも投資家は「ずうっとこのままだ」という催眠術から未だ目を覚ましていないので、自分の足首からチェインが外されていることに気付かないわけです。
実体経済を見ると
もちろん、現在はインフレのプレッシャーがぜんぜん無いですから、FRBが慌てて利上げしなければいけない要素はありません。
ただ物価が安定している背景には今だけの特別な事情に助けられている面も多分にあるのです。
例えば原油価格がここへきて急落したのは、ロシアに対する経済制裁が関係しています。これまでEU(欧州連合)はロシアに対する経済制裁にはあまり乗り気ではありませんでした。しかしアムステルダム発のマレーシア航空MH17便が東ウクライナ上空で撃墜された事件で、EUは嫌々ながら経済制裁の強化を決めました。
折り悪くロシア最大の石油会社ロスネフチは去年440億ドルを投じてTNK-BPを買い取ったばかりでしたので、債務負担が大きくなったところでした。楽勝で借金を返してゆける見通しだったものが、経済制裁で石油を輸出できなくなると将来の資金のやりくりに困ってしまいます。
そういう思惑から先物市場で原油を売りつないでおこうという動きが出て、原油価格が下落したのだと説明されています。
またロシアに対する経済制裁は、ロシアだけでなくドイツなどの輸出国をも苦しめます。このためドイツ実業界のセンチメントは暗転しています。
つまり、今は地政学的な要因によるデフレ的な圧力が重なっているのです。データの中に、インフレの芽をぜんぜん感じさせない理由は、このためです。
実体経済は、米国も、欧州も、最近のデータが示すよりは良い内容だと思います。
FRBは既に投資家に引導を渡している
ウクライナで起きている事は、長期化するかも知れないし、一過性の事かも知れません。それは、われわれのような一般投資家は知る由もないことなのです。
しかしFRBの超低金利を維持する期間(デュレーション)に関するガイダンスが、これまでの、「何が何でも長期」というメッセージから「データ(経済指標)次第で臨機応変に」という表現に完全に変わってしまっていることを見逃して、後になってそれを地政学的条件の急変のせいにすることは出来ないのです。
つまり「データ次第」ということをイエレン議長が繰り返し口を酸っぱくして語っているのは、平たい日本語に直せば「あんたら、気いつけんとアカンよ」と言っているのに他ならないのです。
【※米国株を買うならこちらの記事もチェック!】
⇒米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!
| ※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。 |
【2025年12月1日時点】
「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社 |
| ◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約4900銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
|
【SBI証券のおすすめポイント】 |
|
| 【関連記事】 ◆【SBI証券の特徴とおすすめポイントを解説!】株式投資の売買手数料の安さは業界トップクラス! IPOや米国株、夜間取引など、商品・サービスも充実 ◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社! |
|
| ◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5100銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【楽天証券おすすめポイント】 米国、中国(香港)、アセアン各国(シンガポール、タイ、マレーシアなど)と幅広い銘柄がそろっており、米国株の信用取引も利用可能! 指定の米国ETF15銘柄については買付手数料が無料で取引ができるのもお得。米ドル⇔円の為替取引が0円と激安! さらにNISA口座なら、米国株の売買手数料が完全無料(0円)。米国株の注文受付時間が土日、米国休場を含む日本時間の朝8時~翌朝6時と長いので、注文が出しやすいのもメリット。米国株式と米国株価指数のリアルタイム株価、米国株オーダーブック(板情報)、さらに米国決算速報を無料で提供。ロイター配信の米国株個別銘柄ニュースが、すぐに日本語に自動翻訳されて配信されるのもメリット。米国株の積立投資も可能。米国株の貸し出しで金利がもらえる「貸株サービス」も行っている。 |
|
| 【関連記事】 ◆【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実! ◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい! |
|
| ◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5100銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【マネックス証券のおすすめポイント】 外国株式の取り扱い銘柄数はトップクラス! また、米国株の買付時の為替手数料が0円(売却時は1ドルあたり25銭)となるキャンペーンが長期継続しており、実質的な取引コストを抑えることができる。さらに、外国株取引口座に初回入金した日から20日間は、米国株取引手数料(税込)が最大3万円がキャッシュバックされる。米国ETFの中で「米国ETF買い放題プログラム」の対象22銘柄は、実質手数料無料(キャッシュバック)で買付が可能。米国株の積立サービス「米国株定期買付サービス(毎月買付)」は25ドルから。コツコツ投資したい人に便利なサービス。米国株は、時間外取引に加えて店頭取引サービスもあり日本時間の日中でも売買できる。しかもNISA口座なら、日本株の売買手数料が無料なのに加え、外国株(海外ETF含む)の購入手数料も全額キャッシュバックされて実質無料! 企業分析機能も充実しており、一定の条件をクリアすれば、銘柄分析ツール「銘柄スカウター米国株」「銘柄スカウター中国株」が無料で利用できる。 |
|
| 【関連記事】 ◆【マネックス証券の特徴とおすすめポイントを解説】「単元未満株」の売買手数料の安さ&取扱銘柄の多さに加え、「米国株・中国株」の充実度も業界最強レベル! |
|
| ◆松井証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5000銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【松井証券のおすすめポイント】 米国株の売買手数料は他の大手ネット証券と同水準なうえ、為替手数料は完全無料(0円)とお得!さらにNISA口座では、米国株の取扱手数料が無料に! 米国株でも信用取引が可能で手数料が業界最安水準。2025年7月から米国株のプレマーケットに対応し、日本時間18時(夏時間は17時)から取引が可能になったのもメリット。さらに投資情報ツール「マーケットラボ米国株」や専用の取引ツール、リアルタイム株価が無料、夜間での取引に便利な返済予約注文(IFD注文)、米国株専用ダイヤル「米国株サポート」や「株の取引相談窓口(米国株)」などが特徴となっている。また、米国株専用の「松井証券 米国株アプリ」は、リアルタイム株価の表示に加え、米国株の情報収集から資産管理、取引までスマホで対応可能だ。 |
|
| 【関連記事】 ◆【松井証券のおすすめポイントは?】1日50万円以下の株取引は手数料0円(無料)! その他の無料サービスと個性派投資情報も紹介 ◆「株初心者」におすすめの証券会社を株主優待名人・桐谷広人さんに聞いてみた! 桐谷さんがおすすめする証券会社は「松井証券」と「SBI証券」! |
|
| ◆moomoo証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約6300銘柄以上 | <現物・信用取引>約定代金の0.132%(上限22米ドル) |
| 【moomoo証券のおすすめポイント】 米国やカナダ、オーストラリア、シンガポール、マレーシアなどグローバルにサービスを展開するネット証券。米国株には特に力を入れており、取扱銘柄数は業界トップクラス。売買手数料も大手ネット証券の4分の1程度だ(ただし売買手数料の上限は22米ドルと他社と同水準)。さらに、為替手数料が無料なので、米国株の売買コストのお得さでは頭ひとつ抜け出している。米国株に関するデータや情報も充実。最大上下60本の板情報や過去20年分の財務データ、大口投資家の売買動向など、銘柄分析に役立つさまざまな情報が無料で利用できる。24時間取引に対応しているので、日本時間の昼間にも売買が可能。1ドルから米国株を買うこともできる。取引アプリには対話型AIの「moomoo AI」を搭載。米国株の基礎知識から米国市場の動向、銘柄分析まであらゆる質問に答えてくれるので、米国株初心者には力強い味方となるだろう。 |
|
| 【関連記事】 ◆【moomoo証券のおすすめポイントを解説】米国株投資家には特におすすめの米国生まれのネット証券! プロレベルの高機能ツールやAIツールも魅力! |
|
| ※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |



































