【今回のまとめ】
1.アリババはどえらい儲かっている
2.予算オーバーしたくなければ、指値をすること
3.NYの19日朝のヤフー(YHOO)株の動きに注目せよ
4.公募価格割れを買ってはイケナイ
アリババ取引開始は9月19日
中国のeコマース企業、アリババ(ティッカーシンボル:BABA)が、今週、いよいよニューヨーク証券取引所にデビューします。日本の一部のネット証券(SBI証券など)でも上場初日からアリババ株を取り扱うところがあります。そこで今日はアリババ株の上場直後のトレードの仕方について、私の考え方を伝授します。
いちばん大事なこと
まずアリババ株に関して皆さんに知っておいて欲しい最も肝心なコトは「この会社は、どえらい儲かっている!」ということです。下は同社の一株当たりの業績です。なおアリババの会計年度は3月〆です。従って下のグラフ中の「2014年」というのは2014年3月で〆た会計年度という意味です。

【略号の読み方】
DPS一株当たり配当
EPS一株当たり利益
CFPS一株当たり営業キャッシュフロー
SPS一株当たり売上高
黄色のSPS(一株当たり売上高)に注目して下さい。2012年から2014年にかけて$1.29、$2.56、$3.41と右肩上がりに伸びています。これはとても良いことです。
次に灰色のCFPS(一株当たり営業キャッシュフロー)を見てください。売上高同様、右肩上がりに伸びているのみならず、数字自体がとっても大きいです。いま営業キャッシュフローを売上高で割ると、営業キャッシュフロー・マージンが計算できます。数式で示すと:
CFPS÷SPS=$1.71÷$3.41=0.5015
これをパーセンテージで表すと50.15%になります。私の考えではピカピカの優良企業の営業キャッシュフロー・マージンは大体、15%から35%程度です。50.15%というのは驚異的な数字です。
アリババは中国国内のeコマース市場で圧倒的なマーケットシェアを誇っており、市場のパイ自体が30%以上で成長しているわけですから、放っておいてもアリババの業績はエスカレーター式に伸びてゆくと予想されるわけです。つまりアリババの魅力を要約すれば:
1.圧倒的に「儲かる構造」になっていること
2.将来の業績の伸びが読み易いこと
に集約されるわけです。
値段、値段、値段!
さて、その企業がどんなに魅力的な投資対象であっても、株価がベラボーに高ければ、リスキーになってしまいます。そこで問題になるのが、初値設定です。
初値設定とは、新規株式公開(IPO)の上場業務を仕切る主幹事証券が、マーケティング活動をするにあたって設定する、想定株価レンジです。
アリババの初値設定は60~66ドルです。
ただし、ロードショウと呼ばれるマーケティング巡業の過程で、人気が高いことがわかると、初値設定を切り上げる場合もあります。だから今後のニュースに注意しておいてください。
なお決定した売出し価格のことを、値決め価格と言います。ここで注意したいことは、皆さんが上場後にアリババに買い注文を入れた場合、買える値段は、たぶん値決め価格ではないということです。
もし人気沸騰銘柄なら、なかなか買いたい需要と売り手の供給が折り合わず、その均衡点は値決め価格よりずっと上だったということはよく起こります。この取引開始価格のことを上場初値と言います。皆さんが買えるのは、この上場初値だということです。
上場初値の注意点
さて、いま仮にアリババの値決め価格が66ドルだったとします。皆さんの使っている証券会社のあなたの口座にある現金が38万円だとします。すると最大限で50株買えるわけです。
50×66=3,300ドル
3,300ドル×107.34(為替レート)=35万4000円
まあこんな感じです。
しかし、もし「成り行き」注文を入れたら、人気沸騰で上場初値が仮に90ドルだった場合、買い付け代金は48万円を超えてしまい、資金が足らなくなってしまうのです。
これを防ぐひとつの方法は、自分が最大限払っても良い値段を計算し、指値をすることです。たとえば「70ドルまで」という感じです。その場合、上場初値が70ドル以下ならば、あなたの出した注文は執行されるはずです。
どうしても上場初値で買いたい人は……
読者の中には(上場後、スルスル株価が騰がってしまうかもしれない。すると下手に指値をして買い逃すと、イヤだな)と感じる方も多いでしょう。
買い値で調整するのがイヤなら、株数を減らすことで調整する以外ありません。でもIPOは全くの博打(ばくち)ですから、どの値段で開くのかを予想することは困難です。
そこで上場初値を予測することはムリでも、せめてその日の投資家のムードを測る方法をお教えします。それは米国に上場されているヤフー(ティッカーシンボル:YHOO)の動きを観察するということです。ヤフーはアリババの大株主のひとりで、上場後も16%株式を保有し続けます。

もちろん筆頭株主はソフトバンク(9984)なのですが、ソフトバンクの株はアメリカでは活発に取引されていないので、直前の投資家のセンチメントを敏感に反映するのは出来高が多いヤフーの方になるのです。実際、下のチャートにあるようにヤフーの株価はアリババのロードショウが開始された9月8日に窓をあけて急騰し、それ以降、じり高を辿っているのです。

ここからが肝心なポイントですが、アリババの値決めは9月18日(木曜日)の引け後に行われます。そして値決めされ次第、18日夜から19日の早朝にかけて機関投資家に「あなたには何株渡します」という分配株数が証券会社から言い渡されるのです。
その場合、自分が予想していたより機関投資家が実際に貰えた株数が少なければ(こんちくしょう!)と思うわけだけど、それは人気が高かったことを意味し、上場初値は一層高くなることを示唆します。
これと反対に、自分が予想していたより機関投資家が実際に貰った株数が多かった場合、(うわぁ、こんなに貰えた! 嬉しいな。だけどちょっと待てよ……こんなに株が回ってきたということは、あんがいこのディールはそれほどホットじゃなかったということかな?)という感じで、投資家は不安を抱くわけです。
アリババの上場初日はニューヨーク証券取引所に注文が殺到するので、取引開始は場が開く現地朝9時半ではなく、たぶん10時半から11時頃になってしまうと思います。その間、投資家はみんな息を詰めて待っているわけです。
しかし……
ヤフーの株は、9時半の寄付きと同時にトレードが始まります。すると(ちょっと待て、何かヘンだぞ)と思った投資家は、まず今すぐにでも処分できるヤフーを売ると思うのです。言い換えれば、ヤフーは「炭鉱のカナリヤ」であり、アリババ株の上場初値を占う、絶好の先行指標になるということです。
公募価格割れの場合
アリババは冒頭で見たように、しっかりした業績を出していますし、ストーリーは良いです。しかし200億ドルを超える大型の売出しでは、予想すらしないアクシデントが起こることもあります。その良い例がフェイスブック(ティッカーシンボル:FB)です。

フェイスブック株は、公募価格を割れたかと思うと、あれよあれよという間に株価は半値になりました。
このようにIPOが公募価格割れを起こすと怒涛の売り物を浴び、すぐには立ち直れないのが通例です。だから値決め価格のすぐ上あたりをウロウロしている場合は、よく見極めてから買っても遅くはないのです。
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