10月下旬から11月にかけて3月期決算企業の中間決算発表が最盛期を迎える。そこで、最近、充実度が増しているネット証券各社が提供する決算関連情報を利用し、決算発表をチェックする6つの基本を伝授。具体的に有望な銘柄情報も紹介しよう。
9月26日(金)からSBI証券の決算情報がグレードアップした。経常利益や会社予想、達成率など、ほぼリアルタイムで更新・確認が可能になっている。その他、見やすい決算情報を提供するネット証券をまとめたのが【図表1】。この情報を活用しつつ、決算情報の見方、6つの基本を紹介しよう。
【図表1】ネット証券各社の見やすい決算情報
ネット証券 | 情報欄 | 個別銘柄欄発表日表示 | 決算発表カレンダー | 業績推移グラフ表示 | 四半期業績表示 | 業績予想/コンセンサス | 決算・業績レポート |
SBI証券 | 国内株式 | ○ | ○ | - | ○ | 四季報/ IFIS |
モーニングスター |
岡三オンライン証券 | 株式投資情報局、岡三ネットトレーダープレミアム | ○ | ○ | ○ | - | 岡三/ ロイター |
岡三レーティング情報 |
カブドットコム証券 | 個別 銘柄情報 |
- | ○(東証主要企業のみ) | ○ | ○ | 三菱UFJモルガンスタンレー/ロイター | 三菱UFJモルガンスタンレー証券 |
松井証券 | QUICKリサーチネット | - | ○ | ○ | ○ | QBR/ QUICK |
QUICK企業研究所 |
マネックス証券 | 決算& 業績予想 |
○ | ○ | ○ | ○ | 四季報/ IFIS |
JPモルガン、TIW |
楽天証券 | 国内株式 | ○ | ○ | ○ | ○ | 四季報/ IFIS |
決算速報(Longine) |
※コンセンサス情報や決算・業績レポートは、表示されない企業もあります。
その1 決算の日程をチェック
決算発表日が掲載されたカレンダーは、【図表1】のすべての証券会社にある。また、SBI証券の場合、口座ログイン後の個別銘柄「業績」欄に決算の日程が表示されており、チャートや株価情報と同様にチェックできる点が便利だ【図表2】。
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その2 過去から未来へ~業績の流れ
株の値動きは企業の利益推移に大きく左右される。過去の利益から今期の通期予想の流れをチェックしよう。
【図表3】の銘柄は今期予想だけでなく、3期先まで順調な利益予想が出ており、株価も堅調な推移が期待できる。
多くのネット証券では四季報情報で業績の推移が数字で見られるが、「QUICKリサーチネット」ならグラフで表示可能【図表1、3】。「QUICKリサーチネット」は、通常は有料コンテンツだが、松井証券利用者なら無料で見られる。
【表2】の一日信用取引の料金とは別途かかる。なお、建玉上限は5月7日以降50単元となっている。
その3 四半期ごとの達成度=進捗率
四半期ごとの決算発表では「進捗率」が重要で、さまざまなことが読みとれる。進捗率とは通期の業績予想に対する、四半期ごとの達成率のこと。【図表1】で「四半期表示」に○がついた証券会社は、進捗率もチェックが可能だ。
進捗率を単純に考えると、1年を4分割した四半期で25%ずつ利益を積み増せば、通期予想が達成できる計算になる。
第1四半期(1Q)で達成率が25%を大きく超えている場合、「会社予想が保守的で今後上方修正が出るかも」といった読みができる。
【図表4】の企業では、第1四半期(1Q)で進捗率がたったの4.3%しかない。しかし、前期の状況(画面の下の方)を見ると、前期の1Qもたったの9.3%だったが、3Q、4Qで挽回して100.1%に達した。過去の推移を見ることで、「1Qの進捗率が低いのは、この企業(業界)の特徴かもしれない」と考えられる。決算短信などで、そういった事情をチェックしてみるといいだろう。
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その4 会社発表履歴から傾向をつかめ!
上方修正や増配など、会社発表の履歴を見ることも重要だ。上方修正や増配などを連続で発表するケースも多い。また、どの四半期のタイミングで発表を出したかも、今後を占う上で参考になる。
【図表5】はSBI証券で表示された会社発表履歴。上方修正や増配など、発表内容がアイコン化されており一目瞭然だ。一般的な「適時開示」情報の場合、企業発表の見出し表示(たとえば、「業績予想の修正に関するお知らせ」)であり、内容を見るには、各見出しをいちいちクリックしなければならない。
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※この表は2024年11月1日時点の情報に自動更新されているため、記事執筆時の情報とは異なっている場合があります。 |
その5 会社予想とコンセンサス予想を比べる
アナリスト予想やコンセンサス(複数のアナリスト予想の平均)と、会社が発表した予想・実績の違いが株価に影響を与える。
たとえば、コンセンサスが会社予想を上回っていれば、上方修正の期待が持てる。コンセンサスを上回る決算発表が出れば「サプライズで株価が急騰!」となるかも。
サプライズの判断を下すには、コンセンサスをあらかじめ知っておく必要がある。コンセンサスは、【図表1】に掲載したすべてのネット証券で見られる。
ところで、三菱電機(6503)、東芝(6502)などコンセンサスが高い企業が多数見つかる便利な一覧表がある。SMBC日興証券のレポート「Weekly Outlook(10月16日)」には、この中間発表時期の主要企業について、決算スケジュールと会社予想、コンセンサス予想などが掲載されている。
SMBC日興証券では、決算発表時期が近づくと、いつもこの表を掲載するので、有望企業が見つけやすい(「Weekly Outlook」の最新号はサイト公開。口座開設者はバックナンバーも閲覧可能)。
マネックス証券の「決算&業績予想」では、コンセンサスを使ったランキング表示が可能だ。「経常利益予想コンセンサス上昇ランキング」は、直近一週間の経常利益予想上昇銘柄が表示される。このランキングデータ(CSVの表形式)は、ダウンロードし自分で加工できる。
そこで、表計算ソフトを使い、経常利益について、コンセンサスと会社予想の乖離率が高い順に並び替えたのが【図表6】だ。表中にあるローム(6963)は、10月16日に上方修正が発表されたが、その他の銘柄も上方修正が出るかもしれない。
【図表6】コンセンサス経常利益かい離が高い銘柄
銘柄名(コード) | 決算発表予定日 | 経常利益かい離(%) | 増益率会社予想(%) | 増益率コンセンサス(%) |
ローム(6963) | 11/6 | 51.76 | -29 | 7.75 |
日本空港ビル(9706) | 11/5 | 31.25 | 32.8 | 74.3 |
住友金属鉱山(5713) | 11/10 | 20.57 | -2.06 | 18.09 |
富士重工業(7270) | 10/31 | 19.46 | 4.95 | 25.38 |
トヨタ自動車(7203) | 11/5 | 17.73 | -2.09 | 15.27 |
日本航空(9201) | 10/31 | 17.62 | -14.36 | 0.73 |
アドバンテスト(6857) | 10/28 | 17.2 | 128.17 | 133.01 |
ANA HD(9202) | 10/30 | 15.93 | 28.12 | 48.53 |
村田製作所(6981) | 10/31 | 15.61 | 11.84 | 29.29 |
住友重機械工業(6302) | 10/30 | 15.22 | 1.52 | 16.97 |
※マネックス証券の「決算&業績予想」の「経常利益予想コンセンサス上昇ランキング」(10月22日時点で過去1週間のコンセンサス上昇銘柄)。
その6 決算発表前後にアナリストの見解を読む
個別銘柄についてアナリストが調査したレポートが読めれば心強いが、複数銘柄のレポートをいちいち探すのは面倒だ。
そこで、マネックス証券の登録銘柄のアナリストレポート表示機能がおすすめ。チェックしたい銘柄をあらかじめ登録しておけば、いつ、どの銘柄にレポートが出たかがひと目でわかる【図表7】。
楽天証券では、今年5月から「決算速報」を開始。主要企業についてのみだが、ベテランアナリストによる決算の第一印象、簡潔な分析が、決算発表の翌営業日の寄付き前に配信される。
ところで、ふつうアナリストレポートは、主要企業のみだが、SMBC日興証券ならば、主要ではない企業でも業績予想などをまとめたレポートが読める。同証券によるレポートに加えて、決算チェックに役立つのが「四季報銘柄レポート」だ。「四季報」の執筆記者による最新の業績予想、業績評価指標が週次更新されている。特に決算発表時期には役立つだろう。
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※この表は、2024年11月1日時点の情報に自動更新されているため、記事執筆時の情報とは異なっている場合があります。 |
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【SBI証券の関連記事】 ◆【SBI証券の特徴とおすすめポイントを解説!】株式投資の売買手数料の安さは業界トップクラス! IPOや米国株、夜間取引など、商品・サービスも充実 ◆「株初心者」におすすめの証券会社を株主優待名人・桐谷広人さんに聞いてみた! 桐谷さんがおすすめする証券会社は「松井証券」と「SBI証券」! |
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0円/日 | 1885本 | ○ 米国 |
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【松井証券のおすすめポイント】 1日定額制プランしかないものの1日の約定金額の合計が50万円以下であれば売買手数料が無料という手数料体系は非常に魅力的。また、25歳以下なら現物・信用ともに国内株の売買手数料が完全無料! 資金が少なく、複数の銘柄に分散投資する初心者の個人投資家にはおすすめだ。その使い勝手は、チャート形状で銘柄を検索できる「チャートフォリオ」を愛用している株主優待名人・桐谷さんも「初心者に特におすすめ」と太鼓判を押す。また、デイトレード限定で手数料が無料、金利・貸株料が0%になる「一日信用取引」や手数料が激安になる「一日先物取引」など、専業デイトレーダーにとって利便性の高いサービスも充実している。「J.D.パワー2024年カスタマーセンターサポート満足度調査<金融業界編>」では、ネット証券部門で1位を受賞した。 ※ 株式売買手数料に1約定ごとのプランがないので、1日定額制プランを掲載。 |
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【関連記事】 ◆【松井証券のおすすめポイントは?】1日50万円以下の株取引は手数料0円(無料)! その他の無料サービスと個性派投資情報も紹介 ◆「株初心者」におすすめの証券会社を株主優待名人・桐谷広人さんに聞いてみた! 桐谷さんがおすすめする証券会社は「松井証券」と「SBI証券」! |
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1約定ごと(税込) | 1日定額(税込) | 投資信託 ※1 |
外国株 | |||
10万円 | 20万円 | 50万円 | 50万円 | |||
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99円 | 115円 | 275円 | 550円/日 | 1764本 | ○ 米国、中国 |
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【マネックス証券のおすすめポイント】 日本株の取引や銘柄分析に役立つツールが揃っているのがメリット。中でも、多彩な注文方法や板発注が可能な「マネックストレーダー」や、重要な業績を過去10期以上に渡ってグラフ表示できる「マネックス銘柄スカウター」はぜひ利用したい。「ワン株」という株を1株から売買できるサービスもあるので、株初心者はそこから始めてみるのもいいだろう。また、外国株の銘柄数の多さも魅力で、4850銘柄以上の米国株や約2650銘柄の中国株を売買できる。「dカード」や「マネックスカード」で投資信託を積み立てると最大1.1%のポイント還元。さらに、投資信託の保有金額に対し、最大0.26%分(年率)のマネックスポイントが付与されるのもお得だ。なお、2023年10月にNTTドコモと業務提携を発表しており、2024年7月からは「dカード」による投資信託のクレカ積立などのサービスが始まった。 |
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【auカブコム証券のおすすめポイント】 MUFGグループとKDDIグループが出資するネット証券で、SB証券や楽天証券などと並んで5大ネット証券のひとつ。日本株は、1日定額制なら1日100万円の取引まで売買手数料が無料(0円)!「逆指値」や「トレーリングストップ」などの自動売買機能が充実していることも特徴のひとつ。あらかじめ設定しておけば自動的に購入や利益確定、損切りができるので、日中に値動きを見られないサラリーマン投資家には便利だ。板発注機能装備の本格派のトレードツール「kabuステーション」も人気が高い。その日盛り上がりそうな銘柄を予測する「リアルタイム株価予測」など、デイトレードでも活用できる便利な機能を備えている。投資信託だけではなく「プチ株(単元未満株)」の積立も可能。月500円から株を積み立てられるので、資金の少ない株初心者にはおすすめだ。「J.D.パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度調査<金融業界編>」において、ネット証券部門で2年連続第1位となった。 |
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外国株 | |||
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0円 (1日定額) |
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【SBIネオトレード証券のおすすめポイント】 以前はライブスター証券だったが、2021年1月から現在の名称に。売買手数料を見ると、1日定額プランなら1日100万円まで無料。1日100万円超の価格帯でも大手ネット証券より割安だ。そのうえ信用取引の売買手数料が完全無料と、すべての手数料プランにおいてトップレベルの安さを誇る。そのお得さは株主優待名人・桐谷さんのお墨付き。2023年10月に新取引ツール「NEOTRADER」が登場。PC版は板情報を利用した高速発注や特殊注文、多彩な気配情報、チャート表示などオールインワンの高機能ツールに仕上がっている。また「NEOTRADER」のスマホアプリ版もリリースされた。低コストで日本株(現物・信用)やCFDをアクティブにトレードしたい人におすすめ。また、売買頻度の少ない初心者や中長期の投資家にとっても、新NISA対応や低コストな個性派投資信託の取り扱いがあり、おすすめの証券会社と言える。 |
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【関連記事】 ◆【ネット証券おすすめ比較】株の売買手数料を比較したらあのネット証券会社が安かった! ◆株主優待名人の桐谷さんお墨付きのネット証券は? 手数料、使い勝手で口座を使い分けるのが桐谷流! |
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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。 |
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