日経225先物取引の手数料は、ひと頃1枚あたりラージ520円、ミニ52円が標準的だった。現在では、大手ネット証券を含め、さらに安い証券会社が増えている。そんな状況下で昨年から今年にかけて、新サービスや値下げを打ち出す証券会社が登場。そのサービスや最新の手数料比較、また、日経先物初心者に向けて、基礎知識や魅力についてもお伝えする。
「先物取引と聞くとなんだか怖い」という感覚を持つ人がいるかもしれない。だが、ネット取引時代になって以降、日経225先物の進化はめざましく、個人投資家にとっても便利で魅力的な商品に変貌を遂げている。リスクを踏まえていれば、むしろ現物株より安全な部分もある。日経225先物の魅力や基本的な知識を知りたい方は、この記事の最後に「日経225先物取引、10のメリット」をまとめたので、そちらをご一読いただきたい。
SBI証券の「J-NETクロス取引」が昨年10月に登場
昨年10月から「J-NETクロス取引」と呼ばれる新サービスを打ち出したのがSBI証券だ。このサービスは、日経225先物と日経225ミニだけでなく、TOPIX先物、ミニTOPIX先物、JPX日経400先物でも利用ができる。手数料は従来通りだが、お得な点がある。
「J-NETクロス取引」は、取引所の立会外市場を使った取引で、トレーダーは大阪取引所よりも有利な価格で取引できる場合がある。実際、J-NET取引で有利な価格で約定した割合について、SBI証券が調査を行っている(昨年11月14日~12月19日)。
その結果は、日経225先物で12.5%(日中)、3.6%(夜間)、日経225ミニ20.8%(日中)、10.4%(夜間)だった。日経225ミニの方がJ-NETで約定する割合が多いようだ。
J-NETの呼値単位は、日経225先物(ラージ)・日経225ミニともに1円だ(大阪取引所では、ラージ10円、ミニ5円)。ミニで1円有利に約定すると、100円お得。2円有利なら200円お得になる。J-NETの取引が増えれば、手数料が5円、10円程度安い証券会社よりもトータルではお得かもしれない。取引量の多いトレーダーは、月間単位でコストを推計してみるといいだろう。
そして、1月16日には楽天証券が値下げを行った。現時点(1月22日時点)では大手ネット証券の中では最安値となっている【表1】。
【表1】日経225先物ネット手数料(税抜き) 赤字=安値ベスト3
証券会社 | ラージ | ミニ | ミニ必要証拠金/ 掛目(1/21時点) |
安藤証券 | 240円 | 40円 | 8万2800円/120% |
岡三オンライン証券 | 300円 | 40円 | 8万2800円/120% |
SBI証券 | 500円 | 50円 | 6万9000円/100% |
カブドットコム証券 | 440円 | 46円 | 6万9000円/100% |
立花証券 *1 | 225円 | 25円 | 8万2800円/120% |
GMOクリック証券 | 260円 | 37円 | 10万3500円/150% |
松井証券 | 300円 | 40円 | 6万9000円/100% |
松井証券(一日先物取引) *2 | 250円 | 25円 | (サービス開始前/約50%) |
マネックス証券 | 330円 | 50円 | 13万8000円/200% |
ライブスター証券 | 250円 | 35円 | 7万5900円/110% |
楽天証券 | 278円 | 38円 | 6万9000円/100% |
*1:日中立会時間のみ取り扱い *2:2月9日開始予定
松井証券が始める「一日先物取引」は破格のコスト
松井証券が2月9日(月)からサービス開始を予定しているのが「一日先物取引」だ。「一日先物取引」では、返済期限が「新規建てしたセッション」限定。デイトレード、しかも「日中取引だけ」とか「夜間取引だけ」の時間限定取引となる。そのかわり、取引手数料が激安に設定された【表1】。
また、通常の先物取引に比べ、2倍以上の高レバレッジ取引が可能となる。つまり、証拠金が従来の半分程度ですむ【表1】。デイトレーダーにとっては朗報だ。
日経225先物の最大レバレッジは、現時点では約25倍だが、「一日先物取引」では約50倍になる。ただし、「レバレッジが従来の2倍だから、取引枚数も2倍に増やせる」と安易に考えない方がいいだろう。
どれだけリスクが取れるか、許容できる損切り額は、自己資金から考えるなら一定になる。以前から先物取引をしている人が、「一日先物取引」でレバレッジを従来の2倍にしたら、損切り幅を半分にしなければならない。一方、従来通りの枚数で取引を行うなら、証拠金として拘束される金額が半分になるメリットを享受できる。
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注)この表は2024年12月8日時点の情報に自動更新されているため、記事執筆時の情報とは異なっている場合があります。 |
日経225ミニ、最安値20円台に突入
証券各社の日経225先物のネット手数料(税抜き)を比較したのが前ページ【表1】だ。日経225ミニの場合、1枚52円だった時代から最近では40円台の証券会社が増え、30円台が最安水準となっている。
松井証券の「一日先物取引」登場で、ついに最安値が20円台に突入する。なお、立花証券も、取り扱いは日中立会のみながら、ミニ25円で提供している。
必要証拠金の設定(掛目)は、SBI証券や楽天証券ほか、大手ネット証券が安めに設定される傾向があるようだ【表1】。一方、従来から手数料の安さが目立つ、安藤証券、岡三オンライン証券、GMOクリック証券、ライブスター証券などは、若干必要証拠金が高めの傾向がある。
その点、松井証券は証拠金額も安めで、「一日先物取引」では約半分になる。日経225ミニでは、現時点なら3~4万円程度の資金で1枚が建てられる。かなり取引がしやすくなるだろう。
日経225先物取引、基礎知識と10のメリット
最後に日経225先物の基礎知識と、メリットについて触れておこう。日経225先物は、証券会社に証拠金を預けることで、取引を行う。
取引価格は、日経225先物(ラージ)で先物価格の1000倍、日経225ミニは100倍の取引となる。先物価格が10円動けば、実際にはラージで1万円、ミニで1000円の値幅が動くことになる。
先物価格が1万7000円ならば、ミニなら現在7、8万円程度【表1参照】の証拠金を預けることで、170万円の取引が可能となる。なお、証拠金額は、相場の状況に応じて週ごとに変更になる。
次に日経225先物のメリットを10個、紹介しよう。
(1)銘柄選びに悩まない~日経平均とほぼ同じ値動きをする「指数先物」
(2)少ない資金で大きな資金が動かせる証拠金(レバレッジ)取引(11/21現在で最大レバレッジ約25倍)
(3)少額から取引が可能(日経225ミニなら10万円前後から)
(4)最低証拠金額を割り込まない限り、同一資金で1日に何度でも回転売買ができる
(5)下落局面でも売り建てで利益が狙える
(6)夜間も(午前3時まで)取引できる
(7)日経225先物は(ラージ・ミニともに)は非常に流動性が高い
(8)信用取引と違って金利や貸株料がかからない
(9)最近は、手数料がかなり安くなった(ただし、証券会社によって異なる)
(10)取引所が高速取引に対応。証券会社によっては取引ツールが高機能に進化中
まとめると、シンプルな銘柄で、取引がしやすく(高い流動性)、買建・売建ができて、少ない資金、安いコストで取引ができる。とても自由度の高い金融商品だと言える。
「高いレバレッジが怖い」という場合、別に高レバレッジで取引する必要はない。170万円(日経225ミニ1枚程度)の取引をする場合に手元資金(証拠金)に170万円があれば、レバレッジは1倍。現物取引と同じリスク度合いになる。つまり、レバレッジは自分でコントロールが可能だ。
また、夜間取引で午前3時まで取引できるため、米国相場の急変動にもかなり対応が可能だ。チャートに窓が開きにくい点や、流動性が高い点を考えれば、むしろ現物株よりリスク対策が取りやすいとも言える。
ただし、取引の自由度の高さは諸刃の剣でもある。単に「大きく儲けたい」という欲に駆られて取引をすれば、大けがをする危険性があることも確か。初めて取引を行うならば、基礎知識を得ながら、少ない枚数から、レバレッジをおさえて始めることをおすすめしたい。
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10万円/日 | 20万円/日 | 50万円/日 | ||
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