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原油価格が下がっている3つの理由とは?また、原油価格の下落で利益を狙うなら買っておきたい石油株とは?

【第378回】 2015年8月10日公開(2025年4月18日更新)
広瀬 隆雄
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<今回のまとめ>
1.原油価格は安値を試す展開へ
2.シェールオイル油井の休止は一巡
3.原油価格はまだ下がるかもしれない
4.石油株を打診買いするなら財務的にしっかりしたエクソン・モービルが良い
5.エクソン・モービルの配当は岩盤

原油価格は今年の安値を試す展開に

 原油価格が今年の安値を試す展開になっています。先週金曜日のウエスト・テキサス・インターメディエーツの引け値は43.75ドルでした。

 原油価格が下がっている理由は、

(1)シェールオイル増産で供給が増え過ぎた
2)イラン核協議合意で経済制裁が解除される
3)中国経済減速でコモディティ全般が売られている

 などによります。

シェールオイル油井の休止は一巡したが在庫の整理は進んでいない

 原油価格の下落で、シェールオイルの油井(下のグラフの青)は去年10月10日につけた1,609本のピークから、今年の6月26日には628本まで減りました。

 しかし油井の休止は一巡した観があります。

 実際、過去6週間のうち5週間に渡ってリグの数は増加しました。

 ここへきて油井が増えている理由は、ダウン・スペーシングと呼ばれる新しい原油採掘方法が編み出されたことによります。

 ダウン・スペーシングとは、油井と油井の間の感覚を今までよりもずっと詰め、ひとつの作業場所で掘る油井の数を増やすことにより操業効率の向上を図る手法を指します。

 大手シェールオイル業者であるEOGリソーセズ(ティッカーシンボル:EOG)がノースダコタ州バーケンでダウン・スペーシングを試み、成功しました。同社は今後テキサス州でも同様の採掘法を行う予定です。

原油価格がまだ底打ちしていないにもかかわらず油井数が増加に転じたことで投資家の間には新たな原油先安観が広がっています。

 下のグラフは米国内の原油生産高です。まだ生産調整はほとんど進捗していないことがわかります。

 したがって積み上がった原油在庫の整理も捗っていません。

 このように原油価格の見通しは楽観を許さないものになっています。

拾うなら独立系よりオイルメジャー株の方が安全だ

 石油株の底値を拾おうとするのは危険な賭けのように思います。独立系石油探索生産会社、石油サービス会社などの株は高値から4~5割近く下落した銘柄が多いのですが、この辺りの銘柄は原油価格の底入れを見極めずに買い出動すると、こっぴどくやられるリスクがあると思います。

 むしろこの局面では配当利回りが下値に対する支えを提供する、オイルメジャーの株の方が安全だと思います。オイルメジャーとはエクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)、シェブロン(CVX)、ロイヤルダッチ・シェル(RDS.A)、BP(BP)、トタール(TOT)を指します。

 その中でも一番財務的にしっかりしている企業はエクソン・モービルです。

 同社はバランスの取れたリソースベースを誇っています。

 株主資本利益率でも安定してグループ内で最高です。

 フリー・キャッシュフローも潤沢です。

 7月末に発表された同社の第2四半期決算では、一株当たり利益(EPS)が予想$1.11に対し$1.00、売上高が予想752.2億ドルに対し741.1億ドルでした。

 売上高成長率は前年比-33.4%でした。これは言うまでもなく原油価格の急落(-44%)が影響しています。

 今期の部門別利益を見ると米国の川上部門(水色)が全く利益を上げなかったことがわかります。

 この米国の川上部門とは、つまりシェールガスならびにシェールオイルを指します。エクソン・モービルは2010年にXTOエナジーを買収し、シェールのビジネスに参入しました。

 去年までのエクソン・モービルの業績は下のように推移してきました。

【略号の説明】DPS(一株当たり配当)、EPS(一株当たり利益)、CFPS(一株当たり営業キャッシュフロー)、SPS(一株当たり売上高)

 今年のコンセンサス予想ではEPSは$4.16が見込まれています。これを現在の配当水準(年間$2.92)と比べてみると、まだ十分に余裕があります。このことからエクソン・モービルの配当が減配になるリスクは、ほぼゼロと言って良いでしょう。従って現在の同社の配当利回りの水準(3.8%)は極めて魅力的だと言えます。

(参考記事)
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