2016年の日本株は最悪のスタートを切り、非常に悪い状況が続いています。大発会の4日から18日まで、10日間の立会がありましたが、前日比で日経平均株価が上昇したのは13日(496.67円高)のわずか1日だけです。1勝9敗です。
この10日間で日経平均株価は終値ベースで2078.14円下落しました。この下落を受け、証券各社の支店や、投資顧問会社には、怒ったり、不安になった顧客から問い合わせの電話が毎日殺到しているそうです。
買い方がほとんどいない株式市場。
個人投資家はギリギリの状態が続く
現在の買い方は、優良株のバーゲンハンターの個人と、年金等の長期資金、一般事業法人の自社株買いくらいしか見当たりません。また、主力の大型株に関しては、バリュエーションからみて割安と判断とされたら、内外の機関投資家からの買いも期待できるでしょう。このため、現状のような相場では、そのような買いが見込める大型株を狙うべきです。
一方、日経平均株価が1万7000円割れの状況を受け、信用取引を行っている投資家には追証が発生、または、維持率がギリギリの追証発生予備軍が多数発生しているもようです。このため、信用取引の比率が東証1部より高く、また、個人投資家の関与率が相対的に高い新興市場中心に、小型材料株の足元の株式需給は相当悪いとみておく必要がありそうです。
いずれどこかで、相場は底打ちすると思います。その際には、指数寄与度の大きい主力の大型株が上がり、日経平均株価を力強く押し上げるステージが最初に訪れ、その後、指数が上げ止まってから、出遅れていた小型株が買い戻される。そんなイメージです。
オイルマネーが売っているとの情報も。
原油先物価格の下落が止まることが肝要
ただし、底打ちするには、外国人の売りが細る、または、買い越しに転じてこないと厳しいです。例えば、1月第1週(4~8日)の投資部門別株式売買動向では、外国人は2週ぶりに売り越し、売越額は4471億円でした。また、1月第1週(4日~8日)の日経平均株価先物とTOPIX先物の投資部門別売買動向では、外国人は7週連続で売り越しました。日経平均株価先物とTOPIX先物を合算した売越額は5533億円でした。外国人は現物(4471億円)、先物(5533億円)、合計で1兆4億円の大幅売り越しです。この規模の売りが続くようだと、底打ちなんて、夢のまた夢です。
真偽のほどは不明ですが、この売りはオイルマネーが主体で、これにヘッジファンドが便乗していると観測されます。このため、外国人の売りが細るためには、原油先物価格の下落に歯止めが掛かる必要があります。中東の産油国のSWF(ソブリン・ウエルス・ファンド)はこれまで、世界の金融市場で巨額の資金運用をしてきた。しかし、足元の急激な原油安で売却収入が目減りしたため、財政赤字となり、その赤字を補填するためにSWFで保有する株式などを売却しているとみられます。
もちろん、原油先物価格が下落を続けても、SWFの売りが一巡すれば、世界の株式市場の底打ちは見込めます。しかし、その売りが根本的に止まるには、原油先物価格の底打ちが必要でしょう。底を打つには、産油国が供給を絞る減産か、中国を中心に世界景気が回復し需要が回復するしかありません。現時点では、これらのどれもメドがついていないので、オイルマネーの市場からの流出及びそれに乗じたファンド勢の売りは続く見通しです。
1月末の黒田バズーカ第3弾を待つ市場。
「ゼロ回答」のショック安発生にも備えろ
一方、国内では、日銀による黒田バズーカ第3弾の有無が注目されます。日銀の黒田東彦総裁は15日の参院予算委員会で「現時点で追加緩和するという考えはない」「物価の基調に変化が生じた場合はちゅうちょなく金融政策を調整する用意がある」と発言しています。
ちなみに、2015年12月の国内企業物価指数は、前年同月比で3.4%下落しました。前月比では0.3%下落し7カ月連続でマイナスです。年平均は消費増税の影響を除くベースでは2.9%下落し、3年ぶりに下落しています。主因は原油価格下落に伴う関連製品の価格の下落です。足元で、原油価格が下落を続けていることに加え、外国為替市場でドル安・円高が進行しているため、1月以降の国内企業物価指数は下落基調を続けそうです。
このような状況下、日銀は1月28~29日に金融政策決定会合を開催します。ここで、黒田バズーカ第3弾が発射されるようなら、日本株は底打ちを果たすかもしれません。ですが、市場に大いなるサプライズを与え、売り方を慌てさせ、大規模な踏み上げを誘うことができるのかどうか、現時点では未知数です。
一方、現状のような株安、円高を受けても、日銀が「ゼロ回答」だった場合のショック安発生もリスクとして留意しておく必要があります。
いまは慌てて投資をする必要はない。
いずれ来る上昇相場のために種銭を残しておけ
それでも、28~29日までは、バズーカ第3弾発射への期待が燻り続けるはずです。本日19日を含むと29日までは9日間の立会です。
リスク選好型の積極的な投資家なら、この間の基本戦略としては、日経平均株価に関しては、18日の1万6665.05円をロスカットラインにした、リバウンド狙いです。最低限の戻りメドは5日移動平均線です。同線をクリアできるようなら心理的節目の1万7500円や、(執筆時点で)今年に入って唯一前日比プラスとなった13日の高値1万7717.75円あたりまでの戻りが見込めると考えます。もちろんこれは、自律反発の範囲内の動きです。
一方、バズーカ第3弾発射への期待が燻り続けるものの、外部環境の悪化(原油安、円高、米株安、上海株安など)が止まらず、外国人の売りが加速し、18日の1万6665.05円は単なる通過点となる可能性も低くはありません。この場合は、28~29日までの日経平均株価は政策を催促することになる見通しです。声なき市場は、下がることでしか政策を催促するしかありません。このため、リスク回避型の慎重な投資家は、あくまでも市場参加は日銀の政策発動の有無を見極めてからということになるでしょう。
あなたがいずれの戦略を採用するにしても、慌てる必要はないと思います。儲けにくい相場が終われば、しばらくすれば儲け易い相場が普通は到来します。大抵の場合、相場はその繰り返しですから・・・。その儲け易い局面で、種銭が無いことが投資家にとって最も辛いことなのです。だからこそ、リスク管理を徹底し、現在の難局を上手くやり過ごし、生き残ることに徹しましょう。
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