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もし、4月に米利上げが実施されると株式市場には“ネガティブ・サプライズ”となる!「Sell in May」(5月に株を売れ)を忘れるな

【第206回】 2016年3月29日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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日経平均株価は足元で堅調に推移しています。ですが、年初からの価格帯別累積売買代金は1万7000円前後が最も多いため、下値は堅いものの、1万7000円オーバーでは戻り待ちの売りが出て、上値も重い状況が続いています。

日経平均株価チャート(日足・3カ月)チャート内のグレーの横棒は価格帯別の出来高 *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 それでも、年初からの相場のかく乱要因だった原油先物価格は落ち着き、産油国の政府系ファンドからのリスクアセット売り圧力が低下しているため、日本株が大きく崩れる要因は、今のところ、見当たりません。

4月に米利上げがあれば「ネガティブ・サプライズ」
6月に予想されている利上げ前にも注意が必要だ

 しかし、今週は3月29日にイエレンFRB議長の講演、週末4月1日には3月の日銀短観や3月の米雇用統計の発表という、日米の重要イベントを控えているため、様子見ムードが強い相場が続くでしょう。

 このような状況下、市場が最も注目しているのは、米国の利上げの有無及び時期ですね。

 ここにきて、FRB幹部から4月利上げを示唆する発言が相次いでいるからです。また、昨年10~12月期の米GDP確定値は前期比年率1.4%増と、改定値の1.0%増から上方修正されたことに加え、2月の食料品とエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)も前年同月比2.3%上昇しています。これらの明るい指標を受け、4月26~27日のFOMCで利上げに踏み切る確率が若干上がりました。

 それでも、大方の参加者は4月の利上げはないとみています。

 ですが、市場の不意を突いて、4月に利上げが実施されたら、株式市場にとっては「ネガティブ・サプライズ」です。なお、市場は年2回の利上げを織り込んでいますが、現時点では、6月14日~15日のFOMCでの利上げが有力視されています。そうなると、6月のFOMC前には、市場が追加利上げを警戒して身構える場面がありそうです。そうなると、5月は「要注意」です。

 よって、今年は「Sell in May and go away, don't come back until St Leger day.」(5月に株を売って、セント・レジャーデイ:9月第二土曜日まで株式市場に戻ってくるな)との相場格言が当てはまるかもしれません。

日本株には中期的な「買いサイン」も出始めたが
急激な円高、原油先物価格の下落などがあれば要警戒

 その一方で、18日時点の裁定買い残(期近・期先合計)は3週連続で増加したものの2兆919億円に過ぎません。積み上げ余地は十分あります。また、18日時点の信用買い残は2兆7052億円と、こちらも積み上げ余地があります。なお、18日時点の信用評価損益率はマイナス10.92%と、5週連続で改善しました。信用買い方の手の内・マインドは改善しています。慌てて売らないといけない状況ではありません。

 よって、5月になって、裁定買い残や信用買い残が、現在よりも大幅に積み上がっていたら、先ほどの相場格言を思い出し、持ち株をいったん売ることも検討すればよいでしょう。

 逆に、裁定買い残や信用介買い残が積み上がる過程では、日経平均株価は順調に上昇する見通しです。また、そのような状況なら、個別株物色も活発に行われるはず。とにかく、日経平均株価が25日移動平均線を上回って推移する限りは、買い方にとって、儲け易い相場が続くことでしょう。

 なお、ここにきて、中期的な買いサインも出始めました。その1つが、13週移動平均線(28日現在1万6774.25円)を上回ってきたことです。2つ目が、MACD(12週-26週)がシグナル(9週)とゴールデン・クロスしたことです。こうなると、今後のメインシナリオは、次のターゲットの26週移動平均線(同1万7955.95円)を目指す上昇局面の到来となります。

 当面は、13週移動平均線を安定的に上回って推移できるか否かが最大の注目ポイントです。同線を安定的に上回って推移できるようなら、当然のことながら、売り方が厳しい状況に陥り、買い方が圧倒的に優位になった段階での「踏み上げ局面」を交えながら、安定的な中期上昇局面に入るはずです。

 ただし、想定外の投資環境の悪化(原油先物価格の急落、急激な円高、欧米株式市場の急落など)を受け、日経平均株価が25日移動平均線を割り込んだら、瞬時に警戒モードに切り替えましょう

止まらない「外国人の日本株売り」に対して
「国内勢の買い」で今後もジリ高が続く可能性

 ところで、東京株式市場では、「外国人売りVS国内勢買い」という需給の構図が続いています。

 3月第3週(14~18日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家の売り越しは11週連続でした。第3週の売越額は4579億円、前週の第2週は1兆1932億円の売り越しでした。このような高水準の外国人売りが止まらないと、日経平均株価の一本調子の上昇は期待薄ですね。

 一方、第3週は、個人が2週連続で買い越しました。また、年金の売買動向を反映するといわれている信託銀行は17週連続で買い越しました。ですが、個人も年金も投資スタンスは「逆張り」です。上値をガンガン買い上がる主体ではありません。トレンドに向う主体です。

 このため、今の需給の構図が変わらない限り、日経平均株価は上がるにしても「急騰」ではなく、「ジリ高」の可能性が高いですね。まあ、短期急騰してしまうと、一気に過熱してしまい、相場があっという間に終わって終わってしまいますから、暫くは「ジリ高」の方がいいでしょう。

 思い返せば、2015年12月から2016年2月までは、買い方にとっては非常に厳しい環境でした。日経平均株価は2015年12月1日の2万12.40円から今年の2月12日の1万4865.77円まで5146.63円(25.72%)も急落したのですから。それでも、3月14日には1万7291.35円まで上昇し、半値戻しの1万7439.09円に迫る場面がありました。2月12日までは売り方が圧倒的に優位でした。

日経平均株価チャート(日足・6カ月)*チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 しかし、日経平均株価がここまで戻したことで、売り方と買い方は、「がっぷり四つ」の状況となり、勢力は拮抗状態になったと思います。ですが、土俵際から一気に戻したのが買い方ですから、勢いは買い方にあると思います。

 とにもかくにも、日経平均株価が2月12日で底入れして以降、多くの買い方の資産は順調に増えている(回復している)はずです。今のような投資環境は、買い方にとって最高の状況です。日経平均株と25日移動平均線との関係を横目に睨みながら、是非、資産を一気に増やしちゃってください。
 

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