4月12日前場の日経平均株価は堅調ですが、新年度入りしてからというもの、円高、日本株安が鮮明です。一方、ドル安で米国株は堅調です。ただし、原油先物価格が年初のように下落基調でないため、世界的にはリスクオフではなく、どちらかといえば、リスクオンです。
世界全体の株式市場との比較では、日本株は「一人負け」の様相を呈しています。すべての元凶は円高です。ですが、日本株の中では、日本を代表する主力株は総じて弱いのですが、新興市場は非常に強い動きを続け、物色は「2極化」しています。
WSJの安倍首相へのインタビューで
「日本政府は為替介入できない」との見方が大勢を占める
円高加速の主因は、市場で、「日本政府は為替介入できない」との見方が強まったことです。その見方が強まったきっかけは、安倍首相が5日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「外国為替市場での恣意的な介入は控えるべきだ」と述べたことでした。これを機に、外国為替市場で、円高・ドル安が加速しました。
なお、5日時点のCMEの投機筋(非商業部門)による円の対ドルの買越幅は3週続けて拡大し、3月8日以来ほぼ1カ月ぶりの高水準にまで積み上がっています。投機筋はさらなる円高を見越し、買い越しを続けています。安倍首相のコメントは、彼らに勇気を与えたことでしょう。
その一方で、麻生財務・金融相は12日午前の閣議後の記者会見で、足元の急激な円高加速について、「一方的に偏った投機的な動きがみられれば、場合によっては必要な措置をとる」「G20の合意内容に沿ってこういったことは行えると思っている」としたことは、円高にブレーキを掛けました。
それでも、4月14~15日のG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれるため、今週は、通貨安競争に通じる「介入」に日本政府は動き難いタイミングとみられています。これも、安心して円を買えるスケジュール的な買い材料なのでしょう。
よって、今週は、口先介入の効果は多少期待できるものの、カレンダー的に円高圧力が強い状況が続く見通しです。そうなると、円相場との連動性の高い日経平均株価の上値が重い状況を余儀なくされるのは仕方ないですね。
バイオ、ドローン、IoT・M2M、遠隔医療、医療ツーリズム、
金庫、自動運転などテーマ別に12銘柄を紹介!
一方、新興市場は元気一杯です。11日の東証マザーズ指数は4日続伸、前週末比32.95ポイント高の1075.20ポイントと、2007年3月以来となる約9年1カ月ぶりの高値でした。12日前場には一時1089.12ポイントまで上昇する場面がありました。
物色テーマは、バイオ、ドローン、IoT・M2M、遠隔医療、医療ツーリズム、金庫(マイナス金利・マイナンバー)、自動運転などが人気化しています。今回はそれぞれの代表格の銘柄をピックアップしておきます(銘柄名をクリックすると最新の株価チャートがご覧になれます)。
<バイオ>
◎そーせいグループ(4565)
子会社「Heptares社」と世界大手製薬会社Allergan plc(アラガン ピー・エル・シー)の完全子会社「Allergan社」が、4月7日、アルツハイマー病等の神経系疾患を適応とする新規ムスカリン受容体サブタイプ選択的作動薬化合物群の開発・販売に係る提携契約を締結しました。
◎グリーンペプタイド(4594)
富士フイルム(4901)と久留米大学発のバイオベンチャーの同社が進める、同大開発のがんワクチンの治験は最終段階に入っているということです。ちなみに、同大は4月11日、当該ワクチンに関して、前立腺がん患者の生存期間が2倍超になる効果を確認したと発表。2018年3月で治験を終え、2018年度後半に医薬品承認を申請し、承認されれば2019年度にも発売というスケジュール(予定)だということです。
◎小野薬品(4528)
同社は小型株ではありませんが、4月11日、抗悪性腫瘍剤「オプジーボ点滴静注20mg、100mg」の2016年3月期売上実績および2017年3月期売上予想を発表しました。2016年2月2日発表の2016年3月期の「オプジーボ」の売上高予想は175億円でしたが、2016年3月期実績は212億円へ上方修正、2017年3月期予想は1260円の見通しだということです。
<ドローン>
◎モルフォ(3653)
資本業務提携している、デンソー(6902)がドローンに参入すると報じられています。ちなみに、モルフォは、同社の技術が画像処理に関連する幅広い分野に応用可能である点に同社の強みがあると思料し、“全てのカメラに知能を持たせる"ことを中期経営ビジョンに掲げ、ネットワークサービス分野及び車載や監視カメラといったスマートフォン以外の組込分野を重要なターゲットと位置付けて、営業活動、マーケティングを推進しています。
◎アクモス(6888)
子会社ASロカスは、ドローンを活用した災害防止監視システムを開発。ドローンにカメラを搭載して崖崩れなど危険箇所を定期的に撮影した画像を3次元にデータ化し、ずれがないか解析・測定します。なお、ASロカスは、地図デジタルデータの入力からビジネス、自治体、営業ツールの地理情報システムの構築、GISエンジンの販売、インターネット地図情報配信を提供しています。
◎ジグソー(3914)
4月11日、IoT/M2M デバイス向け最新IoT チップ(イスラエルAltairsemi.社製)の採用を決定したキャリアへの標準(デファクト)LTE モジュール開発をスタートしたと発表しました。これにより同社グループは「IoT 通信のデータ発信元からの制御・コントロール」が可能になり、データ送信先の選択やデバイスそのものの管理や運用ポリシーに応じた設計も同時に可能(End-to-End サービスの提供)になるということです。
<遠隔医療>
◎MRT(6034)
オプティム(3694)と、国内初となるスマートフォン、タブレットを用いた遠隔診療サービス「ポケットドクター」を発表しました。ポケットドクター」とは、オプティムの持つリモートマネジメントテクノロジーを遠隔診療サービス向けに必要なあらゆる機能を取り込み再構築したテクノロジーとMRTが培ってきた医療情報および医師、医療機関のネットワークを組み合わせることで、医療を必要としている人々と遠隔地にいる医療の専門家をつなぐサービスです。
◎メドピア(6095)
医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」を運営しています。登録する医師(イシコメ・ドクター)がたちがヘルスケア情報の真意を届けるWEBメディア「イシコメ」を、一般向けにグランドオープンしました。また、100%クラウド型診療プラットフォームを展開するクリニカル・プラットフォームと、資本・業務提携し、クラウド型電子カルテ「クリプラ」に蓄積される診療データを活用することで、これまでメドピアが医師の集合知サービスを提供してきた知見を活かして新たなサービス開発を推進するということです。
<医療ツーリズム>
◎日本エマージェンシーアシスタンス(6063)
「医療渡航支援企業」の認証審査に合格し、認証機関である一般社団法人Medical Excellence JAPAN(MEJ)より、「医療渡航支援企業」の「正認証」を国内で初めて受けました。「医療渡航支援企業認証制度」は、質の高い支援サービスを提供できる企業に日本政府が"お墨付き"を与える制度です。
<金庫(マイナス金利・マイナンバー)>
◎日本アイ・エス・ケイ(7986)
マイナス金利、マイナンバー制度実施を受け、手元に現金を持つ人が増え、金庫も売れています。ちなみに同社は、2014年4月2日、キング工業から日本アイ・エス・ケイに社名変更しました。業務用・家庭用耐火金庫、防盗金庫、コンピュータデータ保管庫、耐火ファイリングキャビネット等の製造及び販売を手掛けています。
<自動運転>
◎アイサンテクノロジー(4667)
名古屋大学発ベンチャーのティアフォーと共同で、自動運転技術を開発する企業などを対象に、自動運転に使う3次元(3D)地図をインターネットで配信すると、報じられています。常に最新の地図が使える利便性や初期費用を抑えられる点が特長だということです。
◎ベリサーブ(3724)
2015年3月、次世代ITS実走行検証サービス「VSAS(バーサス)」の提供を開始。同社では、自動運転などのために今まで以上に車載ソフトの機能が拡張されることを想定し、自動車・部品メーカー以外にも、関連するフィールドテストや実証実験を行うIT企業やマーケティング会社などにもサービスを提案する方針だということです。
日経平均株価が冴えない動きを続ける中、短期資金は値動きが良好なテーマ株を循環して物色しています。この良好な値動きに乗らない手はありません。ただし、新興市場は、上がる時も下がる時も、一方通行になりがちです。リスク管理を徹底して上手く売買して、収益を積み上げてください。
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