振り返ってみれば、4月相場は「前半が絶好の仕込み場」となり、現在は「多くの買い方はウハウハの状態」となっています。
例えば、日経平均株価は3月29日~4月6日まで7日続落し、7日と8日は小幅に2日続伸したものの、8日安値は1万5471.80円と直近安値を付け、3月29日のザラ場高値1万7137.20円から1665.40円(9.72%)も急落しました。しかし、そこが絶好の買い場となり、4月25日には1万7613.56円を付け、それまでの直近高値である3月14日の1万7291.35円を上回りました。
圧巻は、東証マザーズ指数です。マザーズ指数の直近安値は4月6日の918.40ポイントです。これが21日には9年3カ月ぶりの高値水準である、1230.82ポイントまで上昇しました。上昇幅312.42ポイント、上昇率は34.02%です。
日経平均株価にしても、マザーズ指数にしても、底打ち上昇した背景は、原油先物価格の上昇を受けて世界経済の減速懸念が後退し、投資家心理が改善し、米株が強い動きを続け、ドルが買われ、安全通貨の円が売られたことです。とりわけ、マザーズの好調は高成長期待を理由に、ホットマネーの流入が加速したことが主因でしょう。
様子見ムードが強くなる中、IoT、ビッグデータ、人工知能、
インバウンド、国土強靭化などのテーマ株が物色される見通し
なお、当面の東京市場は、26日~27日のFOMC(米連邦公開市場委員会)、27日~28日の日銀の金融政策決定会合、3月決算企業のガイダンス本格化に加え、ゴールデン・ウィークを控え、様子見ムードの強い相場になりそうです。このため、個別株材料株・テーマ株物色の色彩が強まる見通しです。
その際の物色は、4月21日の自由民主党政務調査会の「地方創生とイノベーション創出のための知的財産戦略提言~第4次産業革命とグローバル化の中で~」や4月25日の「平成28年第7回経済財政諮問会議」の資料で取り上げられたテーマが注目され、人気化する可能性が高いとみています。
政務調査会の提言では、“IoT、ビッグデータ、人工知能といった技術革新により進展しつつある第4次産業革命という新しい経済社会の変革と、TPPを契機にさらに加速するグローバル化の中で、ダイナミックなイノベーション創出のための成長戦略と、地域の中小企業、大学等の力を発揮できる地方創生戦略を、知財戦略の観点から推進していくことが必要である。”と指摘しています。
一方、経済財政諮問会議は、名目国内総生産(GDP)600兆円の実現に向け、(1)人口減少・少子高齢化対策としての結婚・出産・子育ての希望、学ぶ希望の実現、(2)人材投資やイノベーションや第4次産業革命に向けた徹底した取り組みや超スマート社会実現に向けた成長戦略の加速を掲げています。
成長戦略については、(1)生産性革命に向けた取り組みの加速、外国人旅行者の誘客拡大に伴う観光振興や、スポーツ・文化による経済活性化等の新たな有望成長市場の創出・拡大、(2)TPP等に対応した海外の成長市場との連携強化、(3)世界最速級の「日本版高度外国人材グリーンカード」の創出などによる外国人材の活用、(4)防災・国土強靭化、成長力を強化する公的投資の重点化、などを揚げています。
これらに関連するテーマは、まさに「国策」であり、当然関連銘柄は「国策銘柄」と呼ばれます。ちなみに、現在のような良好な投資環境では、「国策に売りなし」という相場格言に基づき、積極的に相場参加するべき局面と認識しています。
「越境EC」と「フィンテック」関連銘柄にも注目
なお、IoT、ビッグデータ、人工知能、インバウド、国土強靭化以外で人気化する見込みのテーマは、「越境EC」と「フィンテック」があります。
越境ECとは 自国向けではなく、海外へ向けたインターネット通販事業のことです。
日本の場合、中国を含むアジア各国、欧米向けのEC事業を越境ECと呼びます。特に中国に関しては、中国の財政部は越境ECに関する税制度改革を断行し、4月8日から新たな制度をスタートさせました。これは、中国政府が越境ECを前向きに本気で活用し、海外商品を国内に流通させる仕組みを提供するための制度とみられています。このため、越境EC関連の中でも、中国向けECを展開している企業への関心が高まる公算が大きいとみています。
一方、フィンテックに関しては、4月25日、国内初のブロックチェーン業界団体『ブロックチェーン推進協会(BCCC)』が設立されました。
この協会は、ブロックチェーン技術の未来を確信する国内有志メンバーが、相互に情報交換、切磋琢磨しながら、ブロックチェーンの普及啓発を行い、自らブロックチェーンの適用領域を拡大し、またブロックチェーン技術領域への資金調達支援を行うことによって、わが国産業の国際競争力増進を貢献するとともに、ブロックチェーン技術の進化にも寄与する場の提供を行うことを目的としているそうです。このような関連業界の取り組みは、関連企業の株価にポジティブに作用する見通しです。
今週はGWを控えて換金売りが出やすいが
日経平均株価が25日移動平均線を下回らない限り「買い」
最後に、現在のような良好な投資環境は日経平均株価が25日移動平均線(25日現在1万6615.18円)を上回って推移する限り、続く見通しです。
なお、今週は前述のようにゴールデン・ウィークを控えているため、換金売りは出易いはずです。ゴールデン・ウィーク中の立ち合いは5月2日と6日しかありません。連休中の米国株式市場が急落したり、原油先物価格が大幅に下落したり、外国為替市場で円が急騰したりしたら、大変だと思う投資家が現金化を急ぐとみられます。
ただし、そのようなリスク回避の売りについては、買い向っていいと考えます。
なぜなら、5月26、27日の伊勢志摩サミットまでは、金融・財政当局からの政策発動期待が燻り続けるとみているからです。ただし、日経平均株価が25日移動平均線を割り込んだら、「脱兎のごとく」市場から逃げることは忘れてはいけません(笑)。
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