東証マザーズ指数が5月16日に急落したことをきっかけに、個人投資家のマインドが一気に萎えました。確かに、マザーズ指数は18日の1028.32ポイントを目先底に切り返し、24日に1127.11ポイントまで戻す場面がありました。
しかし、どうですかね。例えば、ブランジスタ(6176)は16日の1万5850円をピークに23日には一時5440円まで下落しました。下落幅は1万410円、下落率は65.68%に達しています。
また、JIG-SAW(3914)は4月20日の上場来高値2万3920円から5月19日には一時9620円まで下落しました。急落する前日の13日の終値2万70円からまで9620円までの下落幅でも1万450円、下落率は52.07%です。この人気銘柄群の壊滅的な下落をみる限り、そう簡単には、アクティブ個人のポジションの状況は回復しないでしょうし、彼らのマインドの回復にも時間が必要でしょう。
ただし、市場の関心及び人気が最も高いそーせいグループ(4565)の株価は回復傾向が顕著です。同社の株価は9日に2万6180円の年初来高値を付けた後、18日に1万7660円まで下落しました。下落幅は8520円、下落率は32.54%でした。しかし、その後、24日には2万1360円まで値を戻す場面がありました。この動きは「闇の中に一条の光明がさした」感じですね。この動きが継続し、かつ、他の人気銘柄に波及するようなら、マザーズ市場の体感温度が上がってくるでしょう。
期待された伊勢志摩サミット後の声明も
開催前に「玉虫色の毒にも薬にもならない内容」がほぼ決定
一方、日経平均株価に代表される主力株への投資家の物色意欲も萎えています。その最大の理由は政策期待の後退です。
G7財務相・中央銀行総裁会議で、日本はドイツを説得できず財政出動で協調できませんでした。また、円相場が無秩序か否かの認識でも、米国の理解が得られませんでした。そして、麻生財務相は来年4月に予定している消費増税について「日本からは予定通りと説明した」と述べました。
財政出動及び為替政策での国際協調に失敗するし、消費増税延期期待も低下するしでは、投資家の政策期待が著しく後退するのは仕方ないでしょう。
この結果、23日の東証1部の売買代金は概算で1兆7092億円と今年最低で、3営業日連続で売買代金が2兆円を下回りました。
今週26~27日には伊勢志摩サミットを迎えます。しかし、財務相・中央銀行総裁会議よりも、協調的な財政出動に関しても、為替政策に関しても、さらに踏み込んだ議論が行われることはないでしょう。
この結果、サミット後声明に関しては、「玉虫色の毒にも薬にもならない」内容になる見通しになりました。このため、市場は、「サミット後の事象」で方向性を見出すことになりそうです。
これからの株式市場の関心は
「6月の米利上げ」と「英国のEU離脱を問う国民投票」の2つ
その最大のファクターは、6月14~15日の開催のFOMCでの米利上げの有無と、6月23日に控える英国のEU離脱の是非を問う国民投票の2つです。
米シカゴ・マーカンタイル取引所がフェデラルファンド(FF)金利先物の価格から算出する6月の利上げ確率は20日時点で26%です。まだまだ低いとはいえ、6月3日発表の5月の米雇用統計が大幅に改善するようなら、その確率は大幅に上昇するかもしれません。
一方、英国のEU離脱問題に関しては、残留派がやや優勢だそうですが、離脱派との差は小さいようです。英フィナンシャル・タイムズによる世論調査の平均値は「残留」の47%、「離脱」は40%となっているそうですから……。おそらく「残留」で決まるとは思いますが、予断は許せない状況。そんな感じです。
万が一、EU離脱となれば世界の金融市場は混乱し、安全通貨の円が急激に買われ、円高が加速する見通しです。その場合は、日本株は急落するでしょうね。ただし、その可能性は低いというのが現段階での見立てです。
東京の株式市場の方向性は見えない。
いまは無理をして日本株を売買しなくてもよい
なお、23日、二階自民総務会長は、安倍首相と会談し、来年4月の消費税率10%への引き上げについて、2年間延期するのに必要な法改正を秋の臨時国会で行うことを含め、早期に結論を出すよう求める提言を行ったと伝わっています。また、デフレ脱却のため、今年から平成32年までに10兆~20兆円の財政出動を行うことなども求めたとも。
6月1日の国会の会期末が近づき、永田町発の様々なニュースが相場を動かすことになりそうです。もちろん、好材料も、悪材料も出てくるでしょうから、サミット後の日経平均株価は今まで以上にボラタイルになる可能性が高いと思います。
当面の日経平均株価に関しては、25日移動平均ベースのマイナス1σ(24日前場現在1万6362.46円)~プラス1σ(同1万7120.81円)の「バンドウォーク」がメインシナリオです。そして、バンドをブレイクした方向に、トレンドが出るとみています。
正直、どちらにブレイクするのか5分5分と考えており、全く見通せません。もし、あなたが先行きの見通しに自信があるなら別ですが、そうでないなら、相場の方向性がみえるまで、現金ポジションを高めに様子見スタンスを決め込むのもありだと思います。
マザーズの急落に加え、G7財務相・中央銀行総裁会議をきっかけにした政策期待の後退を背景に、東京株式市場は視界不良になったとみています。無理して、日本株を売買するタイミングではない。今は、「休むも相場」という相場格言を想起する場面と認識しています。
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