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英国のEU離脱で世界の株価はどうなるのか?6月23日に行われる英国の国民投票までに株を買うべきか、売るべきかを考えてみた

【第216回】 2016年6月14日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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【※6月24日のEU離脱決定直後、藤井英敏さんが緊急寄稿!】
【号外】英国のEU離脱が決定して日経平均株価が大暴落! これからの世界の株式市場と為替はどうなる? 週明けからの投資戦略と注意点を緊急解説!

 英国のEU離脱問題である「Brexit(ブレグジット)」への市場の警戒感が一段と強まっています。なぜなら、英国のEU離脱の是非を巡る国民投票を6月23日に控え、ここにきて、世論調査では「離脱派」が優勢と伝わったからです。このため、世界的に投資家が運用リスクを減らす「リスクオフ」の流れが鮮明となり、週明け13日の東京株式市場及び外国為替市場は波乱のスタートとなりました。

 6月13日の日経平均株価は前週末比582.18円安の1万6019.18円でした。英国のEU離脱懸念が強まり、ユーロ売りが加速し、同時に、安全通貨の円が対ドルでも買われ、日本株は売られました。東京外国為替市場では、15時ちょうどに1ドル=105円74銭近辺と5月3日以来、約1カ月ぶりの高値を付けました。

日経平均株価チャート(日足・6カ月) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 なお、米国で12日に発生した銃乱射事件に関して、オバマ大統領が「テロ」と断定したことは、ドルの対円での売り材料になりました。

 そして、6月14日の日経平均株価は4日続落して始まり、ザラ場中としては5月6日以来およそ1カ月ぶりに1万6000円の大台を割り込みました。英国がEUから離脱する可能性が高まったことへの警戒感を背景に、前日の欧米株式相場が下落したことがストレートに嫌気された結果の1万6000円割れです。

英国の国民投票がどちらに転んでも
選挙後は世界的な「リスクオフ」が一段落する

 なお、市場が怯えている理由は、「EU離脱」という英国の将来像が劇的に変わるかもしれない大きな問題に関して、今回は国民から選出された国会議員による採決ではなく、国民投票で決められるため、結果が一段と読み難くなっているからです。

 比較的IQや学歴が高く、経済合理性や論理性を重んじるエリート層を中心にした議員だけで決められるわけではなく、IQや学歴が低く、情報弱者で自分自身であまり考えることをしない、いわゆる「B層」の投票行動が結果を大きく左右するのです。このため、国民投票の結果が判明するまでは、世界的な「リスクオフ」は継続するでしょう。

 ところで、13日の米VIX指数は前日比3.94(23.14%)高の20.97でした。これをみる限り、米株式市場がボラタイルな相場に突入し、米国発の世界同時株安発生確率が高まったと警戒しておく必要があります。

 世界的な株安が発生した場合の日経平均株価の下値メドは、PBR1倍(13日現在14562.89円)が強く意識されるでしょう。ただし、万が一、英国のEU離脱が決まれば、日米欧の政策当局が機敏に反応し、対応するはずです。具体的には、流動性の供給や協調介入の実施などです。そのような政策が打ち出されれば、世界の株式市場は底打ちするでしょう。

今週のFOMC、日銀の政策決定会合の影響は限定的だが、
日本株の「弱気サイン」は継続する見通し

 一方、今週は、14日~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や15日~16日の日銀の金融政策決定会合が予定されています。しかし、5月の低調な米雇用統計を受け、米国では利上げ観測が後退しており、今回のFOMCへの関心は大幅に低下しています。

 日銀の金融政策決定会合に関しては、もしかしたら、サプライズを狙ってなんらかの追加緩和をやるかもしれませんが、日銀単独でなにかをやっても、その効果は限定的でしょう。その一方で、現状維持でも、それほど事前の期待が高まっているわけでもないので、市場が失望することもなさそうです。

 テクニカル的には、日経平均株価の25日移動平均ベースのボリンジャーバンドが、バンド幅が狭く横ばい(スクイーズ)から上下に広がる(エクスパンション)に移行しつつあります。現時点では、力強い下落トレンドが発生する可能性が高まっています。また、日足・週足ベースの一目均衡表でも「3役逆転」状態です。短期でも中期でも「弱気のサイン」が点灯中です。

 まあ、こんな状態ですから、安易な押し目買いは控えるべきでしょうね。少なくとも、日経平均株価が5日移動平均線を上回るまでは、日本株の下値模索は続くとみていく必要があります。

 ゴールデン・ウィーク明け以降、マザーズの人気銘柄群の急落をきっかけに、アクティブ個人のマインドと手の内が大幅に悪化しています。確かに、東証マザーズ指数は5月18日の1028.32ポイントで底打ちし、戻り相場に入り、6月10日までは小康状態でした。しかし、13日以降、再び急激に悪化してきています。

東証マザーズ指数チャート(日足・6カ月) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 当たり前ですが、アクティブ個人にとっては儲かり難い相場、やり難い相場になっています。特に足元に関しては、追証絡みの投げ売り加速が懸念されます。アクティブ個人好みの銘柄群に関しては、目先は、「売るから下がる、下がるから売る」という「負の循環入り」が危惧されます。

 とにかく、外部環境が落ち着くまでは「生き残ること」を最優先して、相場に臨むべきです。具体的には、現金比率を高め、リスク資産である株式を極力保有しないことです。

とにかく英国の国民投票が終わるまでは
相場に参加しないという戦略もありだ

 今回は、6月23日の英国の国民投票というイベントがあります。このため、それまでは、相場は眺めるだけにして、参加はしないという戦略もありです。

 現状の投資環境を考えれば、今、あなたが無理して、火中の栗を拾う必要はありません。相場全体の底打ちを確認後、ゆっくりと参加し始めても十分利益を獲得できると思います。

 安倍政権が経済対策の策定及び発表を見送ったため、国内要因で日本株が上がる可能性はほぼ皆無です。このため、外部環境次第の投資環境が当分続くはずです。

 具体的には、米国株式市場、原油先物市場、そして、外国為替市場の動向次第ですね。とにかく焦らず、リスクを抑えた「安全運転」で、現在の難局をやり過ごしましょう。

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