いまはパニック売りが出ている状態
今週はどえらいチャンスが回ってくる!
先週、番狂わせで英国のEU離脱派が国民投票で勝利しました。これを受けて世界のマーケットは大荒れになっています。
こういう局面では、不安が先に立ち、投資家は「おてつき」のトレードをしやすいです。ここで言う「おてつき」とは、パニックして株を売ることを指します。
でも今は慌てて売るより、むしろ買いチャンスを探るべき時でしょう。買いチャンスは今週前半にも巡ってくる可能性があります!
英国経済なんて、ちっぽけだ!
世界のGDPに占める割合は2.4%だけ
投資家が拙いトレードをしてしまう背景には「我々は眼前に展開している事象は必要以上に過大評価し、それが与える長期のインパクトについては過小評価する傾向がある」からです。
まず世界のGDPに占める英国の割合は2.4%に過ぎません。仮にそれが英国財務省の「離脱の場合の最悪シナリオ」通り、-6.0%になったとしても世界のGDPに占める割合で言えば2.26%になるだけのことです。
米国の銀行経営が健全になっており
リーマンショック時とは状況が異なっている
次に2008年のリーマン・ショック当時と違い、現在、米国の銀行の経営はずいぶん保守的、なおかつ健全になっていることを忘れるべきではないでしょう。
たとえば米銀の自己資本比率(コモン・エクイティー・ティアワン・レシオ)は下のグラフのように高くなっています。
米銀が在庫にしている証券類の中に占める、高リスク証券の比率も、ずいぶん下がっています。
倒産リスクのひとつの指標であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドも、危険が迫っていることをシグナルしていません。
つまり英国のEU離脱という突発的な材料が、銀行システムを脅かす危険は、少なくとも米銀に対しては低いということです。
もちろん英国ならびに欧州大陸の銀行に関しては、自己資本を充実させる作業が遅れていますので米銀に比べればリスクは高いといえます。でも、その場合でもリーマンの時のようなことにはならないと思います。
年内利上げは無くなった!
利上げが無くなれば株が上がる
さらに連邦準備制度理事会(FRB)がアメリカの政策金利であるフェデラルファンズ・レート(FFレート)を引上げる可能性は、EU離脱派勝利のニュースでほぼ無くなりました。下は次の連邦公開市場委員会(FOMC)でFFレートがどうなるかの確率を示したグラフです。
現行のFFレートは0.50%なので、利上げということになると0.75%を意味します。英国の国民投票の結果がわかる直前(6月23日=灰色)と、結果が判明した翌日(6月24日=黄色)のグラフを見比べてください。利上げというシナリオが無くなっていることがわかります。
さらに0.25%のところが、新たに7.2%の確率を示しています。これは何を意味するか? と言えば、「利上げではなく、むしろ利下げが必要だ!」ということを示唆しているのです。
同様に、今年最後のFOMCである12月14日の確率も見ておきましょう。
利上げ(0.75%以上)確率は合計すると18.1%(17.8+0.3)にとどまっています。
普通、投資家が(もしかして、利上げがあるかも……)と感じるのは、この確率が少なくとも40%~50%になったときです。だからこのデータの解釈としては「年内の利上げは、まず無い」というものになります。
さて、年内利上げの観測が消えたことは、株式市場にとって何を意味するのでしょうか?
一般的に言えば、金利と株式は競争関係にあります。つまり利上げになると、株は苦しくなるということです。
いま、その利上げの可能性が消えたということは、「鬼の居ぬ間に、いのちの洗濯」で、株式市場で大いに遊んで結構! ということに他なりません。
銘柄的にはいつも言及しているエクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)をイチ押しとします。
日本株は、どうなる?
株価はフラフラと上がる局面も
最後に日本株についてですが、日経平均の動きの大部分はドル/円の動きで説明できてしまいます。そのドル/円は、予期せぬEU離脱派勝利のニュースで大きくドル安に振れました。しかし現在の102円の水準は、過去に長いボックス圏を形成した水準であり、収まりの良い価格帯と言えます。
つまりFX的には、かなり達成感が出たということです。
それは別の言葉に直せば、これから値動きが一層激しくなるか? それとも逆に相場の荒れが収まるか? と言えば、後者の可能性の方が高いと思います。
相場の荒れのことをボラティリティと呼ぶのですが、ボラティリティは今後、下がってくるということです。
一般に、ボラティリティが漸減する局面では、株式はふらふらと上昇します。
私は「今年は日本株がダメな年」だと言ってきましたが、ここまで下がれば、もうダウンサイドは少ないように思います。
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