ダイヤモンド・ザイでは、3カ月に1度、全上場銘柄の理論株価を誌上で公表している。理論株価と株価を比べることで割安度や割高度が一目でわかるため、読者の人気も高い。ダイヤモンド・ザイには、最新の全上場3620銘柄の新しい理論株価が掲載されている。今回は3月決算企業の2016年度の最初の今期予想を反映しており、1年で最も注目すべき号だ。気になる結果だが、3月決算企業の77%が理論株価に対して割安に。しかも、1000以上の銘柄が前回より割安度がアップしている。時価総額が1兆円以上の大型株でも、JXホールディングスやJR東日本、東京海上などの割安度がアップしており、要注目だ。
創薬ベンチャーのそーせいグループは
株価急騰も理論株価で見ればまだ割安
株は割安な時に買って値上がりしたら売るのが基本。ただ、その割安の判断が難しい。そこで役に立つのが、ダイヤモンド・ザイが3カ月ごとに発表している理論株価だ。現在の株価が理論株価より安ければ割安、現在の株価が理論株価より高ければ割高で、非常にカンタンに割安な株を発見する目安となる。
今発売中の2016年8月号では、全上場3620銘柄の最新理論株価を掲載している。このうち3月決算の株は2440銘柄で、前回(2016年5月号)よりも998銘柄が割安度がアップ。割安度が30%以上も拡大したのは下記の15銘柄だ。
◆前回より割安度が30ポイント以上上昇した15銘柄 (前回からの上昇幅が大きい順) |
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銘柄名(コード) | 株価(6/3) | 理論株価 | 割安度 | 前回の 割安度からの 上昇幅 |
最新株価 |
日本商業開発(3252) | 1726円 | 5783円 | 70%割安 | 69ポイント | |
いちごGHD(2337) | 461円 | 1447円 | 68%割安 | 59ポイント | |
スカパーJSATHD(9412) | 526円 | 3074円 | 83%割安 | 53ポイント | |
川本産業(3604) | 234円 | 534円 | 56%割安 | 52ポイント | |
キャリアリンク(6070) | 852円 | 2133円 | 60%割安 | 51ポイント | |
日本ケミコン(6997) | 149円 | 446円 | 67%割安 | 44ポイント | |
三井金属鉱業(5706) | 185円 | 351円 | 47%割安 | 44ポイント | |
エンカレッジ・テクノ (3682) |
1864円 | 4931円 | 62%割安 | 43ポイント | |
そーせいグループ(4565) | 2万1060円 | 3万9559円 | 47%割安 | 39ポイント | |
ミツミ電機(6767) | 495円 | 842円 | 41%割安 | 39ポイント | |
JXHD(5020) | 424.6円 | 975円 | 56%割安 | 37ポイント | |
富士石油(5017) | 382円 | 1103円 | 65%割安 | 35ポイント | |
エスポア(3260) | 379円 | 829円 | 54%割安 | 35ポイント | |
カーチスHD(7602) | 311円 | 494円 | 37%割安 | 33ポイント | |
田淵電機(6624) | 411円 | 1254円 | 67%割安 | 32ポイント | |
ケーズHD(8282) | 1810円 | 4461円 | 59%割安 | 32ポイント |
割安度が69%もアップした日本商業開発(3252)は大阪に本社がある不動産会社。通常の不動産企業は、購入した土地の上に商業施設などを自腹で建設して長期的な収益を確保しようとするが、同社は、商業テナントなどの出店意思を確認してから土地を購入し、建物の着工やオープン後にその土地を売却して利益を確定させるという、不動産業としては極めて短期的なビジネスを展開している。今期は49%増収を計画、理論株価の構成要素である成長価値を大幅に高めている(理論株価の計算方法は後述)。
2位は、同じく不動産業のいちごグループホールディングス(2337)。3位はスカパーJSATホールディングス(9412)。それぞれ今期は152%増収、36%増収を計画、日本商業開発と同様に成長価値を高めている。話題の創薬ベンチャー、そーせいグループ(4565)も、今期は前期比2.5倍増収、黒字転換を見込み、割安度を大きくアップさせている。
日本航空、JR東海、ANA、
東京ガスなどの大型株の割安度も拡大!
時価総額が1兆円以上の超大型株となると、さすがに中小型株ほどの急成長は望めないため、割安度の拡大幅は小さい。それでも、下記の10銘柄は前回より5%以上割安になっている。
◆時価総額1兆円以上で割安度が5%以上上昇した10銘柄 (前回からの上昇幅が大きい順) |
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銘柄名(コード) | 株価(6/3) | 理論株価 | 今回の割安度 | 前回の 割安度からの 上昇幅 |
最新株価 |
JXHD(5020) | 424.6円 | 975円 | 56%割安 | 37ポイント | |
日本航空(9201) | 3630円 | 6706円 | 46%割安 | 13ポイント | |
東海旅客鉄道(9022) | 1万8970円 | 2万5449円 | 25%割安 | 10ポイント | |
東京海上HD(8766) | 3699円 | 6872円 | 46%割安 | 9ポイント | |
東京ガス(9531) | 418.6円 | 511円 | 18%割安 | 7ポイント | |
ANAHD(9202) | 308.4円 | 415円 | 26%割安 | 7ポイント | |
住友商事(8053) | 1073円 | 2548円 | 58%割安 | 7ポイント | |
田辺三菱製薬(4508) | 1800円 | 2119円 | 15%割安 | 6ポイント | |
中部電力(9502) | 1437.5円 | 2743円 | 48%割安 | 6ポイント | |
野村HD(8604) | 454.2円 | 947円 | 52%割安 | 5ポイント |
1位となったJXホールディングス(5020)は上記の割安度が30%以上アップした15銘柄の中でも登場。前期は原油価格が想定以上に下落して20%減収、営業赤字。今期は電力事業などの拡大で増収と黒字回復を予想している。資産価値的にも割安だ。
2位の日本航空(9201)は、JXホールディングスとは逆に原油価格の下落が貢献したことで前期は17%最終増益。今期も10%最終増益を計画している。3位の東海旅客鉄道(9022)は1株当たり株主資本が14%増加したことや、今期の8%最終増益予想が評価された形だ。
最後になったが、理論株価の算出方法を紹介しよう。理論株価はその株の成長価値(予想1株益に将来の想定成長率を掛けて算出)と利益価値(予想1株益に将来利益の織り込み年数を掛けて算出)、そして資産価値(直近の1株純資産)を合計したもの。つまり、業績と財務のデータから算出している。
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