米国株式市場の第4四半期決算発表は
S&P500採用銘柄のうち46%が終了
現在、佳境を迎えている2018年第4四半期の決算発表ですが、これまでにS&P500採用銘柄のうち46%が発表を済ませました。
そのうち70%の企業がEPSで事前予想を上回りました。これは、過去5年の平均(71%)より低いです。一方、売上高では62%の企業が事前予想を上回りました。これは、過去5年の平均(60%)より良かったです。
売上高成長率に急ブレーキがかかる「アマゾン」は
下方修正がクセになっている
先週の決算発表のうち、特に注目されたのはアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)でした。
アマゾンの第4四半期決算は、EPSが予想5.51ドルに対し6.04ドル、売上高が予想719.5億ドルに対し724億ドル、売上高成長率が前年同期比+19.1%でした。そして、営業利益は+78%の38億ドル、ガイダンスは21億〜36億ドルでした。
そのうち、北米のネット売上高は+18%の441億ドル、営業利益は23億ドルでした。海外売上高は+15%の208億ドル、営業利益は−6.4億ドルの赤字でした。AWS売上高は+45%の74.3億ドルでした。営業利益は21.8億ドルでした。
そして、第1四半期の売上高は、予想610.4億ドルに対し新ガイダンス560〜600億ドルが、営業利益は、予想30億ドルに対し新ガイダンス23〜33億ドルが提示されました。
このガイダンスによれば、2019年第1四半期の売上高成長率は前年比+14%という計算になります。
アマゾンの過去の四半期売上高成長率をチャートに示すと、下のようになります。
今回の+14%という成長率は、近年では過去最低です。しかも、僅か1年前の2018年第1四半期には+43%で成長していたわけですから、アマゾンの売上高成長率には急ブレーキがかかっているわけです。
アマゾンは、過去3回の決算すべてにおいて、来期以降の売上高成長率を会社側が下方修正しています。つまり、下方修正がクセになってしまっているのです。こういう株は騰がりません。早く処分して他に乗り換えた方が賢明だと思います。
アマゾン(AMZN)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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突然、利益警告した「エヌビディア」は
期待されていたAI向け半導体も不振
エヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)は、本来、先週決算発表する予定ではなかったのですが、余りにも内容が悪いことが判明したので急遽1月28日利益警告しました。
それによると、2018年第4四半期売上高は、コンセンサス予想27.1億ドルに対し22〜27億ドルになるそうです。
加えて、第4四半期のノンGAAPグロスマージンが、これまでのガイダンス62〜63%に満たない55〜57%にとどまる見込みです。
前回の決算発表の際、エヌビディアは、仮想通貨マイニング・ブームで発生した過剰在庫が売上高を圧迫すると説明しました。
その過剰在庫の整理は、当初の計画通り捗りました。しかし中国の景気が暗転したことで、同国からの需要が減退しました。これは新しい展開です。
加えて、高級機「チューリング」が売れてない問題が浮上しています。「チューリング」は、リアルタイム・レイ・トレーシングならびにAIに対応したハイパフォーマンス機種ですが、顧客の買い控えが起きているそうです。消費者は、価格が下がってくるのを待っているものと思われます。
エヌビディアは、既に「チューリング」に基づいた廉価版RTXカードを1月のCES見本市で発表済みです。ただ、ゲーム向けGPU「パスカル」も未だ商品サイクルの初期にあるため、余り廉価版RTXカードを強調すると今度は「パスカル」と喰い合いになるリスクもあります。
一方、エヌビディアのデータセンター向けビジネスも不振です。AIブームは期待したほど大きくなかったということなのかもしれません。今期中、成約するはずの案件の多くが土壇場でキャンセルになったそうです。
今回の利益警告で特に投資家を震撼させたのは、「AI向け半導体が売れなくなっている」という会社側のコメントです。自動運転車、仮想通貨などの投資テーマが竜頭蛇尾となった今、投資家は最後の期待をAIにつないでいました。そのAIもダメということになると、もうエヌビディアを抱え続ける理由は無いのです。
エヌビディア(NVDA)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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「フェイスブック」はダイレクト・レスポンス型広告が好調!
売上高成長率にも回復の兆しが
フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)の第4四半期のEPSは予想2.18ドルに対し2.38ドル、売上高は予想164億ドルに対し169.1億ドル、売上高成長率は前年同期比+30.4%でした。
第4四半期売上高が予想より多かったのは、ダイレクト・レスポンス型広告への反応が良かったからです。また、インスタグラム広告、インスタグラム・ストーリーも好調でした。
広告インプレッション数は+34%で、インスタグラムがインプレッションの伸びを牽引しました。広告単価は-2%で、これはエマージング・マーケットへのミックスシフトが原因でした。
今年のインプレッション数成長は、おもにインスタグラム・ストーリーからもたらされると予想しています。ストーリー広告に対する需要には、大変満足しています。全プラットフォームでの広告主総数は700万顧客であり、そのうち200万がストーリー広告を利用しています。
営業費用は+62%、営業マージンは前年同期比-9%の46%でした。特にセキュリティーならびにコンテンツのセイフティーを担当する社員数は3万人、前年比+300%増加しました。
デイリー・アクティブ・ユーザー(DAU)数は、前年比+9%の15.2億人でした。インスタグラムは、毎日5億のストーリーが視聴されています。マンスリー・アクティブ・ユーザー(MAU)数は、前年比+9%の23.2億人でした。
なお、フェイスブックだけを対象としたユーザー・メトリックスは、いずれ廃止する考えです。会社側としては、フェイスブック、インスタグラム、WhatsApp、メッセンジャーなどを、ひとつの「サービス群」として捉えています。
現在、フェイスブック、インスタグラム、WhatsApp、メッセンジャーなどを使っている総ユーザー数は27億人です。
第1四半期売上高成長率は、予想+24%に対し、新ガイダンス+30%が提示されました。売上高成長率は、2019年を通じてだんだん下がってゆくと会社側は予想しています。
今年の営業費用成長率は+40〜50%を、設備投資額は180~200億ドルを見込んでいます。
フェイスブックが過去に悪い決算を出した理由は、広告主がインスタグラム・ストーリーの利用価値を認めつつ、未だ広告出稿に際してそれを使いこなせていないという問題が原因でした。
しかし、それから半年を経過し、広告主はだんだんインスタグラム・ストーリーによる訴求のコツを掴みつつあります。それが分かるに従って、インスタグラム・ストーリーのパワフルさを再認識し、その結果、広告在庫はどんどん増えています。このことは、将来に渡ってフェイスブックは高い売上高成長率を維持可能であることを示唆しています。
具体的には、去年の7月に発表された2018年第2四半期決算のカンファレンスコールで、会社側は「今後の売上高成長率は+26%程度に落ちるかも」ということを述べていました。しかし、今期の売上高成長率は+30%であり、来期もその程度の水準を維持できる見通しなのです。
つまり、アマゾンの場合とは対照的に、フェイスブックの売上高成長率の予想は若干の回復を見ているわけです。しかも、フェイスブックはアマゾンの2倍で成長しています。
その一方で、フェイスブックの株価収益率(PER)は22倍と、アマゾンの60倍に比べて約3分の1となっています。
フェイスブック(FB)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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【今週のまとめ】
折り返し地点を迎える米国決算発表シーズン
ボロボロの決算を出した銘柄は一刻も早く手放そう!
米国の決算発表シーズンは折り返し地点を迎えました。個別では、アマゾンやエヌビディアのように投資家の期待を大きく裏切る銘柄がある一方で、フェイスブックのように見事なカムバックを演ずる銘柄も散見されます。
投資家のやるべきことは、そのような業績の推移を丹念にフォローし、中味の改善を見ている企業の株を素直に買うことです。
それは、アマゾン、エヌビディアなどのボロボロの決算を出している株を一刻も早く処分し、体勢の立て直しに成功したフェイスブックにシフトすることを意味します。
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