第4四半期決算発表シーズンをひと言で表すと
「がっかりさせられる内容」
2018年第4四半期の決算発表シーズンは、これまでにS&P500指数採用銘柄の79%が決算発表を終えました。ひとことで言えば、今回の決算発表シーズンは、がっかりさせられる内容でした。
EPSでコンセンサス予想を上回った企業は70%でした。これは過去5年の平均値71%を下回っています。また、ポジティブ・サプライズ幅も3.5%と、過去5年の平均である4.8%より小さかったです。
ネガティブ・サプライズを出した企業は、平均して-0.4%株価が売られました。これは、過去5年の平均の-2.6%より小さかったです。換言すれば、今回の決算シーズンでは、決算をミスしても投資家は大目に見たということです。
ガイダンス(来期以降のEPSに関する会社側の見通し)に関しては59社がネガティブ・ガイダンスを、19社がポジティブ・ガイダンスを出しました。つまりネガティブ・ガイダンス比率は76%だったということです。これは過去5年の平均の71%より悪かったです。
一方、2019年通年のコンセンサスEPS予想は、引き続き下がりつつあります。それを示したのが次のチャートです。
冴えない決算にもかかわらず
株式市場が下げない理由は「金利」にある
おおまかに言って株価は1)金利、2)企業業績の2つの要因によって決定されます。重要性から言えば金利が7、業績が3くらいです。
いま業績は上のチャートに見るようにだんだん下がっているわけですから、これは株価にとって悪い展開です。それにもかかわらずなぜ米国株式市場は堅調なのかと言えば、それは金利の見通しが大きく変化したからです。
具体的には、連邦準備制度理事会(FRB)はこれまでの「ゆっくりとした金利引き上げ」を止め、とうぶん様子見の態度を取ることをシグナルしました。
また、量的引締め(QT)政策に関しても、早々に切り上げることをシグナルしました。この政策により、FRBは毎月500億ドル程度キャッシュを吸い上げているのですが、早ければ10月頃までにこのプログラムを手仕舞うと見られています。
これらのことは債券にとり強気材料であり、金利下落要因でもあります。株式バリュエーションは市中金利と競争関係にあることを考えれば、金利が下がるということは株にプラスなのです。
半導体セクターの注目企業である
アプライド・マテリアルズの決算は?
先週は半導体セクターの動向を占う上で重要な決算が2つ発表されました。ひとつはアプライド・マテリアルズ(ティッカーシンボル:AMAT)で、もうひとつはエヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)です。
アプライド・マテリアルズの第1四半期(1月期)決算は、EPSが予想79セントに対し81セント、売上高が予想37.1億ドルに対し37.5億ドル、売上高成長率が前年同期比マイナス10.7%でした。
つまり、今回の決算は予想を上回ったのです。しかし、来期のガイダンスは悪かったです。具体的には、第2四半期のEPSは予想77セントに対し新ガイダンス62〜70セントが、売上高予想は36.6億ドルに対し新ガイダンス33.3〜36.3億ドルが提示されました。
アプライド・マテリアルズは、カンファレンスコールの中で「DRAM価格の見通しは軟調であり第1四半期がサイクルのボトムだとは言いにくい。むしろ回復はU字型になるのでは?」とコメントしていました。言い換えれば、先行き見通しは前期よりさらに暗転したということです。
アプライド・マテリアルズ(AMAT)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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もうひとつの注目企業であるエヌビディアの決算も
AI市場の不振もあっていまひとつの結果に
次にエヌビディアですが、同社は1月28日に利益警告しました。その際、2018年第4四半期売上高は、コンセンサス予想が27.1億ドルに対し22〜27億ドルになると発表しました。仮想通貨マイニング・ブームで発生した過剰在庫、ゲーム向けGPUの過剰在庫などが原因です。
加えて、中国の景気が暗転したことで需要が減退しました。さらに、AI向け高級機「チューリング」が思いのほか売れていないことを打ち明けました。
そのような利益警告の後で発表されたエヌビディアの第4四半期(1月期)決算は、結局、EPSが予想75セントに対し80セント、売上高が予想22.2億ドルに対し22.1億ドル、売上高成長率が前年同期比-24.3%でした。ゲーミング向け売上高は-45%の9.54億ドル、エッジAI、自動運転車向けの「テグラ」プロセッサー売上高は-50%の2.25億ドルでした。
さらに、第1四半期の売上高は、予想23.4億ドルに対し新ガイダンス21.56〜22.44億ドルが提示されました。つまり、未だ売上高予想は下がり続けているのです。
仮想通貨バブルが弾け、自動運転車ブームが竜頭蛇尾に終わったのでハイテク関係者はAIに期待をつないでいるわけですが、AI市場で最も有利な位置につけていると思われているエヌビディアが「AI市場は期待外れだった」とコメントしていることは軽視できないと思います。
エヌビディア(NVDA)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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結論としては、アプライド・マテリアルズもエヌビディアも、今から売っても遅くないということです。
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