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米国株で今年一番の注目IPO「ロイヤリティ・ファーマ」を解説! 新薬の“特許権”への投資は、安定的な収入が見込めるうえ参入障壁も高い魅力的なビジネス!

2020年6月15日公開(2022年9月20日更新)
広瀬 隆雄
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今年一番の注目IPO「ロイヤリティ・ファーマ」が、
今週にもナスダック市場に上場予定!

 6月15日頃、ロイヤリティ・ファーマ(ティッカーシンボル:RPRX)の新規株式公開(IPO)が値決めされ、翌日から取引が開始されます。今回発行株数は7000万株で価格設定は25~28ドル、引受シ団はJPモルガン、モルガンスタンレー、BofAセキュリティーズ、ゴールドマンサックス、シティグループ、UBSです。

 このIPOは、今年最も注目されている優良案件のひとつ。調達金額も、価格レンジの上限で計算すると19.6億ドルと、今年に入って最大のIPOになります。

 ロイヤリティ・ファーマは、すでにものすごく儲かっている会社であり、IPO後の最初の四半期から配当を出す予定(四半期配当15セント、利回り2%)です。成長企業でありながら、しかも新規上場直後から配当を出す企業はとても珍しいので、ロイヤリティ・ファーマは注目されています。ある意味、世界最大のクレジットカード会社・ビザ(ティッカーシンボル:V)がIPOしたときを彷彿とさせる熱気に包まれています。

「ロイヤリティ・ファーマ」は、
新薬のロイヤリティ(特許)を扱うベンチャー企業!

 ロイヤリティ・ファーマの社名になっている「ロイヤリティ」とは「特許権」を指します。つまりロイヤリティ・ファーマは、新薬の特許をビジネスとしています

 投資銀行ラザード・フレールに勤めていた製薬業界担当バンカーが1996年、ロイヤリティへの投資を思いついたのがロイヤリティ・ファーマの始まりです。

 新薬開発を巡る特許権は、なにも製薬会社だけが有しているのではありません。大学でもバイオ研究はやっていますし、リサーチ病院も新薬や新しい技法を研究しています。それらの団体は、新薬開発が本業ではなく、自分たちの研究の副産物として新薬開発に役に立つ発見をすることがあるのです。

 しかしそうした団体は、その発見を臨床試験に持ち込み、米国食品医薬品局(FDA)からの承認を取り付け、実際にお薬を製造し、医者などにマーケティング・啓蒙活動を行い、販売して利益を上げる商品化のノウハウを必ずしも持ち合わせているわけではありません。そのため、商品化が出来る体制を持っている製薬会社などに知的所有権を譲渡する「転売市場」が欲しくなります。

 ロイヤリティ・ファーマは、そういう商品化のノウハウのない団体が持つロイヤリティを投資家として購入することで、新薬の開発者とリスクを分担する役目を果たしています

 つまり、有望な新薬候補のR&D(研究開発)に“相乗り”して投資リスクの一部を負担する代わりに、その新薬が完成し販売されたら売上高の一部をロイヤリティとして受け取るわけです。

「ロイヤリティ・ファーマ」は45の薬のロイヤリティを保有し、
そのうち22が大きな利益を生み出す「ブロックバスター」!

 ロイヤリティ・ファーマのビジネスモデルの特徴は、資本効率が良いことです。ロイヤリティ・ファーマの従業員数はわずか35人ですが、その大半は博士号を持つ専門家で、ウォール街でアナリストとして働いた経験のある人たちです。

 有望な新薬候補を目利きすることは経験を要する極めて高度な仕事であり、誰にでも出来ることではありません。また、製薬業界に広い人脈がないとダメです。その意味で、参入障壁は極めて高いビジネスだと言えます

 なお、ロイヤリティ・ファーマは、自前で新薬の開発をやっているわけではないので莫大な研究開発費は発生しませんし、新薬をマーケティングする上でのリスクも発生しません。ロイヤリティ・ファーマが提供しているのはあくまでも資本です。

 現在、ロイヤリティ・ファーマは45の薬のロイヤリティを保有しています。それは、ロイヤリティ・ファーマのポートフォリオが45の薬から構成されているということで、分散投資がちゃんとできていることを意味します。そのうちの22の薬は、いわゆる「ブロックバスター」と呼ばれる大ヒット商品で、「タイサブリ」や「イムブルビカ」「ジャヌビア」「テックフィデラ」「リリカ」「レミケイド」「ヒュミラ」などを含んでいます。

 普通、大手の製薬会社でも、保有しているブロックバスターはせいぜい5〜7程度なので、22ものブロックバスターを所有しているということはロイヤリティ・ファーマの実力を示していると思います。

「ロイヤリティ・ファーマは」の売上高は一時的に減少したものの
将来的には年率6~9%のペースで成長していく見通し!

 処方薬市場は年率7%で成長しており、製薬業界全体として年間3000億ドル研究開発費をつかっています。

 研究開発費用は、年々エスカレートしています。その理由は、昔の創薬は低分子化合物による創薬が主体で、言い換えれば「化学者による研究が中心」だったのに対し、現在は「生物学的製剤が主体」となっており、莫大なコストがかかることです。

 また創薬は、外部の色々なノウハウをイン・ライセンシング(導入)という形で引っ張ってきて、数多くのノウハウや技法を編み上げることにより、ようやく新薬を開発できるという性格があります。そのため、ひとつの新薬にいくつものロイヤリティ、利権が絡んでいることが常です。

 典型的なロイヤリティの年数は15年です。ロイヤリティ・ファーマの場合、2019年は大型薬の「テックフィデラ」や「ヒュミラ」「レミケイド」が相次いでパテント切れとなったので売上高が減少しました。

 つまり、今年は「リセットの年」で、低い位置から再び成長を目指す起点に立っているわけです。

 ロイヤリティ・ファーマの業績ですが、売上高の大半がロイヤリティ収入であり、しかも新しいロイヤリティを取得・転売もしているため、通常の企業の損益計算書とは少し勝手が違います。

 一番シンプルな理解の仕方としては、「修正キャッシュフロー」が一般的な会社における「純利益」にあたるととらえることができます。去年の修正キャッシュフローは16.3億ドルで、これは「すごく儲かっている」と言えるでしょう。

 ロイヤリティ・ファーマの今後の展望としては、売上高が年率6~9%程度のペースで成長していくと予想しています。修正キャッシュフローは2ケタ成長も夢ではありません。また、安定的なキャッシュフローが見込まれているので、配当も積極的に出して行く予定で、現時点では四半期配当15セント、配当利回り2%が見込まれています。

【まとめ】
安定収入が見込まれるうえに配当も魅力的な、
「ロイヤリティ・ファーマ」の今後の成長に期待!

 ロイヤリティ・ファーマは今年いちばん注目されるIPOのひとつで、非常に儲かっている会社です。ロイヤリティは長年に渡って支払われるので安定収入が見込まれるうえ、ロイヤリティ・ファーマの場合は間接費が小さいので売上高の大半が利益として修正キャッシュフローに反映されます。配当も魅力的です。

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