【今回のまとめ】
1. オバマ政権が液化天然ガスの対日輸出を許可した
2. 米国ではエネルギーをそのまま輸出するのは「違法」
3. ただし、「付加価値をつける」過程で雇用を創造すればOK
4. 米国の天然ガス価格は供給過剰で低迷
5. 採算に合わないので休止する設備が続出
6.天然ガス価格は今後持ち直す
今回の輸出許可は米国で2番目となる
5月17日(金)、オバマ政権は、テキサス州フリーポートの液化天然ガス(LNG)対日輸出プロジェクトを承認すると発表、注目を集めています。これは米国で2番目のLNG輸出に対する認可となります。なお、このプロジェクトには日本の中部電力(9502)と大阪ガス(9532)が参画しています。
いま、アメリカはシェールガスの採掘がブームになっていますが、そこで生産されたシェールガスを含む天然ガスを日本などの遠い国に出荷する際、気体のままでは当然かさばります。まるで空気を運んでいるような状態であり、非効率です。
そこでいったん、天然ガスを巨大な冷凍庫のような施設で冷却・液化します。これがLNGで、この状態でタンカーに乗せて日本に運びます。日本に着いたら、その液体を再び気体に戻し、火力発電所などへ届けるわけです。
米国のLNG輸出は案件ごとに許可申請をするかたちになっており、実はLNG輸出第1号の許可は、すでに2011年5月、ルイジアナ州のシェニエール・エナジー社(ティッカー・シンボル:LNG、以下同)へ交付されています。
「ガス状では輸出不許可 でも液化すればOK」のワケ
実は、米国の法律では、米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない相手国(日本もこちらに該当します)に対して石油や天然ガスをそのままの状態で輸出するのは原則として違法なのです。
ただし、付加価値が付けられるようなら米国エネルギー省は個別案件ごとにOKを出します。その背景には、付加価値が付く過程で、石油精製などの作業が発生し、それは雇用や設備投資などの追加的なビジネス機会を生むという考えがあるからです。
つまり「それが雇用創造につながるのであれば、OK」というメンタリティーが強く働いているわけです。
天然ガスの場合、それを液化する、つまりLNGにするということは「加工し、付加価値をつけた」ことになるわけで「法律に抵触しない」とオバマ政権が判断した根拠は、ここにあるのです。
実際、今回認可されたフリーポートLNGプロジェクトがLNGを輸出できるようになるまでには100億ドルにものぼる先行投資を行い、天然ガスを液化する工場を建てなければいけません。これは莫大な金額であり、当然、建設関係などの雇用を創出します。
なぜ「認可第2号」が注目されたのか?
さて、先述したように、今回の認可は初めてではありません。既にシェニエール・エナジー社に対する認可がおりている実績があるのに、なぜ今回のプロジェクト、「認可第2号」が注目されたのでしょうか?
実は、第1号が認可されたのは米国の資源輸出の是非をめぐる論争が激化する以前のことであり、いわばこっそりと認可されてしまったためです。
第1号が認可された後、ダウ・ケミカル社(DOW)などの米国内の大口需要家たちは「エネルギー輸出は国益に反する」という主張を大々的に繰り広げ、LNGの輸出は議会の公聴会などで大問題に発展しました。
ただ、ダウ・ケミカル社などの主張は「わざと米国内の天然ガスの価格を低く抑えるために輸出させないようにしているのではないか?」という嫌疑がかけられ、天然ガスの生産者の間から「化学会社のエゴだ!」という主張が出てきました。確かに米国の天然ガス価格は現在、100万BTU(英国熱量単位)あたり4ドル前後をウロウロしており、国際的な実勢価格から比べると安価です。
米ドル/100万BTU(英国熱量単位) 、IMF調べ
また、米国には天然ガスを輸出するための施設がないため、安くなっていても外国へ出荷できないという事情が背景にあります。
前例確立で今後は輸出許可が出やすくなる
天然ガス価格が低迷するとガスの生産会社は儲からなくなるので油井を休止します。つまり「輸出禁止」という規制が、やる気を削ぐわけです。実際、米国内の業者は、下のグラフに示したように天然ガスのリグ(やぐら状の掘削・生産設備)の稼働を少なくしています。
ベーカー・ヒューズ社調べ
上のグラフ中の青線は石油リグの数を示しており、こちらはどんどん増えています。原油価格は崩れていないので、そちらを生産した方が有利だからです。アダム・スミスの言うところの「見えざる手」によって経済活動が最適化されている様子が、このグラフからも手に取るようにわかります。
ただ、日本の火力発電所は主に天然ガスや石炭を原料としているため、日本としてもLNGの出荷が増えてもらわないことには、エネルギー事情は好転しません。
つまり今回のオバマ政権の天然ガス対日輸出解禁は、米国にとっても、日本にとってもメリットのあるウインウインの関係にあるわけです。
今回、LNG輸出OKの判断が出たことで前例が確立したことになり、今後の認可は比較的容易になることでしょう。また、リグの休止による供給の減少と対日輸出が認可されたことで天然ガスの価格が今後持ち直してくると予想されます。
ガス生産会社はもちろんタンカーの船主企業も狙い目に
さて、それでは具体的にどの企業が今回の判断でどのような銘柄が恩恵を蒙るのでしょうか? それは大きく分けて次の四つのグループになると思います。以下、そうした代表的な企業を記します。
【恩恵を蒙る企業】
シェールガスの生産会社:サウスウエスタン・エナジー(SWN)、パイオニア・ナチュラル・リソーセズ(PXD)
シェールガスの輸出施設の企業:シェニエール・エナジー(LNG)
LNG船の船主企業:ゴーラーLNG(GLNG)
輸出施設を設計・建設するエンジニアリング会社:シカゴ・ブリッジ&アイアン(CBI)、KBR(KBR)
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