なぜあえて混むランチタイムに値下げをするのか?
その他iPhone6のキャンペーンなどから
ビジネスの仕組みを女子高生に講義してみた

【第128回】2014年9月30日公開(2014年10月6日更新)
保田 隆明

 それもそのはず、まだ1年生や2年生の彼女たちにとって大学はまだ先の話であり、大学授業の体験をすることに対するインセンティブは弱い。また、強制的に全員参加のプログラムであるゆえに気が進まない生徒もいることと、通常の授業を受けなくて済むという解放感があいまって、教室内は全く方向感の定まらない不思議な空気に包まれていた。しかし、コンビニが登場したあたりでは、彼女たちの頭の中が活性化されているのがよく見えた。

 50分しかなかったので、最後に回転率の話をしてタイムアップ。こちらでは、なぜランチタイムは値引かなくてもお客がたくさんやってくるのに、わざわざ飲食店が特定のメニューを値下げしているのか、という質問をした。

 特定のメニューにオーダーを集中させて回転率を高めたいということを理解してもらったわけだ。われわれ消費者は自分でお店や商品を選んでいるように思っているけれども、結局は企業の戦略によって特定の商品やサービスを買うように仕向けられているんだと伝え、なるほどそうかあ、という表情になったところで、おひらきとなった。

球団経営は特殊ではない

 一人、授業後に質問に来た生徒がいた。いわく、「大学では球団経営についても学べますか?」とのこと。実は、プロ野球の試合を満席にするにはどうすればいいか、という質問も授業用に用意していたので、さっそくその子に対してどう考えるか聞いてみた。

 「うーん、グッズを充実させたりですかね・・・?」「それで満席になる?そもそも、グッズを求めるのはどんな人たち」「ファンですよね」「ファンが喜ぶと、確かに球場への頻度は高くなるかもだけど、新規顧客は獲得できないよね?どうすれば新規顧客を囲い込める?」

 ここで導出した答えの一例は、新規顧客獲得のためにはスーパーの試食同様、まずは無料で構わないので球場で野球を見てもらう、試合以外の楽しさを提供する、球場までのアクセスのハードルを下げる(たとえば町内会でバスツアーを組んでもらうように働きかける)などであったが、どういう答えもおそらくすべて新規顧客の獲得とリピーターの頻度上昇に集約される。

 それらは球団経営だから求められる特殊なものではなくて、ビジネス一般に普遍的に必要とされるものだということは理解してもらえた。つまり、学ぶべきは「球団経営」ではなくて、ビジネスに必要な知識やスキルであるということだ。

 もちろん、世の中にはスポーツマネジメントを専門として教える大学も存在するので、そういうところに進学するのも一つの手ではあるが、ビジネスを学ぶことの応用性の広さも同時に実感してもらい、両方を分かったうえで選択をするのがいい。

 球団経営に興味がある女子高生、それだけでユニークな存在であるが、授業後に質問に来るという行動力も兼ね備えており、今後どういうキャリアを歩むのか、非常に興味深い。
 

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