闇株新聞[2018年]

巨額粉飾事件? 東芝が新たな利益水増しを発表。
わずか58億円の自主的発表に違和感あり
オリンパス事件で手口を暴いた「闇株新聞」が抉る!

2016年3月24日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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昨年5月、粉飾決算ならぬ「不適切会計問題(?)」が発覚した東芝。第三者委員会の徹底調査で膿を出し切り、今年に入ってからは事業の売却や再編で立て直しを図っているところですが、3月15日新たに計58億円の利益水増しが判明したと公表しました。すでに関係者の処分を決め、監査体制の強化を図るとも。しかし「オリンパス事件」発覚当初にその手口を暴いた刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』は、この発表に"違和感"があるとしています。東芝はオリンパスを上回る巨額粉飾会計事件となるのか!?


 3月15日、東芝は昨年発覚した不正会計問題で新たに7件、計58億円の利益水増しが判明していたと公表しました。

 2015年第2四半期と第3四半期にかけて損失計上していたものの、不正な利益水増しだったとはしておらず「情報開示に問題があった」というのです。

 同社は2015年9月にも、規定より4カ月も遅れて2015年3月期連結決算を発表し、2009年3月期から2015年3月期までに税引き前利益で2248億円の不正な水増しがあったと公表しています。このたび公表された58億円を加えると2306億円だったことになります。

 今回の公表で東芝は担当常務の報酬カットなど関係者の処分を行い、社外取締役(公認会計士)が4月1日付で常勤監査委員に就任、監査体制の強化を図るとしていますが、どうにも違和感があります。

自発的に58億円の不正会計を公表し
関係者の処分を公表したのには裏がある!?

 なぜなら2015年7月に第三者委員会の調査報告書が公表され、そこで過去の帳簿を徹底的に洗って2248億円の不正会計が「発見」されたはずです。

 ところが本年2月4日には2016年3月期連結決算で営業損失が4300億円、最終純損失が7100億円になるとの「唖然とするような」業績の大幅下方修正を公表しています。

 その間にも昨年11月には子会社・ウエスティングハウスが2012~2013年度に合計13億2600万ドル(1500億円)もの減損を「こっそりと」行っていたことを指摘され、しぶしぶ認めました。

 現時点でも東芝はウェスティングハウスの3441億円にも上る「のれん」を1円も減損しておらず、上記7100億円の純損失予想にも1円も反映していません。それでも2016年3月時点で東芝の純資産は1500億円ほどまで減少するため、ウエスティングハウスの現状を考慮すると「すでに大幅な債務超過」に陥っていることになります。

 そんな1000億円単位の損失がどこからともなく次々と出てくるような「おおらかな」東芝が、桁が2つ少ない58億円の、しかもすでに計上済みの損失が不正な利益水増しだったとわざわざ公表し、関係者の処分と監査体制の強化まで行っているのはなぜでしょう。

 本誌は、東芝が2016年3月期決算に計上する7100億円の純損失には、まだ公表していない過去の不正な利益水増しが「かなり」含まれており、あとでバレないようにあらかじめ58億円だけの不正を自首してウヤムヤにしてしまうつもりなのではないかと見ています。

7100億円に過去の不正を紛れ込ませ
「最終処理」する意図はないか!?

 つまり「2016年3月期にも58億円の不正な利益水増しがありました。すでに関係者を処分し社内の監査体制を強化しており、今後はこのようなことはございません」としておいて7100億円の純損失を計上するわけです。

 4300億円と予想されている営業損失の内訳も含め、この7100億円の中に過去の不正な利益水増しの「最終処理」が1円も含まれていないとは言い切れません。

 オリンパス事件では、過去から「飛ばしていた」最大1178億円の簿外損失を、M&Aの際に過剰な「のれん」を計上するなどで簿内に取り込んだところが犯罪とされました。

 東芝は事件化していませんが、まさにこれから作業する2016年3月期の決算処理のなかで過去の不正な利益水増しの「最終処理」が行われる可能性があるため、本紙でもしっかりと「実況中継」していくつもりです。何しろ7100億円の範囲内で行われるなら「やりたい放題」となるはずだからです。

 東芝は公表分だけで2306億円の不正な利益水増しが行われており、あれだけ大騒ぎされたオリンパス事件の最大不正額である1178億円の2倍もあります。

 これだけでも刑事事件化すべきであり、確かに捜査当局の中ではそのような動きもあるようですが、まだまだ何とも言えません。

当初は金融庁による73億円の課徴金だけで何ごともなかったかのように済まされようとしていた東芝の「不適切会計問題」ですが、刑事事件化する可能性も残っています。名門企業になるとなかなか手を付けようとしない捜査当局が、重い腰を上げるのはいつなのか!? 独自の視点と鋭い切り口で闇の裏側を解説する金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』の続報と”実況中継”にもご期待ください。

[参考記事]
●東芝に原発事業にも巨額隠し損失が発覚!
 それでも「名門企業だから刑事事件にならない」のか?


●ライブドアとどこが違う? 東芝の「不適切会計」
 粉飾決算がなぜ「不適切会計」になったのか?

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