勢いを強める米国市場
ニューヨーク証券取引所の新高値銘柄数も増加中
先週の米国株式市場は、上げピッチを速めました。週間ベースのパフォーマンスは、ダウ工業株価平均指数が+3.06%、S&P500指数が+3.08%、ナスダック総合指数が+3.58%でした。
S&P500指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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投資家の物色は、これまでの金融、建設など、ドナルド・トランプが大統領になったことで直接恩恵をこうむる一握りのグループから、ハイテク、ヘルスケアなど幅広いセクターに広がっています。
それを反映し、ニューヨーク証券取引所の新高値銘柄数も、ここへきてぐんと増えています。
これは現在の上昇相場が、フラフラとした不安定な上昇ではなく、力強いものであることを物語っています。
投資家のセンチメントは過熱気味
相場の天井は近い?
これだけ相場が強いと、市場参加者の慢心が心配されます。そこで、投資家のセンチメントを測るブルベア指数を見ると、直近では、ブル(強気)が58.8%、ベア(弱気)が19.6%でした。
この指数は、いわゆる「逆指標」であり、「強気が多いほど相場の天井が近い」という風に読みます。つまり投資家のセンチメント的には、かなり過熱感が感じられ始めているということです。
トランプの掲げる税制改革が
市場にとっては30年に1度の大材料に!
11月8日の大統領選挙でドナルド・トランプが勝利して以来、米国株式市場は熱狂に包まれています。その最大の理由は、トランプが税制改革に真っ先に取り組むことをシグナルしたためです。
アメリカで本格的に税制改革が議論されるのは、実に30年ぶりです。しかも、今回の減税額は5兆ドルと言われています。これは前代未聞の大型減税です。
株式市場の参加者は、減税が大好きです。30年に一度、巡って来るか来ないか、というような大材料の出現で、投資家は迷いを捨てて先を争うように市場に殺到しているのです。
米国の予算や税制の草案を作るのは、下院の仕事です。下院議員は、税制改革論議が三度の飯よりも好きです。だから下院の議題に税制改革が乗っかると、他の案件は全部ストップしてしまいます。
投資家からすれば、輸入品に関税をかけるとか、メキシコとの国境に壁を作るなど、国際関係や景気に対して悪い影響を与えかねない法案が、税制改革の議論が始まることで弾き出されてしまえば、「あと半年くらいは、余計な心配をせず、減税の材料だけでマーケットを買い上がれる」という計算があります。
だから。1月20日の大統領就任式以降の相場を占うひとつの目安として、「道草を食わず、まっしぐらに税制改革の議論に突入できるか?」という点を、しっかり見極める必要があります。
【今週のまとめ】
目先の米国株は強気で臨むべきだが
税制改革が後回しになったらサッサと逃げろ!
現在の米国株式市場を突き動かしている買い材料は、減税です。だから来年早々議会が税制改革に取り組まなければ、株式市場は慌てると思います。また、もし税制改革よりも貿易問題や移民問題が優先されるようなことになれば、急落局面もあると思います。
目先のスタンスとして米国株には強気で臨むべきだと思いますが、税制改革が後回しになる兆しがちょっとでも出れば「万事休す」ですので、その時はサッサと相場から降りてください。
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