株ニュースの新解釈
【第73回】 2012年4月27日 保田 隆明

ヤクルトの敵対的買収報道は意図的なリークの可能性も。投資家はヤクルト株に飛びつくな!

役員の選任議案の賛否に見る
ヤクルト内部者によるダノンへの拒絶反応

 一方、昨年の株主総会での取締役選任議案に対する株主による賛成比率の数値が興味深い。同社には15名の役員がおり、うち10名が内部者、5名が社外取締役である。社外のうち、3名がダノンの人間だ。社内10名の役員に関しては、選任への賛成率はみな94.0%であり、社外取締役のうちダノン以外の2人についてもほぼ同じ水準である。

 一方、ダノンからの3人に関しては賛成率が88.6%にとどまる。十分に高い賛成率を得ているとはいえ、株主のうち誰かが明らかにダノンからの役員派遣に対して苦々しく思っていることが分かる。おそらく内部者の株主の一部が反対に回った結果であろう。ここからは両社の確執はまだ深いものがあると考えられる。

 したがって、今後の両者の関係が友好的な形で発展していくとはなかなか考えにくい。そうすると、今後の考えうるシナリオとしては、究極的にはダノンによる敵対的買収、あるいは、ヤクルトが株式の売却を迫る、のどちらかになると思われる。しかし、この両方ともすんなりとは実現しそうにはない。

シナリオとしては、自社株買いまたは
敵対的TOBなど考えられるが・・・

 ヤクルトがダノンに株式の売却を迫った場合だが、先に述べたように株価はダノンが取得したときの倍になっているため、ダノンとしては売却をしやすい状況にはある。しかし、事業戦略上重要であり、かつ、安定的に収益を稼いでくれるヤクルト株を手放すインセンティブはダノン側にはほぼないはずだ。

 また、ヤクルトにしてみると最もキレイなのは自社株買いで応じることであるが、ダノンが保有するヤクルト株の時価は1000億円強である。一方、同社が保有する実質的なネットキャッシュ(現預金から有利子負債を差し引いた金額)は300億円程度しかない。よって、なんらかの資金手当てをしない限り自社株買いで全額応じることは難しい。