IPO株の銘柄分析&予想

2023年9月のIPO株(10銘柄)の“投資判断”を紹介!AI関連株の「ファーストアカウンティング」「AVILEN」は中長期で売上の成長が見込めて株価上昇も期待大!

2023年10月22日公開(2024年1月18日更新)
ザイ・オンライン編集部
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2023年9月に新規上場した「IPO株」10銘柄のうち、アナリストが「強気」と評価した「ファーストアカウンティング」と「AVILEN」に注目!

ダイヤモンド・ザイ12月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2023年9月に新規上場した「IPO株」全10銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。

今回は、その中でも小林さんが特に注目している2銘柄をピックアップしているので、投資の参考にしてほしい!
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2023年9月に新規上場した「IPO株」は全部で10銘柄!
初値の上昇率は低調で、新興テック企業の伸び悩みが顕著に

 9月は10社が新規上場。公開価格に対する初値の上昇率は平均14%で、6月の112%や7月の76%と比べると、低調だったと言わざるを得ない。

 要因の一つは大きめのIPOが多かったことだ。その筆頭であるインテグラル(公募・売出規模207億円)は、公開価格と同値スタートでまずまず健闘したが、25日と26日上場の3社(ジェイ・イー・ティオートサーバーネットスターズ)は、軒並み公開価格割れとなった。
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 ただ、大型案件での株式需給に対する懸念は、今に始まったものではない。今回、特徴的だったのは新興テック企業の伸び悩みだ。

 公募・売出規模が9億円弱のファーストアカウンティング(5588)でも、公開価格の2倍に届かず。取引状況を見ると、PER100倍を超えたところでの買い控えムードが強かった。

 「国内外の金利上昇が逆風となるなかで、新興テック企業の設定価格は、割高と感じられつつあるのかもしれません。一方で、以前なら地味と受け止められたオカムラ食品工業(2938)が、想定以上の健闘を見せました。テック企業よりも、落ち着いた設定価格の銘柄のほうに、短期の物色が向いたものと思われます。ただし、同社の成長性からすると、初値は高過ぎの印象です」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さん)

 小林さんは「類似企業を見ても、特にテック企業のPER水準が、かなり下がっている」と指摘する。

 「短期的には、上場後の株価上昇は期待しづらい。上場時の価格設定に要注意です。新興株が全般に上がる局面なら、それほど気にしなくてもいいのですが、今の状況では、類似企業と比べて割安か割高かが重要です」(小林さん)

 さらに、日本証券業協会は10月1日以降の「IPOにおける公開価格の設定プロセスの見直し」を発表した。これまで公開価格は仮条件の範囲内で設定されていたが、今後は範囲外でも設定される可能性がある。

 「範囲外で設定される場合、基本的には仮条件の上が多くなります。つまり、初値の高騰が、ある程度抑えられるということです。設定価格の妥当性を見極める目を、より養う必要があります」(小林さん)
【※「IPO(新規公開株)」の最新情報はこちら!】
【IPO(新規公開株)スケジュール一覧(2023年)】IPOの申込日や幹事証券、注目度などの最新情報を随時更新中!

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2023年9月に上場した【IPO株】10銘柄!

上場日 公開価格 初値
(騰落率)
株価
(10/4)
PER
(PBR)
今後1年の
高値予想
(安値予想)
投資判断
12日  ライズ・コンサルティング・グループ(9168・東G)
850円 850円
(0.0%)
847円 19.3倍
(5.15倍)
1200円
(800円)
中立
【分析コメント】総合コンサル。社員数、コンサル単価ともに順調に拡大。公募・売出規模が120億円超と大きく、初値は伸び悩んだ。その後の株価は上昇したがやや割安感も。
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20日  インテグラル(5842・東G)
2400円 2400円
(0.0%)
2099円 ー倍
(2.97倍)
2500円
(1700円)
中立
【分析コメント】スカイマークの再建実績などで知られる投資ファンド。事業内容から、継続収益と費用以外の業績予想は非開示。未実現の収益もあるが、株価の評価がしづらい。
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21日  揚羽(9330・東G)
1400円 1490円
(+6.4%)
1201円 24.3倍
(4.77倍)
1800円
(1000円)
中立
【分析コメント】企業のブランディング支援。採用活動など人事面に強み。23年9月期の売上はコロナ禍前を上回る予想も、設定価格の割安感が乏しい。24年9月期の業績を注視。
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22日  笹徳印刷(3958・東S)
600円 680円
(+13.3%)
561円 8.9倍
(0.38倍)
750円
(500円)
中立
【分析コメント】パッケージや販促関連などの商業印刷。創業130年を超える老舗で、上場企業と⻑期取引。業績は安定的だが、株価の維持・上昇のためには成⻑加速が欲しい。
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22日  ファーストアカウンティング(5588・東G)
1320円 2354円
(+78.3%)
1908円 91.2倍
(45.39倍)
3000円
(1600円)
強気
【分析コメント】公開価格の1.5倍以上では上場前株主の売りが警戒され、PER100倍を超えると買い控えも。ただ成⻑性は高い。来期業績への期待とともに上値を試す展開へ。
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25日  ジェイ・イー・ティ(6228・東S)
4630円 4420円
(-4.5%)
3395円 8.5倍
(1.68倍)
4600円
(3000円)
中立
【分析コメント】半導体洗浄装置を開発・製造・販売。韓国・台湾・中国に強く、各国メーカーの設備投資継続で業績堅調。株価下落で割安な印象だが、半導体株の人気に陰りも。
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26日  オートサーバー(5589・東S)
2670円 2280円
(-14.6%)
1798円 11.0倍
(1.35倍)
2300円
(1600円)
中立
【分析コメント】業者向けの中古車流通サービス。新車供給に伴う価格下落や業界イメージの悪化が逆風だが、取引は正常化の兆しがある。ただ価格設定がやや強気だった。
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26日  ネットスターズ(5590・東G)
1450円 1334円
(-8.0%)
928円 ー倍
(2.44倍)
1500円
(900円)
強気
【分析コメント】マルチQRコード決済サービスを提供。IPO時に当初想定価格を引下げた。赤字予想が嫌気されてか上場後の株価も振るわないが、来期の黒字化に期待が持てる。
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27日  オカムラ食品工業(2938・東S)
1680円 2564円
(+52.6%)
2477円 15.6倍
(1.93倍)
3000円
(1900円)
弱気
【分析コメント】サーモンの養殖、水産品の加工販売を手掛ける。好発進だが期待先行。テック企業からの物色シフトの面も。サーモン・魚卵価格の変動の影響で今期は減益予想。
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27日  AVILEN(5591・東G)
2120円 2482円
(+17.1%)
2012円 82.8倍
(48.88倍)
3500円
(1900円)
強気
【分析コメント】今期予想ベースで80倍台の高PERが上値の重石だが、高成⻑AI企業の中では特段、水準が高いわけではない。日本郵政グループや大塚商会など大企業と提携。
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※データは2023年10月4日時点。

9月のIPO銘柄の中で、アナリストおすすめの2銘柄を紹介!
「ファーストアカウンティング」と「AVILEN」に注目!

 ここからは、9月のIPO株の中で、小林さんが特に注目する2銘柄を深掘りしていこう。

 一つ目の銘柄は、9月22日に上場したファーストアカウンティング(5588)だ。

 ファーストアカウンティングは、AI技術を活用した経理業務の自動化・効率化サービスを提供する企業。請求書や領収書をテキストデータに変換するOCR(光学的文字認識)では国内シェアトップ。サービスは多くの大企業から支持を得ており、月額固定の定期収益の比率が9割を超える。さらに、長期利用の企業ほど単価が増大。安定的な高成長が期待される。

 続いて紹介するのは、9月27日に上場したAVILEN(5591)だ。

 AVILENは、AIソフトウェアの開発・提供やAI人材育成の研修サービスなどを展開する企業。AIソフトによる課題解決までの一気通貫モデルを提供し、累積取引社数は530以上。継続売上に加えて新規顧客数の拡大で、積上型の安定的な成長を実現。他のAI企業と比べて利益率も高水準だ。大企業との提携やM&Aによる成長加速にも期待。
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主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
19社
52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
345万
【ポイント】
大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。
※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
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◆SBI証券
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1245万
【ポイント】
ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。
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