「トランプノミクス」によるドル高・円安を好感した外国人投資家の日本株買いの勢いが止まりません。
投資主体別売買動向を見ると、外国人投資家は11月第2週、第3週で8900億円強買い越しました。この結果、2016年度の累計でも、遂に1200億円強の買い越しに転じました。なお、足元では、日本株の買いの主体は短期スタンスのヘッジファンド等のみならず、中長期スタンスで投資判断する機関投資家に広がっているということです。
一方、逆張り投資が大好きな個人投資家は、日本株を売りまくりです。11月第2週、第3週の売り越し額は2週合計で8600億円強でした。個人投資家の大量の売り物を外国人がバクバクと食べて、完全に吸収しています。この外国人の買いが細ったり、売り越しに転じない限り、東京株式市場は強い動きを続けることでしょう。
NYダウは4日連続で過去最高値を更新!
今後盛り上がりを見せる年末商戦にも期待
当然のことながら、「トランプノミクス相場」は米国発の相場材料のため、米国株も非常に強い動きを続けています。週明けの11月28日は反落したものの、11月25日までのNYダウは4日続伸し、4日続けて過去最高値を更新しました。トランプ次期政権で実現が見込まれる、大規模な減税やインフラ投資などの財政出動が米国景気を力強く押し上げるとの期待が背景です。
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また米国では、11月の第4木曜日の感謝祭とその翌日の「ブラックフライデー」から年末商戦がスタートします。この年末商戦による、米消費の盛り上がりに対する期待感も、相場の押し上げ要因として意識されています。
OPECが原油の減産に合意しても
原油価格が高騰するリスクは低い?
さらに、NY原油先物相場が底堅い動きを続けていることも、多くの投資家がリスクオンでいられる主因のひとつです。11月28日には、イラクのルイアビ石油相が、「11月30日の石油輸出国機構(OPEC)総会で、産油国は減産で合意できる」との自信を示したそうです。
もちろん、OPEC総会において生産調整の大枠の合意があったとしても、産油国が協定に従わず、結局、需給は改善しない可能性も指摘されています。このため、NY原油先物相場が、この先ガンガン上がることはないかもしれません。それでも、WTIウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格が1バレル=40ドル台で推移するようなら、投資家がリスクオフに転じることはないとみています。
TOPIXは12連騰と絶好調!
足元の円安もひと段落か
このような状況下、11月28日の日経平均株価は、前週末比24.33円安の1万8356.89円と、8日ぶりに小幅反落しました。一方、TOPIXは、前週末比5.05ポイント高の1469.58ポイントと、12連騰しています。
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11月28日の日経平均株価反落の主因は、東京外国為替市場で11時38分に1ドル=111円36銭の円高水準を付けるなど、ドル/円相場が円高に振れたことです。
なお、ドル/円相場は、11月25日に一時1ドル=113円90銭近辺と、3月15日以来、約8カ月ぶりの円安・ドル高水準を付ける場面がありました。そこが目先のドル高のピークになっています。
ドル/円相場に関しては、11月25日までのドル高・円安のピッチが急過ぎたため、足元の円安一服は当然の調整と考えています。
多くの個人投資家が押し目を待つも
日銀に買い支えられ期待薄
私は、円安が一服して日経平均株価が上げ止まり、且つ、大幅に下落しないなら、短期マネーは新興市場を中心に小型株、材料株、テーマ株に流入するとみています。そうなれば、日経平均株価、TOPIXなどの株価指数や主力の大型株だけが上がる相場よりも、多くの個人投資家の相場における体感温度は急激に上がるはずです。
個人投資家のこれまでの大幅売り越し額を考慮すれば、個人の手元には待機資金があるはずです。しかしながら、彼らの多くは、現在の相場水準からみれば相当下の安値水準で売却した可能性が高いです。また、これまでの日経平均株価の推移から判断すると、「高値でいったん売って、その後、安値で買い戻す」といった具合に、上手く立ち回れてはいないとみています。
つまり、「トランプノミクス相場」に上手く乗れず、これまでの相場上昇を、指を咥えてみているだけで、フラストレーションを溜めている個人投資家が沢山いそうです。また、大型株中心の上げ相場で、持ち株の小型株が物色の蚊帳の外に置かれ、株価指数の上昇を苦々しく思っている個人投資家も多いと思います。
このように「トランプノミクス相場」に上手く乗れていない個人投資は、押し目をじっと待っているはずです。
一方、玄人投資家の一部は、空売りを果敢に行ったり、株価指数先物やコール・オプションをショートしたことでしょう。そのような売り方の評価損も相当な規模に膨れ上がっているはずです。
押し目があれば買い戻したい投資家に加え、安くなれば売り玉を買い戻したい投資家が「うようよ」いるはずです。つまり、現在の相場局面は、まさにあの有名な相場格言、「押し目待ちに押し目なし」がぴったり当てはまる状況にあると考えています。
売り方にとっての「恵みの雨」となる「押し目」は、想定を超える悪材料が飛び出さない限り、当分の間、実現しないとみています。なぜなら、日銀のETF買いが期待できるからです。
11月9日の「トランプショック」の急落以降、相場上昇が続いていたため、日銀によるETFの買い入れ実績は、11月28日までありませんでした。その日銀は、年間6兆円のペースで株価指数連動型のETF買い入れ枠を有しています。
買い余力が非常に大きいため、今後、仮に相場が押し目を形成したとしても、そこでは断続的に日銀のETF買いが入るでしょう。その結果として、強力に相場が買い支えられ、仮に押し目はあったとしても、非常に浅い押し目で終わる可能性が高いとみています。
今週の銘柄探しのキーワードは
「カジノ」「ロシア」「ナノセルロース」の3つ
最後に今週の物色テーマですが、「カジノ関連」、「ロシア関連」、「ナノセルロース関連」に注目しています。
カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)については、推進派の菅義偉官房長官が11月28日の与党協議で「議員立法ではあるがIR法案もお願いしたい」と異例の要請をしたり、11月27日に自民党の竹下亘国会対策委員長が、カジノ法案について、「(審議入りの)可能性はゼロではない」と衆院で審議入りする可能性に言及しています。
確かに、審議入りを認めた与党の公明党は成立には慎重姿勢のようですが、株式市場的には審議入りなら「買う材料」になります。
関連銘柄としては、8月にカジノ用ゲーム機製造会社を子会社化したピクセルカンパニーズ(2743)、カジノなどのアミューズメントホールの内装工事、清掃メンテナンスを得意とするインターライフホールディングス(1418)、賭博性の無いゲーム性メインのカジノ「アミューズメントカジノ」を展開するアドアーズ(4712)、紙幣識別機や硬貨計数機等の貨幣処理機大手の日本金銭機械(6418)などが挙げられます。
また、岸田文雄外相が、12月3日のモスクワでのラブロフ外相との会談に先立ち、12月2日にプーチン氏の地元サンクトペテルブルクで会談する方向です。12月15日に、山口県で北方領土問題が焦点となる日ロ首脳会談が開かれますから、その事前打ち合わせでしょう。
もちろん、ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイルを配備したことに加え、安倍晋三首相が11月28日夜、自民党幹部とホテルで会食した際に「領土交渉は非常に厳しい」と語ったそうなので、15日の首脳会談では「領土問題」に目立った進展はないかもしれません。しかしながら株式市場的には、日本のロシアへの経済協力の合意が形成されるなら、「買う材料」になりえます。
関連銘柄としては、ロシア、モンゴルへの外航海運に強みを持ち、植物工場事業も行っている東海運(9380)、ロシアの「ガスプロム社」に天然ガスパイプライン用塗料の納入を行った実績を有する川上塗料(4616)、新潟港軸の港湾運送大手のリンコーコーポレーション(9355)、植物工場事業にも参入しているエージーピー(9377)などがあります。
そして、12月8日~10日の3日間、東京ビッグサイトで、「ナノセルロースフォーラム」が主催する「ナノセルロース展」が開催されます。
ナノセルロースの製造では、第一工業製薬(4461)、中越パルプ工業(3877)、旭化成(3407)、星光PMC(4963)、日本製紙(3863)、王子ホールディングス(3861)、大王製紙(3880)などが出展します。
先端材料・複合材料では、北越紀州製紙(3865)、大阪ガス(9532)、三菱鉛筆(7976)、凸版印刷(7911)が出展します。ナノセルロースの製造機械 では、日本製鋼所(5631)が出展します。
これらの銘柄のうち、時価総額の小さい銘柄が関連株として人気化しそうです。
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