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海外移住での税逃れやタワマン節税も困難に!富裕層を狙う「課税強化」の実態とは?

2017年1月7日公開(2022年3月29日更新)
ザイ編集部
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富裕層に対する「課税強化」の動きが相次いでいる。あの手この手で繰り出される節税策を封じようと、国税庁は躍起だ。今、何が起きているのか。対抗手段は何か。

現在発売中のダイヤモンド・ザイ2月号の特集「『富裕層』の実例に学ぶ節税対策(秘)6カ条」では、タイトルどおり富裕層の実例とともに課税強化の現状を紹介している。ここでは、その実例の一つを抜粋して紹介していこう。増税の現状を知る役にも立つので、「富裕層じゃないけど……」という人も参考にしてみてほしい。

封じられる節税手段……国外での税逃れを徹底封鎖! 

 シンガポール在住の兼元成嗣さん(59歳・仮名)は、ニュースを見て、目の前が真っ暗になった。現在の日本の税制では、海外に財産を移し、本人と財産を受け取る子どもなどが5年間海外に住んでから贈与を行なえば、贈与税がかからない。その「5年」が「10年」に変更される、というのだ。

 IT関連で起業して成功。50代半ばで会社を譲り、株式公開で値上がりした自社株を売って大きな富を手にした。資産額は約32億円。日本は税金が高い。必死に働いて資産を築いても、税金で半分取られてしまう。

 一方、シンガポールは相続税も贈与税もない。株や不動産の値上がり益にも税金はかからない。日本からも近いし、インフラも整っている。兼元さんは資産を守るために、移住した。

優雅に思えた海外暮らし……実態は帰国できる日を指折り数える日々

 しかし、海外での暮らしは想像していた以上につらい。妻は「日本以外には住めない」と言ってついて来なかった。娘は欧州に留学中だ。金はあっても、やることがない。最初は美味しく感じたシンガポール料理も、毎日となると苦痛だ。寿司屋など日本料理の店もあるが、高いし、日本のそこらの店のほうがずっとうまい。

 シンガポールには、日本人のたまり場となっている飲み屋がたくさんある。結局、毎日そこで過ごすようになった。自分と同じように節税のために移住してきた富裕層もいるが、その多くが日本に帰る日を指折り数えて待っている。

 移住による節税を指南してくれた税理士からは、「5年では駄目だ、1年は余分にいたほうがいい」と言われている。5年ちょうどで帰国すると、「租税回避」と見なされて追徴課税される恐れがあるという。

 楽しみは年に数度の一時帰国だが、それも多すぎると危ない。「1年の半分以上、183日海外にいれば大丈夫だ」という話もあるが、税理士によればこれは俗説で、「日本非居住者」かどうかは“生活実態などから総合的に判定”されるため、なるべくシンガポールにいろ、と言う。

 あと2年半で日本に帰れる。そう思って耐えてきたのに、それが5年も伸びるとなったら……。税金を余計に払ってもいいから、もう帰ろうか。兼元さんはそう思い始めている。

はやりとなった節税策は国税庁が目を付けて潰す

 近年、政府は富裕層の「租税回避」を封じる手段を次々と講じている。租税回避は税法に反する「脱税」ではないが、法の穴を突いて課税を逃れるいわばグレーゾーンの行為。これに網をかけようとしているのだ。

 特に神経を尖らせているのが、海外での税逃れだ。2015年には、海外に移住する際に1億円以上の有価証券等を保有している場合には、譲渡したと見なして含み益に課税するという「国外転出時課税(出国税)」を導入。

 そして2000年に導入された「5年ルール」を「10年」にすることが、2016年12月8日に政府与党がまとめた「2017年度税制改正大綱」に盛り込まれた。  

富裕層の間では常識の「タワマン節税」にもメスが!

 海外移住だけではない。富裕層に人気の「タワーマンション節税(通称タワマン節税)」も、国税庁の標的になった。

 マンションの相続税は、土地の路線価と建物の固定資産税に応じた評価額で算出される。評価額は一般的に時価より低く、階が違っても評価方法は同じとなるため、時価の高い高層階を買えば、大きな節税効果があるのだ。賃貸にすればさらに評価額は下がり、現金で相続するときと比べ8割も節税できる、と言われる。

 これが問題とされ、やはり2017年度の税制改正大綱で、固定資産税を見直すことになった。2018年以降に引き渡す20階建て以上のマンションで、高層階の税額を引き上げる。例えば40階の場合で10%ほどの増税になる。

 「この程度ならまだ節税策として有効」というのが専門家の共通意見だが、「今後、時価で評価するなど、もっと踏み込んでくる可能性」(公認会計士・税理士の足立武志さん)もある。

 こういった富裕層を追い詰める増税の実例はまだまだある。今回はその一部を紹介したが、節税に興味がある人は、その他の実例も掲載しているダイヤモンド・ザイ2月号をチェックしてみてほしい。

 現在発売中のダイヤモンド・ザイ2月号では、大特集「2017年『株』全予測&儲け方」のほか、「上場全3619銘柄の最新理論株価」「2017年 新春 買っていい×買ってはいけないをズバリ判定! 人気の株500激辛診断 買いの10万円株139」などを掲載。

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