4月24日の日経平均株価は、前日比255.13円(1.37%)高の1万8875.88円でした。一方、東証マザーズ指数は前日比20.35ポイント(2.02%)安の988.29ポイントでした。そして、翌25日前場の日経平均株価は前日比158.86円(0.84%)高の19034.74円、東証マザーズ指数は前日比8.86ポイント(0.90%高)の997.15ポイントでした。
まず、4月24日の日経平均株価が大幅高となった理由は、23日のフランス大統領選挙の第1回投票結果を受け、外国為替市場で円が対主要通貨で売られたことです。
1回目の投票では、エマニュエル・マクロン前経済相と極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が、5月7日に実施する第2回の決選投票に進むことになりました。市場にとっての最悪シナリオである、EUに批判的な候補者が揃って決選投票に進むことが避けられました。これがポジティブに評価され、安全資産とされる円はドルやユーロに対し大きく値下がりしました。
この円安を受け、輸出企業の採算改善期待から主力株が買われ、日経平均株価は大幅続伸しました。そして、4月25日前場は、朝鮮人民軍創建85年で、北朝鮮が核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などの挑発行為を断行することが懸念されるなか、前日の欧米株高を手掛かりに買いが入りました。
なお、4月25日前場は反発したとはいえ、日経平均株価が大幅高したにもかかわらず、24日の東証マザーズ指数は大幅続落したことは要警戒です。一方、24日の東証マザーズ市場の売買代金は723億円と、前営業業日の21日の1457億円から半減し、1月19日の675億円以来の低水準に落ち込みました。円安を受け、短期マネーが東証1部の主力株に集中した結果、マザーズ市場が物色の蚊帳の外におかれたことが主因です。
また、「ジーエヌアイグループ(2160)」が4月21日にモルガン・スタンレーMUFG証券を割当先として新株予約権発行による資金調達(差引手取概算額は合計約135.84億円)を発表し、希薄化懸念(潜在株式数2000万株、希薄化率最大17.54%)からストップ安比例配分となったことで、市場の一部では、24日の東証マザーズ指数の下落は、「ジーエヌアイ・ショック」とも呼ばれました。
日経平均株価1万9000円超えも上値は重い!
26週移動平均線は超えるも、13週移動平均線は下回る
ところで、日経平均株価は4月17日の1万8224.68円を年初来安値にして切り返しました。日経平均株価を下支えし、押し上げた立役者は、日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)といった「公的資金」だったようです。
実際、投資主体別売買動向では、公的年金の売買を反映する信託銀行は4月第2週の売越額が約10億円と、前週の633億円から大幅に縮小しました。この大幅減少の主因については、裏は取れませんが、GPIFが買い越しに転じた結果と観測されています。
また、4月17日は前場で日経平均株価が0.3%安だったにもかかわらず、日銀は上場投資信託(ETF)を合計737億円購入しました。このような公的資金の買いの影響で、日経平均株価は底打ちした格好です。
ただし、4月25日前場の日経平均株価は大幅続伸したとはいえ、前場終値は1万9034.74円と、26週移動平均線(25日前場現在1万8906.90円)は超えたものの、13週移動平均線(同1万9095.24円)は下回っており、依然として、中期的に強気に転じることはできません。13週移動平均線を終値で超えたら、晴れて強気に転じることができます。
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その一方で、日経平均先物・オプション4月限のSQ値1万8613.29円、25日移動平均線(同1万8788.51円)を上回っています。短期的にはテクニカルが好転し、強気に転じてよい状況です。このため、4月限のSQ値1万8613.29円を割り込むまでは、13週移動平均線を上抜くこと(中期強気転換、中期上昇相場入り)を期待しましょう。
しかし、期待が裏切られ、SQ値を割り込んだら、それを諦め、4月17日の1万8224.68円を意識した下落を警戒するべきでしょう。なお、一部証券会社の試算では1万9000円~1万9500円の過去の累積売買代金は123兆円です。このため、このゾーンでは相当量の戻り売りが出てくることが予想され、上抜くのは簡単ではないでしょう。また、上抜くには大幅な円安が必要と考えます。逆に、1万8224.68円を割り込むには17日の1ドル=108円13銭を下回る大幅なドル安が必要でしょう。
2016年以降、個人投資家の投資マインドは委縮、
玄人ばかりの今の新興市場で儲けるのは至難の業!
改めて振り返ってみれば、日経平均株価は3月2日の1万9668.01円を年初来高値に、地政学リスクの高まりを主因にして、4月17日に1万8224.68円の年初来安値を付けました。この調整過程で多くの個人投資家の手の内が悪化したと推察されます。
例えば、4月14日時点の信用評価損益率はマイナス11.69%と、5週連続でマイナス幅が拡大しました。一方、14日時点の信用買い残は2兆5433億円と、2週連続で減りました。しかしながら、日経平均株価が下落する中、個人は信用取引で押し目買いを継続し、信用買い残は3月31日まで7週連続で増加し、3月31日時点では2兆6256億円にまで積み上がりました。このため、今後の相場では、信用買い残が多い銘柄については、上値では買い方のヤレヤレ売り圧力が相当強いことは覚悟しておく必要があります。
さらに過去まで遡れば、2016年度は英国の欧州連合(EU)離脱、米国でのトランプ大統領誕生など想定外のイベントが発生し、個人は痛み、投資マインドが委縮し、株式取引を手控えているようです。
実際、個人投資家による2016年度の株式売買代金は前年度比16%減の116兆円、4年ぶりの低い水準に落ち込んだそうです。この傾向は、北朝鮮や中東情勢を巡っての「地政学リスク」の高まりを主因にした相場低迷や、盛り上がりに欠ける売買代金の推移から分かるように、新年度に入っても継続しているはずです。
こうなると、残念ながら個人投資家がメインプレーヤーの東証マザーズやジャスダック市場人気が盛り上がることはないでしょう。
個人投資家のうち、新興市場銘柄をメインに売り買いしている投資家については、ここ最近の新興市場の下落で、トランプノミクス相場で新規参入した「にわかトレーダー」や、投資経験が長くても手が合わなかった投資家の多くは、投資元本を溶かし退場した、または、退場寸前に追い込まれていると推察されます。その結果、現在も生き残り、新興銘柄を活発に売り買いできているのは、相場巧者の「玄人はだし」の個人だけでしょう。正直、上手い連中しかいない相場で儲けるのは至難の業です。
もし、あなたが「自分は相場が上手い」という自信があるなら別ですが、腕に自信がなく、どちらといえば「相場の肥やし(相場スラングで、他の投資家に利益を分け与える投資家)」という自己認識なら、やればやるほど損をする、やればやるほど相場巧者に利益を与えることになるでしょう。だったら、新興市場については、見(ケン)を決め込む方が得策です。
大型連休中は何が起こるかわからない!
リスク回避的な投資家は、連休前に手仕舞いを
日本では、4月29日からゴールデンウィーク入りです。5月1日、2日を休めば9連休の大型連休になります。地政学リスクが高いため、連休中に一体何が起こるか分かりません。
また、5月7日はフランス大統領選の決選投票です。そして、9日は韓国大統領選の投開票日です。この日程を考慮すると、リスク回避的な投資家は、売りでも買いでも、連休前に手仕舞いして、「ノーポジ」、「オールキャッシュ」にしておくべきでしょう。
基本的に、連休中は、レジャー、スポーツ、家族サービス等に集中し、相場のことを完全に忘れるくらいでちょうどいいと思います。本格的な市場参加は、韓国の大統領選挙終了と、3月決算企業の決算発表(ピークは5月12日、998件)を見極めてからでも、十分間に合うと考えます。
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