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ジャスダック平均が、27年4カ月ぶりの高値を更新!投資家の関心・資金が中小型株にも流入する中、年末に向けた「節税売り」による株価下落に注意!

2017年12月12日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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 日米共に、株式市場は好調です。

 12月8日のNYダウは、4日に付けた過去最高値を4日ぶりに更新しました。

■NYダウ(ダウ工業株30種平均)チャート/日足・1年
NYダウチャート/日足・1年NYダウ(ダウ工業株30種平均)チャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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 これを好感する格好で、週明け11日の日経平均株価は、週末比127.65円高の2万2938.73円と、11月2日の2万2937.60円以来、約1カ月ぶりに終値ベースで年初来高値を更新しました。また、これは1992年1月9日以来およそ25年11カ月ぶりの高値です。

■日経平均株価チャート/日足・1年
日経平均株価チャート/日足・1年日経平均株価チャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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 そして、12月11日のNYダウも3日続伸し、連日で過去最高値を更新しました。S&P500種株価指数も連日で最高値を更新し、ナスダック総合株価指数は4日続伸し、前週末比34.997ポイント高の6875.078ポイントでした。

米雇用統計やSQ通過で相場もひと段落
年内に残るイベントは12~13日のFOMCくらい

 12月8日の米国株高は、11月の雇用統計を受け、非農業部門の雇用者数が市場予想を上回り、米労働市場が堅調であることが確認できた一方で、平均時給の伸びが予想より小さかったため、今後の利上げは緩やかなペースにとどまるとの見方が強まったことが主因です。

 また、米議会上下両院が、12月8日が期限となっていた連邦予算について22日までのつなぎ予算を可決したことも買い材料になりました。さらに、メイ英首相とユンケル欧州委員長が8日、EU離脱条件について大筋合意したことも追い風になりました。

 一方、日本では12月8日が株価指数先物・オプション12月物のSQ算出日でした。SQ値は2万2590.66円でした。SQ週の日経平均株価は乱高下しました。3日~6日までの3日間で641.99円下落した後、7日と8日の2日間で634.04円上昇しました。

 この乱高下の主因は、先物・オプションで指数売買を行う大口プレーヤーのSQ前のポジション・デルタ調整が現物市場を揺り動かしたことでしょう。このような需給面の特殊要因が、SQ通過でいったん消滅しました。

 これで、年内の重要イベントは12月12~13日のFOMCくらいしか残っていません。ここでの追加利上げは、市場は織り込み済みであり、予想通り利上げ実施なら波乱はないでしょう。そして、これが終わると多くの海外勢はクリスマス休暇に本格的に入り、東京株式市場のメインプレーヤーは国内勢ということになる見通しです。

日経ジャスダック平均が27年4カ月ぶりの高値
ただし、小型材料株の値動きは2極化

 ところで、12月11日の日経ジャスダック平均は、1990年8月3日以来ほぼ27年4カ月ぶりの高値を付けました。

■日経ジャスダック平均チャート/日足・1年
日経ジャスダック平均株価チャート/日足・1年日経ジャスダック平均株価チャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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 日経平均株価が10月2日から24日まで、終戦後の1949年に東証再開以来初めてとなる16営業日連騰を記録した頃は、投資家の人気・関心・資金は大型株一辺倒で、中小型株は物色の蚊帳の外でした。しかしながら、足元では、大型株にも中小型株にも資金が流入し、バランスの取れた物色動向になっているように感じます。

 足元では、「師走相場」らしく、個人の餅代稼ぎの材料株物色が活発に行われているとみられます。当然これは、中小型株を好み、信用取引を駆使し短期売買を行うアクティブ個人にとって望ましい投資環境です。

 ただし、今後は年末接近で、個人投資家好みの銘柄の値動きは税金面から2極化するでしょう。具体的には、値動きの鈍い銘柄は節税売り(損出しの売り)で、より弱い動きになるとみています。

 その一方で、値動きが良好な銘柄に関しては、そのような節税売りが出難く、好需給を背景に、より強い動きになる見通しです。なお、強い銘柄とは、株価が年初来高値または上場高値付近で推移している銘柄です。逆に、弱い銘柄とは、こんなにも相場環境がいいのに、株価が25日移動平均線を下回っているような銘柄のことを指します。

 ちなみに、今年の年内受け渡し最終日は12月26日です。株式等の譲渡損益計算を行う場合、日付の基準は一般的に受渡日とされており、特定口座では、受渡日ベースで損益を計算します。よって、個人の関与率の高い銘柄については、26日まで税金絡みの需給の影響が強い状況が継続するでしょう。

今年の日本市場は非常に好調ながら
小型材料株をメインとする弱小個人の成績はいまひとつ

 それにしても、今年の東京株式市場は非常に強い動きでした。大発会の始値は1万9298.68円です。現在までのところ、年初来安値は4月17日の1万8224.68円、年初来高値は11月10日の2万3382.15円です。なんといっても今年は、1996年6月26日につけたバブル崩壊後の終値ベースの戻り高値の2万2666.80円も、同日付けたザラ場ベースの高値22750.70円も、約21年半ぶりに上回ったのです。あと3週間残っているとはいえ、東京市場にとって、非常に意義深い1年になったといえるでしょう。

 ただし、私の聞く限り、今年メチャクチャ儲けた個人は、大型株を長期保有している富裕層がメインで、新興市場銘柄や、小型材料株が大好きで、短期売買を得意とする弱小個人はあまり儲かっていないそうです。まあ、東証マザーズ指数の冴えない値動きをみる限り、弱小個人はあまり儲かっていないという話は頷けます。来年は是非、一度くらいは、マザーズ市場が活況を呈する場面があって欲しいものです。

10月以降に儲かっていない個人投資家は
自分のスタイルに固執せず、早急に運用戦略の見直しを

 そうはいっても、10月以降の相場で小型株投資に執着して、パフォーマンスがいまいちだった投資家は、まずは、新興銘柄・小型材料株偏重の運用は見直すべきですね。

 なぜなら、大型株が堅調だと、大口の投資家の資金は流動性の高い大型株に集中し、流動性の低い小型株には、あまり向かいません。こうなると、日経平均株価など株価指数が気分よく上がっているのに、自分のポートフォリオは一向に変化しない、むしろ、下落するという憂き目に遭いかねません。まあ、今年の秋から冬にかけて、そのような状況に陥った個人は相当数いるはずです。

 この実体験を経て、相場状況に応じて臨機応変に運用戦略を変化させないと、なかなか思ったような儲けは出ないことを悟ったはず。ですから、資金を小型株に一極集中させるのではなく、なる早で、好業績の大型株にも振り向けましょう。

 「進化論」のチャールズ・ダーウィンが言ったとされる、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」という言葉が意味するところは、株式投資にも通じるところがあるでしょう。

 ここ最近上手くいっていない投資家は、是非、今年の秋の経験を生かし、変化できる投資家になってください。

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