「医療費控除」で得する人が増える、平成29年分の確定申告を解説! 新制度「セルフメディケーション税制」とは?
平成29年分の確定申告の提出期間は2月16日~3月15日。申告の必要がある人は、そろそろ準備を始めたいところだ。ダイヤモンド・ザイ3月号には、特集「入力画面掲載でわかりやすい!ネットでラクラク確定申告」を掲載。確定申告のポイントをわかりやすく解説している。
今回は、特集内で紹介している「医療費&市販薬代を多く支払った人の確定申告」を抜粋して紹介。払いすぎた税金を取り戻そう!(監修:日本中央会計事務所、代表取締役・青木寿幸さん、清藤雅仁さん)
夫婦共稼ぎの場合は、収入の多い方が申告を!
病気やケガをして医療費を支払った場合、その1年間の合計が一定額を超えると、所得から控除することが認められている。これが「医療費控除」だ。
医療費控除の対象は、所得が200万円以上の人なら10万円を超えた額、所得が200万円未満の人なら所得の5%を超えた額だ。
医療費控除の最大のポイントは、納税者本人だけでなく、家族のために支払った医療費も控除の対象となること。
ただし、家族といっても生計が別の子や親はNGだ。「生計を一にしている家族」というのが条件で、離れて暮らしていても、扶養している大学生の子や老親なら合算できる。また、夫婦共稼ぎの場合、原則として収入が多い方から控除したほうがお得だ。
医療費控除は年末調整では対応してくれないので、会社員でも確定申告が必要だ。もし申告を忘れていたなら、5年前まで遡って申告できる。
病院や薬局のレシートを家中から集めよ!
医療費控除の対象は「治療」「医師の指示によるもの」が対象。治療なら保険適用外の歯科診療や先端医療の費用もOK。処方薬はもちろん、市販薬もOKだ。医師の指示があれば、整骨院でのマッサージ費用や血圧計などの購入費用もOKとなる。
逆に予防、健康増進、美容は対象外なので、予防接種やサプリメントの費用は認められない。子どもの歯の矯正はOKだが、大人の矯正は美容目的となるためNGだ。
通院および付添人が使った交通費もOKだ。病状や交通事情でタクシー代も認められる。
申告には病院や薬局のレシート、交通費のメモを整理し、「医療費の明細書」を作成しておく必要がある。
新制度で、「特定の薬」の購入額が一定以上なら控除対象に
平成29年分の申告から、新たに「セルフメディケーション税制」という還付制度が加わった。医療費控除の「特例」として、施行される。
ごく簡単に言うと、街の薬局で、特定の薬を1万2000円超買うと、税が控除されるしくみ。医療費控除が10万円超からということを考えると、ハードルが低い制度と言える。
ただし条件が2つある。まず、対象となるのは「スイッチOTC医薬品」という薬に限られる。どの薬が該当するかは、厚労省のHPなどで公表されているが、手っ取り早いのは、薬の外箱を見ることだ。「税控除対象」のマークが付いているので、わかりやすい。またレシートでは、当該の薬名の頭に、所定の印(★や*など)が付いている。
対象の薬は、平成29年11月時点で1700品目近くある。風邪薬のパブロンや頭痛薬のナロンエースなど、身近な薬が多数採用されているのだ。この特例によって、医療費控除の対象者は、かなり増えるだろう。
もう1つの条件は、健康管理の取り組みを行なっていること。具体的には、取り組みの証拠として書類や領収書を、確定申告時に提出する必要がある。健康維持・増進の取り組みと見なされるものには、インフルエンザの予防接種や市区町村指定のがん検診、職場の定期健康診断、特定健康診査、人間ドックなどがある。提出は、納税者本人のものだけで家族分は必要ない。セルフメディケーション税制の適用を受けたいなら、健康診断など、普段から健康に心がけた生活が必要ということになる。
なお、このセルフメディケーション税制の特例を利用すると、従来型の医療費控除は受けられない。どちらかお得なほうを選択しよう。
もう一つの制度革新! 領収書の添付が不要に
もう一つ、大きな制度変更がある。医療費控除の申告では必要だった、領収書の添付が不要になったのだ。提出するのは医療費の明細書だけでいい。ただし、領収書は5年間の保存が義務付けられる。税務署が求めた場合は適宜開示、提出しなければならないので、捨てたりせず、大事に保管しておこう。
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確定申告のポイント解説はダイヤモンド・ザイ3月号でチェック!
今回は、発売中のダイヤモンド・ザイ3月号の特集「入力画面掲載でわかりやすい!ネットでラクラク確定申告」から、「医療費&市販薬代を多く支払った人の確定申告」をピックアップした。同特集では、国税庁のサイトから確定申告をする方法を、実際の画面を表示しながらわかりやすく解説している。これから確定申告をする予定の人は、ぜひチェックしてみてほしい。
なお、ダイヤモンド・ザイ3月号では「最強 日本株番付」を大特集! 「5万円株」「10万円株」「高配当株」「大型株」「中小型株」「新興株」「十両+幕下」という全7大番付の注目103銘柄を大公開している。ほかにも「日経平均株価はどこまで上がる!? 強気派VS弱気派 大バトル!」「日本株の最強『投信』番付2018」「つみたてNISAは好成績投信で始めなさい!」など、今月も儲かる情報が盛りだくさん。
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