「米国株」の中で、プロおすすめの"高配当株"と"高成長株"を紹介!
日本株をはるかに上回るペースで上昇してきた米国株。2月初旬に大幅に下落したが、実はこれからが、米国株の本領が発揮できる相場だ! 発売中のダイヤモンド・ザイ4月号の特集「今こそ買いの米国株 BEST22」では、持ちっぱなしでOKな高配当株、株価急騰が狙える高成長株など22銘柄を紹介している。
今回はその中から、「高配当な米国株」と「高成長な米国株」をピックアップ! また、高配当株と高成長株、それぞれを選ぶ上でのポイントもプロに解説してもらっている。これから米国株を買ってみたい人は、ぜひ参考にしてみてほしい。
米国株の「高配当株」の選び方を紹介!
現金収入が豊富な企業は、減配リスクが小さく狙い目
米国の高配当株は、長期で持つのに向いている。なぜなら、米国企業の経営者にとって、株主還元は重要なミッションであり、増配に積極的だから。また、高配当株は、相場全体の急落時でも利回り狙いの買いが入りやすく、株価が値下がりしにくいからだ。
コンテクスチュアル・インベストメンツLLCの広瀬隆雄さんは、長期で持てる高配当株を選ぶコツについて、次のようにアドバイスする。
「配当利回りが極端に高い株もあります。しかし、それは、その株の評価が低く、売られ過ぎているサインでもあります。米国株の場合、適正な配当利回りは5%まででしょう」(広瀬さん)
利回りが高すぎる株は、投資すべき成長分野が見いだせないため、配当を還元するだけになっている。こういった株は、業績が急速に悪化し、減配や無配に追い込まれたり、破綻することも。これを避けるには、業界を代表する大企業を選ぶべきだと、マンハッタン・グローバル・フィナンシャルの森崇さんは言う。
「長年、競争力を維持してきたので企業規模が大きくなっている可能性が高く、景気の悪化で極端に利益が減るリスクが小さいからです」(森さん)
加えて、安定収益があって減配リスクが小さいかどうかは、1株当たりのフリーキャッシュフローのチェックでわかると森さんは言う。
「フリーキャッシュフローとは、企業が本業で稼いだ現金から、事業維持のために必要な投資に回した現金を差し引いたもの。つまり、企業が自由に使うことができるキャッシュを意味します。これが配当を上回っていれば、配当以上の現金収入があるという証拠です」(森さん)
さらに、急落にも強い株を選ぶために、下落基調のものは避け、米国の主要指数「S&P500」の予想PER(2月7日時点の予想PERは17.4倍)を大きく上回らない株を買うのがおすすめだ。
世界一の製薬会社である「ファイザー」は、
2009年にいったん減配するも、その後は増配を継続中!
ここでは、そんな条件に当てはまる米国株の、優良な高配当株を1銘柄紹介。M&Aによる多角化が成功し、製薬業界で世界一の売上高を達成した「ファイザー(PFE)」だ。
「ファイザー」は160年以上の長い歴史を持ち、ペニシリンの量産に世界で初めて成功した大手医薬品メーカー。主要製品は肺炎ワクチン「プレブナー」、疼痛治療剤「リリカ」など。主力薬品だった高脂血症薬が2011年に特許切れで売上高は横ばいが続いたが、M&Aによる多角化と規模拡大で、2016年度に売上高で製薬業界の世界一に。
業績は、新薬の好調やM&A効果で、売上高は今期および来期も増収増益が続く見通し。1月末発表の四半期決算でも、市場の予測を上回る好決算だった。M&Aは今後も積極的に進める。ダメリオ最高財務責任者は、配当引き上げと自社株買いで、130億ドル超を株主に還元する方針を発表。製薬会社は景気の影響が小さいため、不景気でも安定した業績が期待できる。
「ファイザー」の配当に関しては、リーマンショック前は25年以上連続増配が続く株のみが組み入れられた「配当貴族株指数」に入っていたが、2009年に減配したことで脱落。しかし、その後は増配を続けている。本業で稼いだ現金に対して、事業を継続するための資金を引いたフリーキャッシュフローが潤沢だ。
米国株の「高成長株」の選び方を紹介!
高い増収率が続く、利益率が高い株を探してみよう
ここまで米国株の「高配当株」の選び方と、注目銘柄を紹介してきた。続いては、米国株の「高成長株」の選び方や、具体的な銘柄を紹介していこう。
2018年2月に急落したが、米国のIT関連株は絶好調。2年間で「アマゾン(AMZN)」の株価が2.6倍、「フェイスブック(FB)」の株価が1.7倍になるなど、驚異的な株価上昇が続いている。マンハッタン・グローバル・フィナンシャルの森さんは、高成長株で儲けるには、まずは売上高の成長率を見るのが重要だとアドバイスする。
「コスト削減などではなく、本業のビジネスが伸びている株を選ぶのが重要です。過去4年間の売上高が2ケタ以上伸びており、さらに、少なくとも今後4年間も2ケタの伸びが可能なものから選びましょう」(森さん)
米国では、アナリストが今後4年間の予想を出しているケースが多いので、将来の成長もある程度は推定することができる。
また、高成長株ほど、ROE(自己資本利益率)が重視される。ROEが高いほど、株主から集めた資本金を効率的に活用しているからだ。さらに、現金収入が伸びており、その利益率が高いかどうかも重視されると、コンテクスチュアル・インベストメンツLLCの広瀬さんは忠告する
「『アマゾン』は、長い期間にわたって赤字決算でしたが、それは、稼いだお金を成長のための投資に回していたから。高成長を続けるために必要な現金を稼いでいるかもチェックしましょう」(広瀬さん)
これは、過去3年間の営業キャッシュフロー(本業で稼いだ現金)が伸びていればOK。さらに、高収益企業を選ぶために、売上高に占める営業キャッシュフローの割合がわかる、営業キャッシュフローマージンが2ケタ以上かもチェックしよう。
しかし、株価が割高過ぎるものはよくないと森さんは指摘する。
「予想PERを1株利益の成長率で割ったPEGレシオも確認しましょう。2倍以上だと、割高と言われていますが、高成長株なら2倍から大きく乖離していなければ合格です」
「ビザ」は、クレジットカードで世界ナンバーワン!
いまだ現金決済が中心の国々に積極的に進出し、高成長を続ける
ここから、そんな条件に当てはまる米国株の優良な高成長株を1銘柄紹介。ブランド力を背景に、決済高で世界ナンバーワンを誇る「ビザ(V)」だ。
「ビザ」は、クレジットカードで世界ナンバーワンの国際ブランド。提携するカードの種類も多く、金融機関にクレジットカードをはじめ、デビットカードやプリペイドカード、企業間取引の決済処理プラットフォームを提供。依然として現金が圧倒的な力を持ち、商店のクレジットカード端末やATMといった、技術が未整備の国々を開拓中だ。
「ビザ」の業績は、純利益が5年で2倍になるなど、高成長が続いている。10~12月期決算でも、米国内の年末商戦の好調で、市場予測を上回る利益を達成した。近年は海外展開を積極化しており、海外売上高比率は2010年度の41%から、50%以上になっている。電子商取引(EC)の世界的な拡大で、クレジットや電子決済が増加する中、今後も長期的に成長が続く見通しだ。
なお、クレジットとデビットカードを利用した買い物は、2016年に全世界で21兆3000億ドル超と、2011年から73%も増加。また、「ビザ」は携帯端末による支払い決済サービスを立ち上げ、アフリカ・アジアなどが主力のモバイル決済会社を買収するなど、新興国の成長も取り込む。
(※関連記事はこちら!)
⇒「米国株」が株初心者にこそ"おすすめ"な理由とは?NYダウは20年間で7倍超まで上昇、25年以上連続で増配中の株が100銘柄以上、など米国株の魅力を紹介
その他の注目すべき「米国株」20銘柄は、
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今回は、発売中のダイヤモンド・ザイ4月号の特集「今こそ買いの米国株 BEST22」から、高配当株と高成長株の見極め方、それぞれの注目銘柄を1つずつ抜粋して紹介した。特集では、今回紹介した2銘柄以外に米国株の高配当株、高成長株を20銘柄取り上げているので、併せてチェックしてみてほしい。
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