”モノ言う株主”村上世彰さんが、株主投資の考え方や、子供たちの初めての投資におすすめの金融商品、そして、日本株の今後を語る!
発売中のダイヤモンド・ザイ12月号は、投資のプロ・村上世彰さんへのインタビュー記事「子や孫に伝えたい”人生を豊かにするお金との付き合い方”」を掲載! モノ言う株主として知られている村上さんが今、子供たちへの金融教育に全精力を捧げています。記事では、その目的や考え方、そして、子供や孫に伝えたいお金のこととは何か。また、10代の若者に向けた近著『いま君に伝えたいお金の話』から、村上さんのお金についての考え方を紹介しています。
今回はその中から、村上さんへのインタビューの後半部分をピックアップ!
(※インタビュー前編はコチラ!)
⇒"モノ言う株主"の村上世彰さんはなぜ今、子供向けの「お金教育」に力を入れるのか? 村上さんの半生を振り返るとともに、インタビュー記事の前編を公開!
投資した会社のIRに、一回は電話して議論を
──株式投資についての考え方をお聞かせください。
通常、株は1%でも利益を上げるためにやります。一般的には、その会社がどう発展していくかというのを考えて投資します。
ただ、僕のスタンスは違います。その会社を上場企業のあるべき姿にするべく、根本的に変えられるかどうかを考えます。僕のチームは投資をしたら徹底的に手紙を書きます。自分はこう考えている、こうあるべきだ、なぜそうしないのか、というのを徹底的に会社と議論するべきだと思うからです。
個人投資家も、投資したら、その会社のIRに一回くらいは電話したほうがいい。配当などの株主還元策はどう考えているのか。将来の利益成長のイメージはどうか、自分の考えと会社の考えに差があるのか。
日本企業の開示資料はよくできているので、質問する前に読むべきです。有価証券報告書はルールが決まっていて、監査法人がチェックしているので、必要な情報は確認できます。
僕は、役人時代から、経営者と接する機会が多かったけど、当時は自分の会社の有価証券報告書をちゃんと読んでいない経営者が多かった。質問しても分からない人が多くてね。そういう意味では、昔は感性で経営している人が多かった印象がありますが、今は経営者の意識も劇的に変わっています。
日本に対して悲観的だが、日本企業には期待できる
──子供たちに最初に薦めるとしたら、どういう銘柄ですか?
まずは日本株全体の指数を買うのがいいでしょう。日経225やTOPIXなどの指数連動のETFや投資信託です。ただし、手数料が安いものを買わないと負けちゃう。そこから始めて、「株式市場ってなんなんだろう」と考えていく。「なんで今、日経平均株価が上がっているの?」と考えるだけでもプラスです。僕も株を実際に買い始めてから日経新聞を読み始めたので。
日本株全体を薦める理由の一つは、コーポレート・ガバナンスを強化する局面に入り、株主還元も増やしていく傾向にあるから。それに日本には、成長している海外で利益を伸ばしている会社も多い。僕は人口問題などを考えると、日本に対しては悲観的ですが、日本の企業に対しては悲観的ではありません。
今、政府が推進しているコーポレート・ガバナンスや、その向上を目的とした機関投資家の行動規範であるスチュワードシップ・コードは、本当によくできています。外部からの経営監視の目が行き届かない原因ともなっていた、企業同士や企業と金融機関の間で相互に株式を保有し合う「株式持ち合い」の縮減についても、そのスケジュールまで明確に示しているんです。
持ち合いが縮減されれば、経営者たちは、きちんと株主に向き合わなければいけなくなります。失敗したら経営者がクビになる可能性だってあるわけだから。日本経済の利益の8割か9割を生み出す上場企業に、投資家のお金が流れるわけです。そこに不正があってはいけません。
基本、株式投資は「ビューティコンテスト(美人投票)」です。今後はガバナンスを徹底している会社にお金が流れることを見越して株を買う人もいます。今まで投資したことがない人もきちんとした会社なら投資してみようか、という流れも出てくると思います。
本質を見極める力を養い、お金を上手に回そう
──株価が倍になる銘柄を教えてくれと言われたら?
そういう人とは付き合わないですね。本質を見ない人に思えるから。お金を増やすことには近道も魔法もありません。上手にお金を回して増やしている人にそういうことを言う人はいないと思いますよ。
──子供や孫にお金の教育をしようという人にアドバイスを。
「自分で持つな、子供や孫に早く渡せ」と言いたい。貯めるのはいいけど、貯め込むのはやめよう、と。自分が生きている間に何に使ってどうしたいかを考え、それを子供たちに伝えたり、託してほしい。日本の税制も贈与税を低くするなど、そんなふうに変わるといい。お金が回らないと経済が回りませんから。
ダイヤモンド・ザイ12月号では、村上さんが子供に伝えたい「お金」についての”7つの考え方”を紹介しているので、参考にしてみてほしい。
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