G20でのトランプ習近平会談により
米中貿易問題に改善の兆しが!
先週、大阪で開催されたG20においてトランプ習近平会談が行われ、「対話を再開しよう!」ということが確認されました。
また米国側は、3250億ドル相当の中国からの輸入品に対し10%の関税を課す、いわゆる第3ラウンドの関税の適用を当面見合わせると発表しました。
さらに、最も重要な点として、ファーウェイに対して現在課している輸出規制を緩和することが発表されました。
ファーウェイに対する2つの規制のうち、
片方が解除されることに!
トランプ政権は、2つの方法でファーウェイを排除してきました。
ひとつはファーウェイ製品をアメリカの通信会社が購入することを大統領令で禁止するという方法です。もうひとつは。米国企業が半導体などの部品をファーウェイに輸出する際は、まず商務省に「輸出してよろしいか?」とお伺いを立て、個別に許可を得る必要があるという方法です。
つまり、輸入と輸出の両方にSTOPがかかっていたのです。
このうち輸入に関しては、これまで通り大統領令によりファーウェイ製品は締め出されます。その理由は、「ファーウェイ製品にはバックドアと呼ばれる秘密の“裏口”が用意されており、それを経由して中国政府がアメリカのネットワークをスパイすることができるのでは?」という懸念をトランプ政権が持っているからです。
実はアメリカの通信会社は、もともとファーウェイを全然採用していません。したがって今回の大統領令は見かけ上の制裁に過ぎず、ファーウェイ側には実損はありませんでした。
今回規制が解除されるのは、アメリカからファーウェイへの輸出の方です。商務省に許可を得る必要なく、通常のビジネスをしてよいことになりました。
この発表は、部品調達計画が大混乱に陥っているファーウェイそのものにとっても朗報ですが、ファーウェイと商売してきたアメリカ企業にとってもビジネス再開を意味するので助かります。とりわけ、ザイリンクス(ティッカーシンボル:XLNX)とクアルコム(ティッカーシンボル:QCOM)の2つの企業が恩恵をこうむります。
【※ファーウェイへの輸出規制の影響を受ける企業についての記事はこちら】
⇒米国のファーウェイに対する輸出規制により、「5G関連銘柄」にも暗雲が! ルメンタムやクアルコムなど、株価急落リスクが発生した銘柄には要注意!
【ザイリンクス】
5Gに必要な「FPGA」という半導体を製造
ザイリンクス(ティッカーシンボル:XLNX)は、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)と呼ばれる半導体のデザイン会社です。ザイリンクスの製品は、最新鋭のネットワーク機器に組み込まれることが多いです。
4月に発表されたザイリンクスの第4四半期(3月期)決算は、EPSが予想96セントに対して94セント、売上高が予想8.26億ドルに対して8.28億ドルでした。
地域別売上高は、北米が+13%、アジア太平洋が+56%、欧州が+12%、日本が+20%でした。エンドマーケット別売上高は、コミュニケーションが+74%、データセンターが-7%、自動車・消費者+20%、工業・防衛が+1%でした。コミュニケーション向けが急成長した背景は、5G向けの出荷が好調だったことによります。中国での5Gインフラ建設が需要を牽引しました。
また、第1四半期売上高は、予想8.35億ドルに対して新ガイダンス8.35〜8.65億ドルが提示されました。
ザイリンクスの決算は、ファーウェイへの輸出規制が発表される前に発表されたものです。ただ、規制発表前からザイリンクスの半導体は中国で飛ぶように売れており、決算カンファレンスコールでも、ファーウェイが経済制裁を見越して大量にFPGAを手当てした形跡があることが説明されました。
したがってファーウェイは、いまその過剰在庫を取り崩している最中だと考えられます。その関係で、ザイリンクスの売上はしばらく伸び悩むリスクがあります。加えて、卸売市場の在庫がだぶつく場合は、それが値崩れの原因になることも予想されます。つまり、業績の面ではザイリンクスは大きな不安を残しているというわけです。
ただ、遠い将来、ファーウェイはがそれらの在庫を使い切れば、再びザイリンクスのFPGAを買い始めるはずです。
また、5G向けインフラストラクチャ建設はいまだ始まったばかりであり、これから数年に渡ってフォローの風が吹くと考えられます。
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【クアルコム】
スマホに搭載される「RFフロントエンド」というチップを輸出
クアルコム(ティッカーシンボル:QCOM)は、RFフロントエンドという半導体をデザインする会社です。これは、iPhoneなどのスマートフォンに搭載されるチップです。
クアルコムは、ファーウェイへの輸出規制が発表された際、真っ先にファーウェイへの出荷を全面的にストップした企業です。
RFフロントエンドは長年のノウハウの蓄積が大きくモノを言う分野で、インテル(ティッカーシンボル:INTC)のような企業ですらアップル向け5GのRFチップの開発に失敗したことからもわかる通り、簡単に参入できるビジネスではありません。その中にあって、クアルコムはリーダー企業です。
クアルコムを巡っては、ファーウェイの件以外にも不透明要因があります。それは、5月22日カリフォルニア州サンノゼの米連邦地方裁判所が「クアルコムは反トラスト法に違反した」という連邦取引委員会(FTC)の主張を支持したからです。
クアルコムは上訴する考えであり、今回の判断は最終的な判断ではありません。しかし、もしクアルコムが敗訴した場合、同社の売上高は半減するリスクがあります。
その理由は、クアルコムが「ノー・ライセンス、ノー・チップス」という顧客との契約方針を貫いているからです。
クアルコムの顧客のテクノロジー企業は、まずクアルコムの特許をライセンス契約で導入し、その上でクアルコムがファンドリーに委託製造させた半導体そのものを独占的に購入するという条件になっています。
クアルコムの特許は、いわゆる「標準必須特許(Standard-essential patent)」です。パテント法では、標準必須特許は他の特許と違い「それをライセンス導入したいと希望する企業には、そのノウハウを使わせてあげないといけない」という規則があります。
その理由は、もし標準必須特許を広く一般の企業に使わせずに独り占めすると、それが業界標準であるにもかかわらず、それを一社が独占するという「ひとり勝ち」の状況をつくれるからです。FTCは「クアルコムは、まさしくそれをやっている!」と主張したわけです。
普通、標準必須特許は、FRAND(フェアで、リーズナブルな値段かつ、ノン・ディスクリミナトリー、すなわち誰もが平等に機会を与えられる)原則にもとづいて提供されるべきものです。クアルコムの「ノー・ライセンス、ノー・チップス」契約はそれに違反しているというわけです。
クアルコムの売上高のうち、ライセンシング売上高は25%で、残りの75%はチップ(半導体)売上高です。もし他の半導体メーカーがFRANDのガイドラインにもとづいて、クアルコムにライセンス契約を結んだ後、独自に半導体を製造、販売すれば、もっと安い値段でそれを売ることができるわけです。
ウォール街のアナリストは、仮にクアルコムがFRANDのガイドラインにしたがった場合、同社の売上高は半減する恐れがあるとしています。
クアルコムは、最近までアップルと係争関係にあり、その先行き不透明感からずっと投資家に敬遠されてきました。
せっかく示談が成立し、不確実性が除去されたと思った矢先、この反トラスト法違反の悪材料ならびにファーウェイへの経済制裁の悪材料が噴出したことで、クアルコムは株価の出鼻を挫かれた格好になりました。
しかし、少なくともファーウェイへの経済制裁の問題は解決の糸口が見えたので、残るは反トラスト法違反の問題だけです。
これは上告することになるので、決着までにはまだまだ時間がかかりそうです。また5Gのスマートフォンが売り出される前に、まず5Gのインフラストラクチャが整備される必要があるので、業績へのインパクトは当分先になるでしょう。
5月に発表されたクアルコムの第2四半期(3月期)決算は、EPSが予想71セントに対して77セント、売上高予想48.3億ドルに対して48.8億ドル、売上高成長率が前年同期比-5.9%でした。
第3四半期のEPSは予想1.08ドルに対して新ガイダンス70〜から80セントが、売上高は予想52.7憶ドルに対して新ガイダンス47億〜55億ドルが提示されました。なお、これとは別に、アップルはクアルコムに対し45億〜47億ドルの支払いを行います。
第3四半期のガイダンスが下がったのは、主に季節的な要因です。また、中国市場は5Gへの移行を控えて軟調です。スマホの買い替えサイクルも伸びています。
これを受け、デバイス出荷台数予想は5000万台減らし、18億〜19億台を予想しています。
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【今週のまとめ】
ファーウェイに対する輸出規制の撤廃で
投資家のセンチメントも激変!
トランプ習近平会談は、現時点で予想し得る最善の結果だったと思います。とりわけ、ファーウェイに対する輸出規制の撤廃は思わぬポジティブ・サプライズでした。これは、暗転した5G関連企業に対する投資家のセンチメントを激変させる効果があると思われます。
中でも恩恵を被ると思われるのは、ザイリンクスとクアルコムの2社です。ザイリンクスは過剰在庫の問題、クアルコムは反トラスト法違反に絡む不透明感を抱えているのでそれぞれ割安に放置されています。
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