あちこちで噴出する「中国経済鈍化」の兆候
米国の航空貨物サービスの会社である「フェデックス」は、アップルの「iPhone5」に代表されるエレクトロニクス商品を、中国から米国など世界各地に配達している企業のうちの1社です。
そのフェデックスが先日、中国の輸出・輸入活動の鈍化を理由に会社側業績見通しを下方修正しました。同社はリアルタイムで世界中を行き交う航空貨物のデータを把握できる立場にありますので、その意見は傾聴に値します。
また本来であればクリスマス商戦を前にした今の時期、世界のコンテナ船の運賃は強含むべき時期ですが、上海コンテナ貨物指数(SCFI)は欧州向け需要の低迷を受けて軟化が伝えられています。
この状況は、統計にも表れており、中国の8月の輸出は前年同月比+2.7%、輸入は同-2.6%と不振でした。
また香港上海銀行による中国の製造業購買担当者指数速報値も、9月は47.8と過去11カ月連続して50を割り込んでいます。
これらの統計から推し量ると、2012年下半期に起こると見られていた中国経済の反発は当初見込みより小さいか、若しくはぜんぜん反発しないというリスクも高まっていると言えます。このことは中国の株価にも反映されています。
中国経済の“軽視されたリスク”が表面化する!?
中国経済は、アメリカ経済に次いで世界で2番目に大きい経済規模を持ちます。その中国経済がいま、急速に鈍化しつつあることは、欧州財政危機問題などより実はずっと重要な問題です。
これまでは好調が続いてきたために問題視されませんでしたが、経済が悪化してくれば中国の情報開示の不透明さが大きなリスクとなってきます。
たとえば中国の不動産向け融資は、特別目的会社(SIV)などを通じて銀行の簿外で行われることが多く、その分、透明性に欠けています。
見通しがきかない分、中国企業や銀行のバランスシートが抱えるリスクは、ほとんど投資家の間で問題にされていません。しかし、たまたま我々投資家の目に触れにくいということと、問題が生じていないということは全く別です。実際には中国経済は爆弾を抱えていると言えるでしょう。
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