日本はどこからLNGを輸入しているか
日本は歴史的に、マレーシアやオーストラリアからLNGを輸入してきました。
近年、カタールで大型のLNG処理設備が完成したことから、同国からの輸入も増えています。加えて、ナイジェリアや赤道ギニアなどのアフリカ諸国もぐんぐんシェアを伸ばしています。しかしマレーシアやカタールとの供給契約は長期契約で硬直的ですので、今後は新しい供給元を探す必要があります。
モザンビークの天然ガス開発が注目されている
今後のLNGの大型供給国として脚光を浴びているのが、アフリカ大陸のモザンビークです。天然ガスの埋蔵量は、最大で60兆立方フィートと言われています。上のグラフでいえば、将来はインドネシアくらいの存在になる可能性を秘めているわけです。
この国の天然ガス田は沖合50kmのところにあり、比較的陸地に近いので開発がしやすい特徴があります。またモジュール方式で6段階に分けてLNG輸出施設を順次追加していけるので、プロジェクトのプランが立てやすくなっています。
またモザンビークはアフリカ大陸東岸に位置しており、ペルシャ湾のホルムズ海峡などの緊張区域を通らなくても日本へ輸出できるのもメリットの1つです。
ガス田はいつかの鉱区に分けられ、世界の石油・天然ガス会社が開発に乗り出しています。そのうち「エリア1」と呼ばれる鉱区は米国のアナダルコ・ペトロリウム(ティッカー:APC)が36.5%、三井物産(8031)が20%、ENH(モザンビーク国営石油会社)が15%の権益を持っています。「エリア1」の埋蔵量は17~30兆立方フィートです。
先週金曜日(12月21日)にアナダルコ・ペトロリウムは別の鉱区である「エリア4」を開発しているイタリアのENI(炭化水素公社)と1兆円かけてLNG基地を建設する意向を発表しました。その一環で、フロント・エンド・エンジニアリング&デザイン(FEED)と呼ばれる基本設計を3つの企業連合に発注しました。それらは、
1)日揮(1963)、フルアー(ティッカー:FLR)連合
2)千代田化工建設(6366)、シカゴ・ブリッジ&アイアン(ティッカー:CBI)連合
3)ベクテル(非上場)
です。請負業者の選定は2013年中、最初の生産開始は2018年を予定しています。どの企業連合が選定されるのか、注目されます。
※アナダルコ・ペトロリウムは米国の石油ガス生産会社、フルアー、シカゴ・ブリッジ&アイアン、ベクテルの3社は米国の建設・エンジニアリング企業
(編集部注:日本のSBI証券と楽天証券で取引可能な3社のティッカーは以下のとおり。アナダルコ・ペトロリウム:APC、フルアー:FLR、シカゴ・ブリッジ&アイアン:CBI。またマネックス証券では、アナダルコ・ペトロリウム:APC、フルアー:FLRの2社の取引が可能。)
※「世界投資へのパスポート」次回の更新は、2013年1月7日の予定です。
【※関連銘柄の株価チャートはこちら!】 |
◆三井物産(8031) |
◆日揮(1963) |
◆千代田化工建設(6366) |
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