先日、早稲田大学で開催された「社会への貢献とリターン追求は両立するのか」という公開セミナーに運営者の一員として参加してきた。講演者はミュージックセキュリティーズの小松社長、鎌倉投信の鎌田社長、Living in Peaceの慎代表の3人。それぞれがユニークな資産運用の機会を提供しており、それら資産運用が同時に社会貢献にもつながっていることが共通している。
資金を調達したい人とお金を運用したい人をつなぐ
ミュージックセキュリティーズは応援型ファンドを運営している会社で、社名にあるように、もともとは音楽系アーティストが自身のCDを出すに当たっての活動資金、PR資金を獲得するためのファンドとして設立された。
CDの販売がうまくいってファンドの調達金額を上回る回収資金があれば、ファンドの出資者に対してプラスのリターンを提供できる。近年はその仕組みを様々な方面に応用し、酒蔵など生産者を応援するファンドも運営している。匿名組合の形式を用いて、資金を調達したい人とお金を運用したい人をつなぐプラットフォームを運営していると考えればよい。
現時点までに200弱のファンドを組成し、70本程度は償還を迎えたそうだが、そのうち回収金額が元本を下回ったファンドは2割弱でしかないとのこと。
アーティストの場合も、酒蔵の場合も、ファンドの出資者がそのままCDやお酒の購入者となり、そしてクチコミでその良さを広げていってくれて、一人2役、3役をこなしてくれる。
このように、リターンを引き上げる仕組みがファンドに内在されていることが、元本割れをしないファンドの割合が高いことの理由ではないかと想像される。
最近では地方自治体と組んだ取り組み、地域金融機関からの案件紹介や連携も発生しているそうで、同社のプラットフォームを通じた投資そのものが社会性を帯びてきている。また、2011年以降は被災地応援ファンドも運営しており、こちらは、ファンド出資者の拠出金の半分は応援金として寄付に使われるということで、投資(出資)と寄付のハイブリッド型となる。
事業を通じて関わりのある人たちを幸せにしている会社に投資
鎌倉投信は、その名のとおり投信なのだが、その中身は非常にユニークだ。いい会社を増やしましょう、というのが鎌倉投信のメッセージであり、そういう企業に投資をする。
ほかの一般の投信もいい会社に投資をしているはずであるが、単に収益性、成長性の高い企業というだけでは鎌倉投信の定義するいい会社には該当しない。事業を通じて関わりのある人たちを幸せにしているかどうかが重要とのことである。まだ設定されて3年程度だが、35億円強の資産規模になっており、約40の銘柄に投資をしている。
ユニークなのは、投資先銘柄がすべて公開されていること、また、それらの多くは東証1部上場企業でもなければ、東京に本社を置く企業でもないということだ。時価総額の非常に小さな会社も含まれており、中には未上場の企業すら存在する。
もっとも、規模の小さな企業に投資ができるのは、まだ運用資産規模が大きくないことの裏返しでもあるが、銘柄スクリーニングに特色があることを表しているのは間違いない。資産運用ビジネスをビジネスとして軌道に乗せるには、規模の拡大は最重要であり、そのためには証券会社や銀行を通じた投信の販売が手っ取り早い。
しかし、鎌倉投信は直販にこだわっている。公募投信ではあるが、証券会社や銀行を通じてはこの投信は買えない。それは、鎌倉投信の投資哲学をキチンと顧客に説明した上で投信を販売したい、という意図であり、投資家との関係性構築に非常に注意を払っている。
そして、肝心の投資収益率であるが、この3年間の年率平均リターンは10%程度とのことであり、投信会社としては申し分ない。
リターン追求を最大の目的にはしていない
Living in Peaceにはいくつかの活動があるが、うち一つは途上国の貧困削減のためのマイクロファイナンス投資ファンドの組成、運用である。
販売は前出のミュージックセキュリティーズが行っている。これまでカンボジアやベトナム向けに5本のファンドを組成しており、うち1本がそろそろ償還を迎えるとのことだが、回収額は元本は上回りそうとのことである。
マイクロファイナンスではバングラディシュのグラミン銀行の事例が有名であるが、世界的にマイクロファイナンス投資向けの投資資金はここ数年右肩上がりで伸びているそうだ。
これら3つで興味深いのは、投資をしている人達が、リターン追求を最大の目的にはしていない、という点である。
ミュージックセキュリティーズが同社の登録会員にアンケートを取ったところ、なぜ同社を通じた投資をするのかという理由としては、企業や事業を応援したいという答えが多く、利益目的という回答は極めて少なかったとのこと。
また、鎌倉投信も投資家は寄付をするような感覚で投資をするとのことであり、マイクロファイナンス投資に至っては、聞くまでもなく半分寄付感覚の人が多いであろう。
しかし、蓋を開けてみると、どれもリターンが得られるのである。特に、鎌倉投信の年率10%というリターンは、通常の利益目的の投資家を惹きつけてしまうにも十分な数字である。
お金には色がある
これまでも、社会的責任投資(SRI:social responsibility investment)という言葉に代表されるように、社会貢献の度合いが高い企業に投資をするというスタイルは存在した。
しかし、通常の上場企業でそれを行うと、結局投資銘柄は東証1部上場の日経225に含まれるような代表的な銘柄の落ち着いてしまう。そこには想いはない。機械的なスクリーニングで行われるのみである。そして、それらSRIファンドのパフォーマンスについての評価も定まっていない。
一方、上の3つの運用プラットフォームともに、想いをつなげる場であるとも言える。お金には色はないと言われるが、きっと、これらプラットフォームを通じて調達したお金は、調達者にしてみると色の付いたお金に見えるのではないだろうか。それゆえに、リターンもきちんと発生し、中には鎌倉投信のようにリターンが通常より高くなるのではないかと思われる。
以前、こちらのコラムで北海道の東川町の株主制度をご紹介したが、その後調達資金は増えて5000万円を超えたとのこと。あちらは、株主制度という名称は用いているものの、実際は投資ではなくふるさと納税なので、上で紹介した3つとは完全に異なる。しかし、想いがお金に代わるという点では同じである。
アベノミクスでふわふわした感のある株式市場において、この先の投資戦略をどうしよと迷う投資家も多いと思われるが、想いをお金に変える投資は、一つ検討の余地はあるのではないだろうか。
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