【今回のまとめ】
1.マンハッタンの火事で動画実況アプリが劇的デビュー
2.動画実況アプリは、今、最もホットなサービス
3.速報性が売り物のツイッターとは相性が良い
4.ツイッターの広告売上高成長率はダントツ
5.課金戦略はガッチリ歯車が噛み合いはじめている
6.米国人の好きな「紅茶カップ」チャートが完成
マンハッタンの火事でツイッターの新サービスが劇的デビュー
先週、ニューヨークのイースト・ビレッジでガス漏れによると見られる火事が発生しました。大きな爆発の後、一階に日本食レストランが入っているアパートが倒壊し、隣のビルにも燃え移りました。火の手はとても強く、黒煙はダウンタウンのどこからでも目撃することができるほどでした。
建物の外側に備え付けられた鉄製の非常階段で、逃げ場を失った人が助けを求めるなど、ドラマチックな場面も展開されました。
ちょうどこの事件の起こる直前に、ツイッター(ティッカーシンボル:TWTR)がスマホから動画をリアルタイムで実況できるアプリ、ペリスコープ(Periscope=潜望鏡の意味)を実装しました。この災害の様子が、その場に居合わせた通行人のスマホから生々しく伝えられたことで、ツイッターの動画実況サービスが、いかにパワフルなツールかをユーザーが再認識したというわけです。
動画実況アプリの競争
実は動画実況アプリという分野は、これまでに何度も多くのスタートアップが挑戦してきました。しかし昔はスマホに良いカメラが付いていなかった、iPhone6が出るまではスマホの画面が小さすぎ、動画を楽しむには不十分だった、米国のスマホの料金プランが、動画の閲覧をしにくくしていた……などの理由から、動画実況アプリはブレイクしませんでした。
しかし今、それらの条件が全て整ったことで、動画実況アプリは突然、いま最もホットなアプリとして注目されはじめているのです。
この降って湧いたような動画実況アプリの先鞭をつけたのは、ミアキャット(MeerKat)です。ミアキャットは先にテキサス州オースチンで開かれたSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)カンファレンスで人気を博しました。動画実況アプリのデファクト・スタンダードになるか? と思われた矢先に、ツイッターが、買収したばかりのペリスコープを急遽(きゅうきょ)実装し、サービス開始したというわけです。
もともとツイッターには2.9億人の月次アクティブ・ユーザーが既に居るので、ひとたびサービスを開始すれば、その拡散力はミアキャットの比ではありません。

もともとツイッターは速報性の面では最も優れているとされてきました。動画実況アプリは、そのツイッターの強みを補強する効果があるわけです。
なおペリスコープとミアキャットは、大体、同じような使い勝手で、サービスには大差ありません。重要な違いとしては、ペリスコープの場合、ツイッターのタイムラインを閲覧しているユーザーが、そのままペリスコープで実況されている動画を楽しむことが出来るという点です。これに対してミアキャットの場合、SNSのサイトからリンク先へと移動する必要があります。
ツイッターは大手SNSの中で最も広告売上高成長率が高い
さて、ツイッターの業績ですが、このところ極めて快調です。
下は市場調査会社イー・マーケターズが公表した、米国のデジタル・ディスプレイ広告市場の規模の予想です。

フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)が圧倒的な存在なのですが、こと成長率に関する限り、ツイッターの方がフェイスブックより遥かに高いです。それをグラフにしたのが下です。

株式の投資家は成長率ということを大変重視します。その意味では今年のツイッターのデジタル・ディスプレイ広告売上高の成長率+62.1%というのは、とても魅力的だと思います。
ツイッターの課金戦略は、上手く行っている
モバイル広告の課金で、最初に華々しい成功を収めたのはフェイスブックでした。その関係で、「モバイル広告といえばフェイスブック」という連想をする人が多いですが、ツイッターもいま急速に体制を整え、売上高は尻上がりに伸びています。

売上高が伸びている原因は、重要な経営尺度である1000タイムラインビュー当たりの広告収入が、どんどん伸びていることによります。

つまり、ツイッターは動画実況アプリ、ペリスコープの実装で再びCOOLなSNSとして勢いを盛り返している上に、広告主もその利用価値を大いに評価しているというわけです。
株価は「紅茶カップ」から一段高へ
さて、ツイッターのチャートですが、アメリカの投資家が最も好むチャート・パターンである「紅茶カップ(Cup with handle)」を完成しています。

つまりテクニカル的にもツイッターは妙味ある局面に来ているのです。
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