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2015年、「セル・イン・メイ(Sell in May)」が効かない可能性が高い理由とは?そして、好決算発表の注目銘柄も紹介!

【第365回】 2015年5月11日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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【今回のまとめ】
1.セル・イン・メイは確かに存在する
2.だが大統領任期三年目は当てはまらない
3.足下の米国経済は弱く、利上げは早くても9月
4.それなら今は利上げを心配せず株を買うことが出来る
5.サイバーアークはサイバー・セキュリティー関連で最も元気のいい銘柄

大統領任期3年目は「セル・イン・メイ」ではない!? 

 投資理論では説明できないけれど、経験則的に起こりやすいマーケットのクセのことをアノマリーと言います。

 そのようなアノマリーのひとつに、5月から9月までの期間は、アメリカの株式市場がもたつくという経験則があります。下はS&P500指数の月次パフォーマンスのグラフです。

 

 5月から9月にかけては、リターンが低いことがわかります。

 このようなマーケットの習性を言い表す米国の相場の格言に「セル・イン・メイ(Sell in May)」があります。つまり「5月に株を売って、バカンスに行け!」というわけです。

 私は基本、相場に効く方法なら、ファンダメンタルズ分析だろうが、チャート分析だろうが、今日、ここで論じているアノマリーだろうが、ガマの油だろうが、およそ利用できるものは何でも利用する主義です。なぜなら、相場というものは安易には儲けさせてくれないので、そこまでなりふり構わず実行して、やっとこさ利益が出る……そういうものだと思うからです。

 だから「セル・イン・メイ」も重視します。

 しかし、今年は大統領任期の三年目にあたり、1930年以降、これまでに通算21回あった大統領任期三年目の相場では、下のチャートのような動き方をすることが知られています。

 このチャートを見ると、たしかに5月には軽い調整が見られるものの、そこが相場の天井ではなく、7月ないしは9月あたりに天井を打っていることが読み取れるのです。

 言い換えれば、大統領任期三年目は「セル・イン・メイ」が7月、ないしは9月までずれ込むということです。

 実際、過去の大統領任期三年目のS&P500指数の動きを辿ると5月に売って正解だったのは21回のうち下の5回だけでした。

 このことから2015年の投資戦略として、「今年は5月が来ても売らず、粘れるだけ粘った方が良い」というのが私の考えなのです。

その戦略にファンダメンタルズ面での裏付けはあるのか?

 さて、過去の実績として大統領任期三年目には「セル・イン・メイ」が働かないことはこれでわかったと思いますが、それでは現在の景気やマーケットの状況に照らして、今年の場合、本当に粘って大丈夫なのか? ということを考えてみます。

 まず連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策ですが、アメリカの政策金利であるフェデラルファンズ・レートの利上げは、早くても9月だと思います。

 そう考える理由は、足下の米国の景気が、慌てて利上げする必要があるほど強くないからです。第1四半期のGDPは、わずか+0.2%でした。

 

 これはカリフォルニアの港湾労働者の長期ストライキで輸入ならびに輸出業務がストップしてしまったことなどが影響しています。下は輸出のチャートです。

 

 季節に合った商品が店先に並ばなかったため、小売店の売上は打撃を受けました。



 4月の既存店売上比較は2009年以来、はじめてマイナスを記録しました。

 既にカリフォルニアの港湾労働者のストライキは解決しているので、このような一時的な景気の落ち込みは、ほどなく回復すると考えるのが順当です。

 ただFRBは米国の景気が本当に力強くリバウンドするのを確かめるまでは下手に動き出さない方が得策だと考えているに違いありません。9月まで利上げは無いと私が考えるのはそのためです。

 このことは、株式市場との絡みでは「鬼の居ぬ間に、いのちの洗濯」をすることが出来ることを意味し、今から少なくとも7月くらいまでは、比較的取り組み易い相場になることが予想されます。

FRBは例年8月に大きな決断をする

 さて、FRBは例年、8月に大きな決断をすることで知られています。8月にはジャクソンホール・シンポジウムが開催され、その前後に政策金利の変更などの方向転換が決まることが多いのです。

 その場合、FRBは方針転換をさりげなく市場にリークすることでマーケットの反応を見ます。

 そういう情報が漏れ伝わってくると、市場がギクシャクしやすいのです。

 私が、8月から10月にかけては、今より格段に難易度の高い相場になると予想しているのはこのためです。

「特権アクセス」を得意とするアノ会社を狙え!

 それでは具体的に何を買えばいいのでしょうか? 

 私は先日好決算を発表したサイバーアーク(ティッカーシンボル:CYBR)に注目しています。同社はインターネット・セキュリティ関連の銘柄です。とりわけ、「特権アクセス」と呼ばれる部分を守ることを得意としています。

 「特権アクセス」とは、わかりやすい表現をすれば「管理者画面」ないしは「管理者モード」です。

 ウェブのアドミニストレーター(管理者)は、ウェブサイトを改ざんしたり、顧客データにアクセスするなどの特権を与えられています。だからここが破られたら、大事なデータをごっそり盗まれるだけでなく、サイトをめちゃくちゃに荒されるリスクがあるわけです。

 最近では健康保険会社アンセムのサイトが侵入を受け、保険加入者の個人情報が流出した事件がありました。あれは「特権アクセス」が破られた例です。

 サイバーアークの第1四半期決算はEPSが予想5¢に対し16¢、売上高が予想2670万ドルに対し3290万ドルと、大幅なアップサイド・サプライズでした。また2015年のEPSの会社側予想は42¢が提示されています。同社が新規株式公開(IPO)された直後は、コンセンサス予想が僅か7¢だったので、いかに急角度に予想が上がってきているかを物語っています。

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