海外市場の影響やアベノミクスの真価などで大きな上昇と下落が起こる日本株。こうした動きを予測することは、ほぼ不可能だが個人投資家は株投資に真摯に臨んでいる。株を始めたきっかけや、どんな気持ちで下げ相場を堪え忍んでいるのかなど、リアルな声を聞いた。
コツコツと長く利益を積み上げるのが勝ち
まずは無理のない金額でのスタートを!
月々の給料や、老後にもらえる年金額が増える見通しは一向に見えず、銀行預金も超低金利が続く中で、資産を増やす手段の一つとして株を始めている人が増えている。
「株で資産を築いて早期リタイアを狙いたい」「配当収入で優雅に暮らすのが夢」「優待をもらって日々の生活費を節約したい」など、株を始めた理由はさまざまだ。
投資で億の資産を築いた204人にアンケートを取ったところ、多くの人は30~40代に投資をスタートしており、投資年数は平均で23.5年と長い。値動きの大きいIT株やバイオ株で一気に億万長者になった人はごく稀で、ほとんどの人がコツコツと長年かけて投資と向かい合い、資産を築き上げているのだ。
株を若いうちから始めるメリットは、投資額が一般的に少ないために傷が浅くてすむ。退職金が出て、初めて株を買ってみたという人がいるが、これこそが最も危険。相場の浮き沈みを経験しておくことで、将来の大金を使った投資で負けない基礎を作るべきなのだ。
投資経験8年で、開始直後に、約2年かけて日経平均が高値の半分まで下落した相場を経験した株太郎さん(38歳・会社員)は、「株は気持ちにゆとりを持てる余剰資金でやるべき。なんとかしようと無謀な取引をしても、資産は増えない」と実感した。それでも、「若いうちに失敗を経験してよかった」と、これまでの相場経験を振り返る。
50代以上の人で大きな元手資金があっても
まず最初は少額から株を始めるのが正解!
しかし、50~60代の人が「もう若くないから無理かも」とあきらめるのは早い。日本人の寿命は延び続けており、老後はまだまだ長いのだから、資産を増やしたいならば、すぐにでも始めてみることが大事だ。ただし、20~30代よりも資産を持っている50~60代が犯しがちなミスが、最初から大金を投じてしまうこと。
いきなり大損してしまうリスクを避けるために、まずは少額から始めること。日本株の最小投資額は低下傾向で、すでに全体の40%以上が10万円以下で買える(16年7月6日現在・ETFを含む)。少額で買える株で値動きのコツを掴んでから、少しずつ投資額を増やそう。
資産を倍増させた株太郎さん
「中長期の視点での売買が資産を増やす最短距離になる!」
投資歴8年で資産を約2倍にした「株太郎さん」に投資をスタートさせた頃のエピソードや投資のルールを聞いた。
株を始めたのが2007年の高値圏だったので、すぐにリーマン・ショックと株価低迷期が訪れ、最初の6年は資産が目減りする一方でした。デイトレをやってみたり、売買方法が確立せず、「短期でお金持ちになりたい」という気持ちが大きすぎて信用取引の限度いっぱいで取引していたこともあり、資産を大きく減らしてしまいました。
それでも、コツコツと売買を続けていたら、アベノミクスで資産は回復。特に2012年に買っていたナノキャリア(4571)やファーマフーズ(2929)などが急騰。元本は500万円程度ですが、現時点の評価額は1000万円ほどです。
思い返すと、相場の浮き沈みを若いうちから経験できてよかった。今のような「下落相場こそ買いチャンス」と思えますし、中長期の視点で売買するのが資産を築くための最短距離だと思います。そのためにも余剰資金で投資することが大事です。
高値掴みを避けるため、買い時を分散させて少しずつ投資。過去の売買履歴はエクセルに入力して、それを参考に安値で買うことを心がけています。今は値上がり益狙いが中心で、まだ配当は意識していませんが、将来的にもっと資産が増えたら、配当株中心の構成にしたいです。
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