世界投資へのパスポート
2018年7月2日公開(2018年7月3日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
広瀬 隆雄

米国株の2018年上半期を振り返り、今後の投資戦略を
再点検! ズィー・スケーラー、ズオラ、オクタなど
押し目買いチャンスの「直近IPO株」5銘柄も紹介!

2018年の上半期は
ナスダックと小型株が好調!

 今年も先週で上半期が終わり折り返し地点を迎えました。そこで今回は、全体的な投資戦略を再点検したいと思います。

 まず、年初来の米国株のパフォーマンスは下の通りです。

 今年はナスダックと小型株が好調でした。その反面、消費安定や公共株に代表されるディフェンシブなセクターは、大きく売られました。ディフェンシブとは「防衛的」という意味で、不況の際に業績が悪化しにくいセクターをさします。

 いまはアメリカ経済がすこぶる堅調なので、あまりディフェンシブ株はお呼びじゃないです。

景気サイクルと人気セクターの関係を見ると
上半期はセオリー通りに推移

 下は、「景気や金利がどういう局面のときに、どのセクターが買われやすいか?」を説明した概念図です。

 すると、今は景気が強く、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを繰り返しているわけですから、左上のオレンジのゾーンとなり、ハイテク株、消費循環株、工業株、素材株、エネルギー株などが「旬」になることがわかると思います。つまり、年初来のパフォーマンスは、大体、このセオリー通りになっているのです。

 ただ、6月末は期末のポートフォリオ調整で、全体に利食いが入りましたし、上記の「勝ち組」の一方的な勝利が、やや度を越した観があったので、独立フィナンシャル・アドバイザーは「行き過ぎ」のグループを減らし、割安に放置されているセクターへお金をシフトするアドバイスをした人が多かったと聞いています。

 先週までハイテク株が値を消す一方で、ディフェンシブ株に物色の矛先が回ったのはそのようなアヤ戻しが原因だと思います。ただ、ディフェンシブ株はあくまでも「幕間つなぎ」で買われているに過ぎず、もう一度、今年の人気セクターが買い直される可能性も大いにあると思います。

強気相場は、まず「金融相場」で始まり
じきに「業績相場」へと移行する

 強気相場は、大きく分けて「金融相場」と「業績相場」に分類できます。

 強気相場の初期には、金融相場からスタートするのが常です。金融相場とは、中央銀行が景気を支援するために政策金利を低く抑えることで、より有利な投資先を求めて投資資金が株に集まるような状態を指します。

 金融相場は、市場参加者にとって最も組みやすく美味しい相場であり、強気相場の大半、比率で言えば70%を占めると思われます。

 強気相場の後半には、いよいよ経済が良くなり、企業業績も上向いてきます。その場合、中央銀行はそろそろインフレの心配をしなくてはいけなくなるので、利上げに転じます。

 「中央銀行が利上げに転じたから、すぐにマーケットが下がるか?」といえば、それはそうではありません。業績が拡大している限り、マーケットは上がり続けます。それが業績相場と呼ばれる局面です。いま我々が居る場所は、まさしくこの局面です

好調な相場を維持できるかは
7月第2週から始まる決算発表シーズン次第

 下のチャートは、「S&P500指数の四半期の1株当たり利益(EPS)が前年同期と比べてどれだけ伸びたか?」を示しています。

 2018年の第1四半期は、+25.4%という「狂おしいほど素晴らしい」成長率でした。つまり、業績相場は佳境に入っているのです。

 来期以降も軒並み前年比+20%を超える成長が見込まれており、好調は持続できそうなムードです。

 しかし、ここが肝心なところなのですが、もし第2四半期以降のEPS成長率が+20%を割り込むようだと、「あれれ、やっぱり2018年第1四半期が成長率的にはピークだったんだな」ということが、ズシーンと投資家の心にのしかかります。普通、業績の伸び率がピークをつけると株式市場は足踏みすることが知られているので、それは出来れば避けたいです。

 つまり、今後の米国株を占う上でとても重要になるのは、「7月第2週から始まる第2四半期の決算発表シーズンでポジティブ・サプライズが続出し、このEPSの変化率のチャートが第1四半期の+25.4%に肉薄できるかどうか?」という点になります。

テクノロジー株+エネルギー株が
米国株の業績相場を持続させる

 幸い、S&P500指数の26%を占め最大の勢力を形成しているテクノロジー株は、第1四半期決算で92%がポジティブ・サプライズを出しています。このグループは。第2四半期も安定してポジティブ・サプライズを出せると考えている投資家が多いです。

 また最近、原油価格が高値を更新していることから、エネルギー・セクターも良い決算、ならびに来期以降のアウトルックを強気に語る企業が増えると予想されます。

 これらのことから、業績相場のモメンタムが持続されるというシナリオも十分に考えられるわけです。

 足下の業績の安定感では、やっぱりFAANG(=フェイスブックアマゾンアップルネットフリックスアルファベット)を中心としたハイテクが一番安心できます。しかし、このグループはもうずっと米国株をけん引してきたので、相場としてはもう若くないと思います。

 これとは対照的に、エネルギー株は2014年下半期以降、ずっとお荷物的な存在でした。だからまだまだ相場は若いです。これまでの決算発表では、どことなくスッキリしない決算を出す企業が多かったので、今回、シャキッとした決算が出せるかどうかに注目したいと思います。

好調なIPO銘柄の中から
今後の上昇が期待できる5銘柄を紹介

 冒頭で「今年は小型株もパフォーマンスが良かった」と書きましたが、特に最近IPOされた若いネット株の中には、筋の良い銘柄が目白押しです。6月前半にそれらの銘柄は「ワッ!」と買われて、その反動でいま値を消している銘柄が多いです。しかし、これらの企業の投資ストーリーは終わってしまったわけではなく、あくまでもブル局面でのスピード調整だと考えています。

 具体的な銘柄をいくつか挙げましょう。

 ズィー・スケーラー(ティッカーシンボル:ZS)は、クラウドを通じてインターネット・セキュリティーを提供しています。

■ズィー・スケーラー(ZS)チャート/日足・6カ月
ズィー・スケーラー(ZS)チャート/日足・6カ月ズィー・スケーラー(ZS)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 ズオラ(ティッカーシンボル:ZUO)は、企業がサブスクリプション・モデルに基づいた課金戦略を導入することをお手伝いする会社です。

■ズオラ(ZUO)チャート/日足・6カ月
ズオラ(ZUO)チャート/日足・6カ月ズオラ(ZUO)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 カーボン・ブラック(ティッカーシンボル:CBLK)は、元CIAの技術者が設立したインターネット・セキュリティーの会社です。

■カーボン・ブラック(CBLK)チャート/日足・6カ月
カーボン・ブラック(CBLK)チャート/日足・6カ月カーボン・ブラック(CBLK)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 プルーラルサイト(ティッカーシンボル:PS)は、企業につとめるソフトウェア・エンジニアが日進月歩で進化する最新のノウハウをつねに摂取できるよう、クラウドを通じてスキル向上のクラスを受講できるサービスです。

■プルーラルサイト(PS)チャート/日足・6カ月
プルーラルサイト(PS)チャート/日足・6カ月プルーラルサイト(PS)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 オクタ(ティッカーシンボル:OKTA)は、クラウドを通じてユーザー・アイデンティティーを管理するサービスを提供しています。こんにちの社員は、会社や出先でスマホなどを通じて企業のアプリにアクセスするわけですが、そのときいちいちログインしていると非効率なので、クラウドで一括してアクセスを管理するサービスを提供しています。

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オクタ(OKTA)チャート/日足・6カ月オクタ(OKTA)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 アトラシアン(ティッカーシンボル:TEAM)は、ソフトウェアのエンジニアなどがクラウド上でコラボするためのツールを提供しています。

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アトラシアン(TEAM)チャート/日足・6カ月アトラシアン(TEAM)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【今週のまとめ】
まだまだ高値を期待できる米国株式市場では
特に石油株と直近IPO銘柄の期待!

 2018年上半期は、ナスダック総合指数や小型株のパフォーマンスが良かったです。いまは業績相場の真っ最中なので、業績が伸びている限り、米国市場は高値を追ってゆけると思います。

 そこでカギを握るのが、7月第2週から始まる第2四半期決算発表シーズンです。これがダメなら万事休す。でも、決算が良ければまたぞろ上半期と同じようなセクターや銘柄が人気化することも予想されます。

 石油株は相場が若いです。また、最近IPOされたネット株は、最近のスピード調整を経て今後一段高できそうな銘柄が多いです。

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