世界投資へのパスポート

米QE3など相次ぐ世界的な金融緩和政策で
「金」への投資チャンスが訪れるか!?

【第231回】 2012年9月18日公開(2013年2月6日更新)
広瀬 隆雄
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「産金会社」の株式は、なぜ上がらなかった?

 近年、よく話題にされる問題として、金価格が上昇しているにもかかわらず、金鉱株の動きが悪い現象があります。

 過去7年間で見た場合、金価格は250%上昇しましたが、金鉱株の指数であるフィラデルフィア・ゴールド&シルバー指数はほとんど上昇しませんでした。前のページのグラフのように直近では20%程度上がっていますが、長期ではほぼ横ばいです。

 その原因としては、産出される金のグレード(品質)は下がった一方で、採掘にかかるコストは上昇、結果としてマージンが圧迫されたことが指摘できます。

 また下のグラフに見られるように、金鉱会社は新しい金鉱脈を発見するのに苦労しています。

 新しい金鉱脈発見のピークは1995年で、当時は1年間で1600万オンスもの新しい金鉱脈が発見されていました。それが現在ではほぼゼロに限りなく近づいているのです。

 ネバダ州のゴールドストライクやペルーのヤナコッチャなどの巨大な金鉱脈の発見は、遠い昔のできごとであり、最近は新しい金鉱脈の発見のニュースはほとんど聞かれません。

 採掘コストが上昇し、しかもどれだけ経費を使って探索しても新しい金鉱脈が見つからないので、産金会社による新しい金鉱脈の探索は、投資リターンの見地からは昔ほどうま味のないものになってしまいました。

 著名なゴールド・ウォッチャーであるピーター・ラソンドは、先週開催されたデンバー・ゴールド・フォーラムで、こうした事情が金の供給を抑制する要因になっていることを指摘しました。

量的緩和で貨幣の価値は下がり、金の需要が高まる

 次に、金に対する投資家の需要を見ることにします。

 10年前は年間の金関連投資の最終需要は300億ドル程度でした。それが昨年(2011年)は2200億ドルへ増えています。つまり金に対する投資家の関心は着実に高まっているのです。

 しかも需要の内訳は、10年前は主にジュエリー加工のみに依存していましたが、現在はジュエリーは需要全体の40%で、投資目的が40%、中央銀行による金購入が15%など、以前より分散されています。

 とくに中央銀行に関してですが、1990年から2008年までの間、世界の中央銀行は準備金としてのゴールドの保有をずっと減らしてきました。

 しかし、米国の量的緩和政策に代表されるように“貨幣の価値を毀損しかねない金融政策”が散見されるようになったので、最近ではゴールドで準備金を蓄えることの重要性が再認識されています

 中国やインドの中央銀行は、まだまだゴールドの保有比率が低いので、今後も継続的な金の買い手になると思われます。

 株式や債券などから構成される機関投資家投資ポートフォリオに占める金の割合は、1980年のピークには総資産の14%に達しました。しかし、現在は2.5%程度にすぎません。このことから考えても、もう少しゴールドの比率が上昇してもおかしくないと思われます。

 以上のことから、金の産出量が増えていないので産金会社の株価は上昇しにくいですが、その分需給が引き締まっているため、商品としての金の価格は、さらに上昇する可能性が高まっています。

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