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2017年10月25日 ザイ編集部

就業不能保険など「働けなくなったとき」に頼れる
6つの制度や保険を紹介! 自営業者と会社員で大きく
異なる、働けない期間の生活費を賄う方法とは?

ダイヤモンド・ザイ12月号は好評発売中!

怖いのは死亡・入院だけじゃない!「長期間、働けないリスク」に備えるための制度や保険を専門家が紹介!

発売中のダイヤモンド・ザイ12月号の特集「”働けない”を助ける保険!」では、一家の大黒柱の「死亡」や「入院」時以上に、大きなリスクと言われている「長期の自宅療養」で家計が窮地に陥るケースを回避するために知っておきたい制度や、役立つ保険、ケース別にどんな備えが必要か、専門家のアドバイスを掲載している。

今回は、その中から「働けなくなるリスク」に備える6つの制度・保険を紹介するので、ぜひ参考にしてみてほしい!

平均入院日数は半減!「医療保険」は頼りにならない?

 「死亡に備える保険(生命保険)と、入院に備える保険(医療保険)があれば、とりあえず安心」というのが、今までの保険の常識だった。しかし、最近はそれだけでは保障が足りない可能性が高くなっている。

 その理由は、入院日数が短くなっているから。医療の進歩や、政府の方針転換により、以前であれば入院して行なわれていたような治療が、通院治療に切り替わっている。

 厚生労働省発表の「患者調査」で、1996年と2014年の「入院日数」の平均値を比較すると、たとえば「悪性ガン」が35.8日から18.7日、「心疾患」が38.9日から20.3日と、ほぼ半減しているのがわかる。

 ただし、「退院したからといって、多くの人がすぐに職場復帰をしているわけではありません」と、ファイナンシャル・プランナーの竹下さくらさんは指摘する。

 一体どういうことなのか? その答えを探るために、「傷病手当金」(※会社員の人が働けなくなったときに、健康保険組合から給与の約3分の2にあたる金額を支給する制度)の支給期間から、病気になったときの休業期間を類推してみよう(※以下、数字は協会けんぽ「現金給付受給者状況調査14年」より)。

自宅療養では「医療保険」が出ず、生活費の不安が増大!

 例えば「悪性ガン」の場合、「傷病手当金」の支給期間の平均は90.3日。会社員だと、病気になったらまず有給休暇を使い、使い切った時点から「傷病手当金」を受け取るのが一般的だ。

 利用できる有給休暇の日数は人により違うが、ここでは仮に、ガンで休職してからひと月(30日)分を、有給休暇にできたとしよう。その場合、有給休暇と傷病手当金の支給期間(90.3日)を足して、120日程度は闘病したことになる。入院の平均は18.7日なので、この例で言うと、ざっと100日程度が自宅療養期間となる。

 ファイナンシャル・プランナーの平野雅章さんは、「入院が短くなっても自宅療養での治療は続く。健常時のような収入を得られず、治療費と生活費の二重苦で、家計がひっ迫する人が多くなっている」と指摘する。

 「入院1日あたりいくら」という計算で保険金が出るタイプの「医療保険」は、入院日数が短いほど、もらえる金額が少なくなる。しかし、前述のように、退院してすぐ働けるわけではないパターンが多いため、会社員なら収入が給与の約3分の2まで減、自営業だと収入ゼロという状態が、長く続くことになるのだ。もちろん、死亡したわけではないので、死亡保険金が出るわけもない。

医療費は「医療保険」、生活費はその他の方法で対策を

 このように、長期的に働けなくなったとすると、不安要素は「治療費」と「生活費」の2点。両者を一緒くたに考えて、保険などで対策しようと考える人は多いが、基本的にこれらを分けて考えたほうがいい、と、ファイナンシャル・プランナーの平野さんはアドバイスする。

 治療費は健康保険の公的制度をベースに、「医療保険」で備えるのが基本。「医療保険」の「治療費の補填」としての役割は、今でも健在なので、「医療保険」の意味がなくなったわけではない。入院日数に比例する給付では少ないかもしれないが、一方で手術や通院保障も増えている。単純に「医療保険」をやめて別の保険に入るのではなく、「医療保険」の見直しをするのも手だろう。

 治療費を公的制度と「医療保険」でまかなうとすると、「生活費」の不安に対策するにはどうすべきか。そのために、役立つ制度や保険は大きく6つある。

 ただ、方法によっては使える人と使えない人がいる。以下では6つの方法を紹介していくので、自分はどれを使うことができるのかをチェックしたうえで、申し込みが必要なものに関しては、自分にとって本当に必要なものかどうか、考えるヒントにしてみてほしい。

【方法(1)傷病手当金】
使える人⇒会社員(健康保険組合が実施)

 「傷病手当金」は、会社員の人が働けなくなり、無給または給与が健常時の3分の2未満状態になったら支払われる。有給休暇の消化後からの利用が一般的。

 給付は、標準報酬日額(おおよそ給与の日割額)の3分の2、期間は支給を開始した日から1年半以上と法律で決まっている。

 多くの組合が法定どおり「3分の2の金額を1年半」支給するが、組合によっては80%給付だったり、期間が3年だったりと好条件なところもあるので、自分が加入する健康保険組合の規約を確認してみるといいだろう。

【方法(2)団体保険GLTD】
使える人⇒会社員(勤め先の総務部などに問い合わせ)

「GLTD」は「団体長期障害所得補償保険」の略称。病気やケガで働けなくなったときに、給与自体を補償する保険で、最長定年まで。うつなどの精神疾患をカバーできるものが多い。

 保険金は会社が契約している商品によって様々で、月額10万円、20万円、基本月給の60%などのパターンがある。保険料は社員だけでなく、会社が負担してくれるところもある。

 保険料は総じて割安で、そのわりに補償も手厚い。そもそも、GLTDを用意しているのは大手企業に限定されがちではあるが、勤務先にあるならイチオシだ。

【方法(3)疾病保障付き団体信用保険(住宅ローンの団信)】
使える人⇒自営業・会社員(銀行に問い合わせ)

 長期療養で働けなくなり、困ることの筆頭が、住宅ローンの毎月の返済だ。従来より住宅ローンには、死亡時に残債をゼロにできる「団体信用保険(団信)」が付くのが一般的だった。

 だが、最近は特定の疾病・状態になれば、ローン残債をゼロにできる「疾病保障」付きの団信が増えている。

 現在付加していない人は、借り換えをすることで疾病保障付きの団信に入れる。疾病保障付き団信の保険料は、金利に上乗せされるパターンが多い。

【方法(4)就業不能保険】
使える人⇒自営業・会社員(生命保険会社で取り扱い)

 就業不能になると、毎月決まった保険金が受け取れるのが「就業不能保険」(※ただし、働けなくなってから60~180日程度、保険金が受け取れない免責期間がある)。

 保険金の給付期間は、就業不能になったタイミングから60歳までなど、保険期間満了時の年齢で指定するのが一般的だ。

 保障範囲は「5大疾病」など病名限定のものから、傷病内容を問わないものまで、商品によって様々。ただし、就業不能の状態とは、「一般事務など軽い仕事もできない状態」とされている場合が多い。「元の仕事に復帰できない状態」が条件ではない点に注意しておこう。

【方法(5)所得補償保険】
使える人⇒自営業(損害保険会社で取り扱い)

 損害保険が取り扱うのが「所得補償保険」。働けなくなると保険金が給付されるということで、(4)の「就業不能保険」と似ている。

 違うのは、保険金の給付期間が短い(1年など)ということ。また、働けない状況になってから「免責期間7日を経て、給付開始」など、短期間で給付してもらえる点も特徴だ。「就業不能保険」は、働けなくなってから2~3カ月は保険金を受け取れないので、この点では「所得補償保険」のほうが安心感がある。

 加えて、加入時に職業を申告し、職種により保険料が異なるのも「就業不能保険」との大きな違いだろう。また、「働けない状態」の定義も異なる。「就業不能保険」のほうは、「軽作業もできない」状態を指すが、「所得補償保険」が定義する「働けない状態」とは、「原職に復帰できない状態」を指すのが一般的。

 このような特性から、「所得補償保険」は有休も傷病手当金もなく、働けなくなった翌日から稼ぎがなくなる、自営業向けの保険といえる。

【方法(6)障害年金】
使える人⇒自営業・会社員(役場か年金事務所に問い合わせ)

 病気やケガで、寝たきりや重度障害者になった場合、65歳未満でも年金(障害年金)を受け取れる。

 障害年金も、老齢年金と同じく二階建てで、基礎部分と上乗せ部分に分けられる。

 国民年金加入者は基礎部分のみ、厚生(または共済)年金加入者は基礎と上乗せの両方分を受け取れる。

 過去1年間に保険料の未納がないなどの、所定の条件がある。また認定は一般的に、初診日から1年半後となり、時間がかかることを覚悟しなければならない。

(※関連記事はこちら!)
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 今回は、発売中のダイヤモンド・ザイ12月号の特集「”働けない”を助ける保険!」の中から、長期自宅療養の際に生活費を補ってくれる制度や保険について紹介した。同特集では、ケース別に必要な備えを専門家が提案するほか、各種保険の具体的な商品名もピックアップしているので、併せてチェックしてみてほしい。

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