株ニュースの新解釈
【第71回】 2012年3月26日 保田 隆明

Appleの配当支払いは成長性低下のシグナルなのか?

Appleの保有現金はトヨタの4倍

 先日、iPhoneやiPadで快進撃を続けるAppleが大規模な配当と自社株買いの実施を発表した。市場はそれを好感し同社の株価は上昇、市場では配当を支払っていないGoogleやAmazonもAppleに続くのではないかとの見方もある。

 そこで、これら3社について、この5年間の収益とどの程度現金を積み上げてきたのかをデータとして見てみた。

3社の過去5年間の業績

 Appleは日本円に換算すると売上高が1082億ドル(約9兆円)であり、現金は2011年9月末時点では815億ドル(約6.7兆円)であったが、12月末時点では976億ドル(約8.1兆円)にまで積みあがっている。

3社の現金同等物の推移。Appleが圧倒的!

 売上高がほぼ同規模のNTTが保有する現金は約1.5兆円、売上高がほぼ倍のトヨタ(19兆円)は約2兆円の現金を保有していることと対比しても、Appleが積み上げた現金の大きさがわかる。

 しかも、表をご覧いただくとお分かりの通り、その現金の金額はこの5年間で急速に増加している。5年前は1兆円を少し超える程度の現金だったものが6~7倍に膨らんでいるのである。

GoogleとAmazonは配当を支払っていない

 Appleは事業から得られた現金を再投資に充てるべきだという主張のもと、約20年弱は配当を一切支払ってこなかった。

 配当として株主に戻すよりも、自社の事業に再投資し高い成長率を維持し続け、株価を上げることで株主に報いるという考えである。

 これまでのApple同様の考えで、配当を支払わずに営業キャッシュフローを事業再投資に充てる戦略を続けているのはGoogleとAmazonである。

 両社の過去5年間の収益と現金残高を見てみると、売上高の成長性はややAmazonの方が高いが大きくは変わらない。一方、利益率の違いが現金の積み上がり具合に大きな差として表れている。

 GoogleはAppleまでとはいかないものの現金を3.7兆円まで積み上げている。一方のAmazonは8000億円程度だ。これらを見る限りは、次に配当が期待できるのはAmazonよりもGoogleのような印象を受ける。