世界投資へのパスポート
【第341回】 2014年11月17日 広瀬 隆雄

先進国の経済成長が、ここから加速する理由

【今回のまとめ】
1.先進国の経済は加速、新興国は冴えない展開が続く
2.日本の消費税増税先送りは足下の景気にはプラス
3.ガソリン価格の下落で米国の消費者はウハウハ
4.ユーロ安でドイツ経済は息を吹き返す
5.中国における不動産バブル抑制策が新興国全体を不景気にしている
6.ブラジルで起きていることは80年代の南米債務危機とソックリ

先進国の経済は加速、新興国はダメ

 私は、日本、アメリカ、欧州の先進国の経済成長は、ここから加速すると考えています。その一方で、新興国の経済成長は引き続き冴えない展開が続くと予想しています。

 日本株、米国株、欧州株は、強気のスタンスで良いと思っています。新興国の株式は、処分すべきだと思っています(ただし先週紹介したアリババは例外です)。

日本の増税見送りはプラス

 日本では消費税の増税見送りが話題になっています。財政政策面で、この判断が深慮に欠けるかどうかの議論はさておき、足下の景気に対する影響という意味では、増税見送りはプラスだと思います。

消費の好調=アメリカ経済の好調

 アメリカ経済は、いまスイートスポットに入っています。失業率の大幅な改善は消費者のマインドにプラスに働きますし、折から全米平均レギュラー・ガソリン価格は$2.89まで下がってきています。

 アメリカでは大半の人がクルマ通勤なので、ガソリン代は日本の感覚で言えば電車代と同じです。従ってそれが安くなると消費者のポケットに浮いたお金が入るわけです。1¢レギュラー・ガソリン価格が下落すると消費が10億ドル増えると言われるのはこのためです。

 そのような理由から、今年のクリスマス商戦は、近年ではベストになると予想されています。

 いま消費はアメリカ経済の70%を占めているため、消費の好調は、とりもなおさずアメリカ経済そのものの好調を意味します。

欧州はユーロ/ドルの急落で経営者のマインドが好転

 さて、問題は欧州です。欧州大陸の経済は、ウクライナでの戦争の影響を受けて、すっかり勢いを失ってしまいました。

 なかでもこれまで「欧州経済の機関車」の役目をはたしてきたドイツの減速は大きな誤算でした。

 ドイツには機械工具などを作る中小企業がたくさんあります。それらの企業にとってロシアは最も重要なお客さんです。

 オランダのスキポール空港を飛び立ったマレーシア航空のMH17便が7月半ばに撃墜され、それを契機として欧州連合がロシアに対する経済制裁の強化を決めたことは、したがってドイツ経済を直撃しました。

 ウクライナでは停戦後、睨み合いが続いています。ただ、新しい交戦が始まる気配はありません。

 ロシア経済は天然ガスの輸出に大きく依存しており、西欧は上得意のお客さんです。これから冬場の需要期に入り、ロシアは取り崩してしまった外貨準備を修復する必要があります。その観点からもいまは穏便に事を運んだ方が良いのです。

 このところのユーロ/ドルの急落で、欧州の輸出業者はずいぶん楽になっています。

 そのことから考えて、経営者のマインドはこれから回復に向かうと思われます。