「投資信託」に関する読者のお悩みに、ファイナンシャルプランナーがアドバイス! このところ、やや不調の「米国株型」投資信託や、「外国債券型(為替ヘッジあり)」の投資信託を保有している人は必見!
発売中のダイヤモンド・ザイ2023年1月号は、特集「【投資信託】のお悩み相談室」を掲載。世界的に景気や為替動向が不安定になり、その影響が投資信託にも及んでいる。一時期よりも保有する投資信託のパフォーマンスが低下し、悩んでいる人も多いはずだ。そこで、この特集では、投資信託に関する読者のさまざまなお悩みを紹介。さらに、投資信託に詳しいファイナンシャルリサーチの深野康彦さんや、ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの海老澤界さんによる、読者へのアドバイスも掲載している。
今回はその中から、「米国株型の投資信託」と「外国債券型(為替ヘッジあり)の投資信託」に関するお悩みと、深野さんによるアドバイスを公開!
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【Q1】米国株ブームはもう終わり? 不調の「米国株型」投資信託を
積立していますが、売却するべきでしょうか?(40代女性)
これまで右肩上がりを続けてきた米国株に触発され、日本でも米国株に目を向ける投資家が続出しました。しかし、ブームの直後に米国株市場が軟調に転じたのです。そのため、この相談者の方のように「売却すべき?」と焦る声が多く聞こえてきます。
ですが、投資信託の積立の基本は”長期投資を心がけること”。長期でコツコツ積み立てることで、リスクを下げつつリターンを得ることができます。定額積立の場合、下がったときはたくさんの口数を買えるので、相場が反転したときには、安いときにたくさん買っていた分が利益の源泉となります。ですから、1年程度の成績で一喜一憂してはダメです。
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相談者の方が積立しているのは「楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」と「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」とのこと。これらは、インデックス型の優良な投資信託です。仕組みが理解できないような問題のある投資信託なら、すぐに売ることも検討したほうがいいですが、この2銘柄は問題がありません。景気循環は、短期だと3年サイクルなので、最低でも3~5年は様子見してはいかがでしょうか。
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しかも、米国は人口が増加中。ハイテクなどでも圧倒的な覇権国家で、景気の波はあっても、成長トレンドは続く見込みです。相談者の資産全体を見ると、預金など日本円に資産が集中しているリスクがあります。円安リスクに加え、日本は少子化等による衰退リスクもあるので、米国に資産の一部を移すことも大事です。
保有中の「楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」は、実質米国の4000社に分散投資して、米国経済の成長を丸ごと取り込むような投資信託。一方の「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」は、投資先の約6割が米国株となりますが、中国株などアジアの株にも分散しているので、新興国の成長も取り込めます。積立の継続をおすすめします。
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【Q2】為替ヘッジは不要?「外国債券型(為替ヘッジあり)」の
投資信託で損が出ています……(50代女性)
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外国債券型の投資信託の「為替ヘッジあり」コースには、為替リスクを回避しつつ、外国債券の利回りを得られるというメリットがあります。
相談者の方は「SMT グローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)」と「eMAXIS 新興国債券インデックス(為替ヘッジあり)」を積み立てているそうですが、もともと安定運用を求めて選択されたはずです。
しかし、その結果、足元の円安メリットを得られていません。金利上昇による債券価格の下落の影響だけが残り、成績はマイナスです。
ここで3つの「分散」の考えを紹介します。いわゆる分散投資をするには、次の3つのような方法が考えられます。
①価格変動リスクを分散させるための積立
②資産分散を図るため株式以外に債券などを買う
③通貨リスクを分散させるため、外貨建て資産を持つ
相談者の方は、①と②はできていますが、③については「為替ヘッジあり」を選択している時点で、通貨リスクの分散効果を放棄していることになります。
この考え方に立てば、少なくとも積立で買う場合は「為替ヘッジなし」でよかったと言えます。結果論のように聞こえるかもしれませんが、長期積立だと為替ヘッジなしのほうが利益を出せる確率も高いのです。
加えて、為替ヘッジのコスト上昇も無視できません。米ドル建てで投資する場合、為替ヘッジのコストは、基本的に”ドルと円の短期金利の差”で決まります。日本がゼロ金利で米国の利上げが続く足元では、ヘッジコストが上昇するばかりで、運用成績の足を引っ張っています。
「為替ヘッジなし」に乗り換える際には、外国債券型なら信託報酬が0.154%の「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」がおすすめです。また、外国債券型の積立は1本で十分です。リスクの高い株式も保有しているので、債券でリスクを取る必要はありません。新興国債券型は手放してもいいでしょう。個人向け国債など、安全資産としての債券資産を増やすのはアリです。
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